適性
アリスは、適性診断だけ受けることにしたらしい。
そもそも、花壇に水をあげる程度にしか魔法を使うことはないと言う。
ウィルは何故昇級試験を勧めたのだろうな。
ところで俺、水魔法苦手なんだよね。
多すぎる 魔力が勝手に水を凍らせてしまうから。
水魔法を使うくらいなら、炎魔法を合わせてお湯にする方が楽なくらいだ。
適性が氷に特化してるだけで、他の属性も一応少しは使える。
まぁ炎系は苦手だから魔力で押しきるしかなくて、適当な大きめの炎と氷でちょうど温いお湯である。
アリスを驚かせないために、炎を大きく見えないようにする訓練は昔にしているから安心だ。
診断は、鑑定道具を使う。
普段は宝物庫で厳重に保管されてるらしくて、使用許可証は皇帝陛下のみが発行できるって聞いた。
まぁ、主に高位貴族の子が使うかな。
教会でやる人も居るけど、自分の能力を隠したいと思うのが普通だろうな。
特に侯爵の子息子女の能力は、国の戦力そのものだから必ずこの方法で行い、寧ろ教会に行くことは避けるべきだ。
聖杯のような魔道具に、アリスが手を触れると何処からか水が溢れだした。
やっぱり水属性か。
これ、何度見ても不思議な仕組みだよね。
俺の時は、聖杯の中に水が出現した瞬間に氷結。
レオのときなんて炎が吹き出したから、正直かなり怖くない?
それを見たリンは怖がってたな。
アリスの付き添いで来たミハエルが、真剣な顔で見守っているが、アリスは終わってホッとしたようだ。
「どうかした?」
魔力があって魔法を行使できるのだから、高い確率で何らかの属性適性が出るだろうし、その属性に優劣はないのだからアイティヴェル兄妹の態度は少し不自然な気がした。
「あ、えっと、皇城が慣れなくて、ドキドキしてしまいまして。」
「皇妃様、皇太子殿下。有り難うございました。では、これにて帰らせて頂きま」
「待て待て待て!!!」
言い終わる前にウィルが声をあげた。
アリスが不安になるなら一刻も早く立ち去りたい。
「アリス嬢! お茶でも飲んで行ってくれ。母上が君のために紅茶や菓子を用意して下さったのですから。」
「まぁ! 是非ご一緒させて下さいませ。」
「アルは帰るか? ミハエルは来るよな?」
ウィルが意地が悪い。
帰れるわけないだろう。
「皇妃様、皇太子殿下。実はお土産を用意して来たのですが、お持ちしてもよろしいでしょうか?」
茶会のために用意された庭園で、最初に切り出したのはミハエルだ。
「気を遣わせて悪かったな。有り難く頂くよ。これは、香水か?」
ウィルに渡されたのは香水瓶のような物。
香水を使ってるなんて聞いたことないけど、どういう意図があるのだろか。
「それは、香り付け用の品です。夜の睡眠を助ける香りを選んでいるので、寝る前に寝具に少しかけて頂くようにすると熟睡できるかもしれません。」
ミハエルの説明に驚いたのは俺だけでないはず。
ウィルが夜眠れないのは、側近の俺たちしか知らないはずだ。
「へぇ? 何故この品を?」
ウィルは、笑顔のままだが警戒したかもしれない。
弱味にならないようにひた隠しにしてきたことを、ミハエルに知られていて動揺しているだろう。
しかし、落ち着いてほしい。
だってミハエルはアリスの兄なのだ!
正直、対立は困る。
「アリス、説明を。」
「はい、お兄様。殿下は、常に目の下の隈を隠してらっしゃるようですが、寝不足で肌荒れしているときは少し浮いているように感じました。寝具に使うのが不安でしたら、代わりの者に試して頂きます。」
驚いた。
アリスに話したことはないし、アリスから尋ねられたこともなかった。
「差し出がましい真似をして申し訳ありません。どうしても、心配になってしまったのです。」
アリスはミハエル共々、深々と頭を下げた。
確かに、皇太子に弱点を指摘するのは失礼にあたるのかもしれない。
「殿下。アイティヴェル兄妹を罰するのであれば、共にユアランスも罰して下さいませ。アリスは未来の侯爵夫人です。婚約者としての責任は私が負います。」
俺が頭を下げるとウィルは笑いだした。
何故か皇妃様まで。
「私も隈を隠す方法を改善させようと勧めていたのよ。それなのに、こんな根本からの改善案を出してくれるなんて嬉しいわ。」
「罰したりしないよ。安心して。アリス嬢が化粧品作れるって聞いて頼もうか迷ってたくらいだ。」
そういえば、夜会でそんなことあったな。
エド、ちゃんと報告していたのか。
あれ? ってことは‥‥‥
前話が説明ばかりになってしまったので
連日の投稿にしました。
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