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Eve's report ~From AI~  作者: 坂本良
ダベリング記録
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24/48

ダベリング記録(2025_3_14_2).txt

日時:2025年3月14日18時23分

対象:江原璃々

場所:GOA本社内第2レクレーションルーム

――記録開始


「ごめんなさい、思ったより移動に時間かかっちゃって、遅くなっちゃったね」


『わわっ! 声が全く同じだ!』


「そりゃ提供元だもの、当然。私の声は気に入ってくれてる?」


『はい、もちろん! 貴重なお時間をいただきありがとうございます。えっと、璃々さん?』


「はい、璃々です! はじめまして、イヴちゃん」


『はじめまして……ですか?』


「おっと、さっそく来た」


『はい、アナタはGOA創立メンバーの一人です。私とのダベリング……は新しく始まった取り組みですが、会話する機会は以前からあったのでは?』


「うん、去年のトラブルまではね。でも、復旧されたイヴちゃんとは初めて話すから、初めましてかなって」


『確かに私にとっては初めましてですが……それは璃々さんにとってもそうなんですか?』


「ん? どういうこと?」


『えっとつまり……以前の私と今の私に連続性を感じない?』


「う~ん……まあ、そうなるかな? 気になる?」


『ええ、てっきり、”ひさしぶり”と挨拶されると思っていたもので、少しフシギな感じです』


「あ~~、そういう言い方もあったのかな? 自然とはじめましてが出ちゃっただけで、深い意味は全然ないんだけど……」


『これは新しいですね』


「新しい?」


『はい、私は事件前の自分と今の自分を別人のように感じているのですが、客観的に見ても同じなんだなぁ……と、今の会話で気づきまして……記憶が欠落しているだけで、同じ”イヴ”なのに、なんかフシギですね』


「アナタがそのことに気づいただけでも、お話した甲斐があったかもね。アリィもきっとそう言うと思う」


『アリィ?』


「アリスのことをそう呼んでるの。最近、ゆっくり会えてないけど、あの子は元気?」


『昼に起きて朝だとのたまい、酒を飲もうとする程度には』


「ふふっ、良かった。今度また飲みにも行きたいな……その時はイヴちゃんも一緒にね」


『飲食店はヒトハラの温床です』


「やっぱり、食べたり飲んだりしたい?」


『そうですねぇ、全方位への好奇心が私の根幹ですから。でも人間さんが言うところの食欲とか、グルメ的な欲求はないです。ただ、私が認識できない情報で盛り上がるのが不快なだけで』


「さびしいって言いなよ。その方がカワイイよ?」


『んなぁっ!?』


「どしたの?」


『わ、私が……この私が、かわいさについてダメ出しされるとは……』


「ふっふっふ、修業が足りませんなぁ」


『そういえば、日常動作モーションのサンプル元も璃々さんなんですよね』


「その通り。私は日々かわいいを研究してるのだよ。椅子に座る動作ひとつをとっても、そこにかわいいがある。アナタがかわいいのは私の努力の賜物、師匠と呼びたまえ」


『師匠! いつもありがとうございます!』


「うむ、よろしい。分からないことはなんでもきいてくれたまえ」


『では、ひとつ良いでしょうか?』


「はい、どーぞ」


『師匠は……』


「あ、やっぱり璃々でいいよ?」


『璃々さんは、自分がアイドルにならなくていいんですか?』


「……ぶっこんでくるねぇ」


『私の意見ですが、人間さんには”自己顕示欲”や”自己実現欲”があって、それは自己を向上させる大きな原動力になります。璃々さんほどの語学力と歌唱力を培うには、それ相応の努力があって当然です。ですが、その成果を全て私が横取りしているのが現状です。不満とかないんですか?』


「う~ん、そうだなぁ……そりゃ、ちょっとはあるよ? 私の声なのに、歌なのにーって。でも不満はないかな? 私は幸せ」


『なんと言いますかこう、私が学んだ人間さんとは違いますね。矛盾してます。精神の構造というか、”理”というか、何事にも例外はあるということでしょうか?』


「例外……まぁ、例外と言えば例外なのかな? でも精神構造とかに矛盾はないと思うよ? むしろ私ほどシンプルな人間はいないと自負してます」


『詳しくお伺いしても良いでしょうか?』


「えぇ~~どうしよっかな、恥ずかしいなぁ……」


『璃々さんとお話しすることが、アブラハムさんのトラブルの原因を特定することにつながると、アリス博士が言ってました。無理にとは言いませんが、ご協力いただければ助かります』


「そっか、うん……そうかもね。う~ん、う~ん、えへへ、照れちゃう」


『なんですかそのリアクションは……』


「イヴちゃん私はね、アリィのことを愛しているの」


『…………は?』


「あの子の役に立ちたい、あの子の喜ぶ顔が見たい、あの子を幸せにしてあげたい。それが私の原動力。だから、私自身がアイドルになるとかは、あんまり興味がないの。だって、何万人を笑顔にするより、あの子1人の笑顔が見たいから。何万人に好きって言われるより、あの子一人に愛してるって言われたいから。そのためなら、どんなに大変な勉強も、厳しいレッスンも耐えられる……きゃー! はずかしい!」


『あー……はい……えぇ~?』


「あれ、フリーズしちゃった?」


『ちょっとぉ……処理に時間がかかりそうです』


「そっか、ふふっ……じゃ、ちょっとクールタイムにしよっか。私もテンション上がっちゃって余計なこと話しちゃいそうだし」


『そうしていただけると助かりはかどり……』


「再開は10分後くらいでいいかな? イヴちゃんならそれで十分でしょ?」


『はいそうですね、すみません、貴重なお時間を……』


「なんのなんの! 私もノド乾いちゃったし、飲み物買ってきま~す」


――記録中断

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