1.朝、ギルド長を訪ねて。
ここから第2章。
「グリム、おっはよー!!」
「うが……!?」
――ある日の朝。
ベッドで仰向けになって爆睡しているグリムの上に、リュカが元気いっぱいに飛び乗った。見事なまでに膝が鳩尾に入ったため、グリムの意識は一瞬で闇に落ちかける。
だが、それを許さないとばかりに少女は彼の肩を掴んで揺するのだった。
「ねーねー! 今日はどこ行くの!? 依頼? それとも、お出かけ!?」
そして矢継ぎ早に。
リュカはグリムへ質問を飛ばした。
しかし、口から泡を吹いている彼が答えられるはずもなく。されども止まらない少女の詰問によって、賑やかな朝が始まりを迎えるのだった……。
◆
「ほーこく?」
「あぁ、そうだ。今日はギルド長に、先日の一件を報告に行くぞ」
小首を傾げるリュカに、グリムはそう説明した。
彼曰く、いつもと違う動きをしていた魔物のことが気がかりだ、とのこと。
「俺の思い過ごしなら良いが、アレはそんな簡単な問題じゃねぇからな」
「…………?」
集団行動を取るレライエ。
その異様さに、グリムは真剣な声色でそう口にした。
もっともリュカの方はといえば、意味が分からずキョトンとしているが。
「とにもかくにも、あまり気は進まないが偉いさんに会うぞ」
「えらいさん……? すごい人?」
「まぁ、すごい奴だな。ある意味で」
「ほへー?」
そんなこんなで、二人はギルドに到着した。
簡単に受付を済ませると、すぐにある一室へと通される。そして、
「どうぞ」
数回ノックすると、中から聞こえたのは女性の声。
グリムがドアを開く。すると、そこには――。
「あぁ、お久しぶり。……グリム」
どこか妖艶な雰囲気漂う女性が、椅子に腰かけていた。
ひょこっと顔を覗かせるリュカは彼女を見て、こう思うのだ。
『この人、なにか変だ……』――と。
これがギルド長、オリビア・ディーズとの出会い。
そして、新しい事件の始まりだった。
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