そして討伐へ…
「ちょっと!?コール!?どういうこと!?」
「あの…愛奈…落ち着いて…」
落ち着いてなんていられますか!?大切な!重要な!胸がどこかに行ってしまったんですよ!?
巨乳の人はよく「胸なんて肩がこるからじゃま」とか「男子の視線が嫌なの」とか言いますが、わたしはそんな言い訳はせずに、普通にあの胸が好きでした。なぜなら、わたしのあの胸は努力でつかみとったものなんです!
「落ち着いてなんて無理ぃぃぃぃッ!」
「大きな胸なんて、動きづらいだけだよ?」
「……」
そんな言い訳なんて…今のわたしには全く意味がありません。すると、コールが、
「何か胸にコンプレックスでもあったの?」
「……」
「話したら楽になるかもよ?」
「…うん じゃあ…」
ーーわたしの名前は板田 愛奈名前→名字って読むと「まないただ」
小学生の頃は流石にまだ胸をどうこう言う年じゃないので別に気にしてませんでした。
ですが、中学校に上がると、どういうことか、周りのみんなは胸が成長していってるではありませんか!それだけではありません。何故か男子が女子に対して意識し始めるではありませんか。男子が女子をじろじろ観察するようになってきた、そんなある日。
ある一人の男子がわたしに対して「お前って名前→名字って読むとまないただってなる上、胸までまな板だよな!」なんて言い始めたではありませんか!その日からわたしのあだ名は『まな板』…流石に気にしますよ!
そこから胸がコンプレックスとなり、大きくするための努力が始まりました。勉強を犠牲に…
その結果、大きな胸を手に入れることが出来ましたが、勉強を犠牲にしたため、偏差値が多少低めの高校にしか受かりませんでした…
このような話を一通り話したところでコールは、
「そうだったの…ごめんね」
「わたしこそごめんね…魔法少女に代償なしでなれるなんて甘く考えすぎだったよね…」
次のコールのセリフで、わたしは一気に希望で一杯になりました。それは、
「変身解いたら胸戻ると思うよ」
「本当に!?」
「もちろん!」
やったぁ!変身中だけならまだ耐えれます!それなら早くシャドーを倒して元の胸を取り戻しましょう!
「それでは、いきます!」
と、わたしは先程作ったナイフを鞘に付けたものを自動販売機の下に差し込みました!
………
あれ?手応えがありません
「あちゃ~ 逃がしたかな?」
「えぇ!? いつの間にッ!」
「シャドーは影みたいなものだから逃げ足が早いんだよね~」
どうすれば…と、わたしが戸惑っていると、
「近くに自動販売機の下みたいな隙間ってない?」
「え?隙間…」
周囲を見渡すと、パイプがありました。
「多分その隙間に逃げ込んだね」
「じゃあここにナイフを差し込んだらいいんだね?」
と、わたしはナイフを鞘に付けたものを構えました。が、コールはそれを止め、
「問題です。 闇を打ち消すには何がいいでしょうか?」
わかった!魔法少女アニメを見ているとよく最終回付近であるパターンだ!
「諦めないみんなの希望!!!」
「……」
ーー決まった!あまりにも模範解答過ぎてコールも戸惑っているに違いありません。
「今、それをどうするつもり?」
「なんか強そうなモードにフォルムチェンジするんでしょ?」
「確かに間違ってはないけど…今使えるものでお願い…」
他に…闇に勝つには…
そうだ!目には目を歯には歯を、闇には闇をッ!希望が違うなら闇をぶつければ反作用みたいなので倒せるはず!
「闇には更なる闇をぶつければ言いと思う!」
「…愛奈って頭もアレなの?」
このような言いようなので、多分また間違えました。わたしにはわかるはずもなく、
「ひ、ヒント!」
「え? う~ん… 私は何でしょう?」
「コールでしょ?」
「じゃなく、何の姿?」
「ケータイでしょ?」
「そう!ケータイから出せて、闇を打ち消すものは?」
コールはかなり優しいヒントをくれましたが、わたしにはまだ難しく、ずっとう~ん…と唸ってました。すると、
ーーピカッ!
コールがフラッシュをたきました。
「これでわかった?」
「あああああああああああッ!」
わかりました!光です!闇に勝つには光って、昔見たことがありました。
「わかったなら一気に決めるよ!愛奈!」
「行くよ!コール!」
わたしはコールのフラッシュをパイプに向け、
『シャイニング・コール・フラッシュ!!』
決まった!するとパイプの中から黒い霧の様なものが吹き出してきました。
「ふぅ…浄化完了」
「終わったぁ~」
わたしはホッとして地べたに座り込みました。が、すぐ立ち上がり、
「そういえばどうやって変身解くの?胸を返して!?」
「愛奈、落ち着いて。変身と逆の方法で、戻ることを強く念じて!」
「うん! わかった!」
変身も出来たので、解除も意外とすんなりと起動し、全身が光始めました。
そのとき!
「こんなところに誰かいるのか?」
ゲッ!?部外者が来ました。どうやら男性の様です。
「ねぇ、コール。変身中って他人に見られたらマズイ?」
「あ、えっと… 私たちの魔法は、魔法使い以外が見ると全て無効化されちゃうの」
「つまり?」
と、答えを聞くまでもありませんでした。
なぜなら、先程の人に見られてしまったからです。
見られた瞬間わたしをおおっていた光は全て消え、変身後と前の間の状態になってしまいました。
一言で言うと…
全裸
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁッ!」
とりあえず、身を隠すために全力で近くにあったトイレへ逃げました!
こんな恥ずかしい思いをしたので、この魔法少女になった日のことは一生忘れられないでしょう。
その後、無事元の姿に戻れ、家に帰ることが出来ました。後程、待っていたのは色々説明が遅れた、コールへの尋問でした。