異世界に転生
署を守る為に積み上げた廃車のバリケード。
それを防壁にし、アカシたちはスナイパーよろしくゾンビたちに攻撃を開始した。
「お、あのウロウロしてるゾンビ…射程距離ッス!」
アカシはゾンビに狙いを定め…投石機から石を発射!
石はゾンビの頭部に命中し、血飛沫があがる。
「イェーイ!リアルヘッショ決まったッス!」
「流石、アカシさん!」
仲間同士で盛り上がる最中、レナも無言でゾンビの頭部を撃ち抜く。
「何体か、こちらに気づいて向かってくるわよ」
本来であれば、レナたちは貴重な情報を署の誰かに伝えなければならない。
しかし、ゲームにドップリ浸かった脳ミソを持つ彼らの思考は楽しむ事を優先してしまった。
ウロウロしているゾンビの頭を次々と粉砕する。
それは、ゲームと現実が重なりあった瞬間であり彼らにとって待ち望んでいたものだった。
しかし、ゲームと現実が重なるならばゲームオーバーの代償は?
一体のゾンビがアカシたちの方に走り出す。
「お、アイツ…こっちに猛ダッシュしてくるッス」
アカシは頭を狙うが、外れて肩に当たる。
一瞬、動きが鈍ったがゾンビは再び走り出す。
しかし、そこにレナの放った投石が飛ぶ。
「ッシャーァアアアァア!」
ゾンビが奇声をあげるのとほぼ同時に投石は命中し、頭部を粉砕。
「…まずいわ」
レナはいち早く危険を察し、署内に入るべく走り出す。
「なんスか?」
「さぁ、トイレとか?」
急に走り去ったレナの背中から視線をゾンビたちに戻す。
アカシたちの眼前には、いつの間にか集まったゾンビの群れがあった。
集まったゾンビたちは、血の涙を流しながらアカシたち目掛けて走り出す。
「さ、斉藤君!アレを!」
「は、はい!」
斉藤はアカシから託された火炎放射器を構える。
「射程に入ったら、放射開始!援護は任せろッス」
無言で頷く斉藤、目前に迫ったゾンビに向けて火炎放射器のトリガーが引かれた!
凄まじい勢いで放射される炎が複数のゾンビを包み込む!
「や、やった!」
歓喜の声をあげる斉藤に、炎に包まれたゾンビがしがみつく。
「え?ちょ、っと、あっつぅぃ!?」
炎は燃え移り、斉藤は悲鳴をあげながら助けを求めるべくアカシたちがいるハズの後ろを向く。
しかし、そこには既に誰もいなかった。
言葉にならない斉藤の絶叫は、署内にまで響く。
逃げながら、仲間の1人がアカシに問いかける。
「あ、アカシさん…これで良かったんですか!?」
「へ?良いに決まってるっしょ。斉藤君、今頃は…異世界に転生してるんじゃないッスかね。炎属性で」
アカシの言葉が、冗談なのか本気なのかわからないまま、問いかけた仲間は絶句した。




