第20話 いよいよ襲撃か!?
コロッケに乗せて貰った私たちは、たまたまハルの魔法に気が付いて駆けつけた先生たちと合流することが出来た。
コロッケを一目見た先生たちは泡吹いて倒れたので救護するのが大変だった。助けに来た人を助けられるはずの人が助けることになるってどういうことなの……。まぁ無理もないか。いなくなった生徒たちがでかい犬に乗って現れたのだから。
あ、そうそうコスモとやらは結界の中でブルブル震えていたところを無事保護されたらしい。
案の定私たちは結界の外に出たということでこっぴどく叱られる羽目になったが、コロッケが貴重な神獣(?)という生き物らしく、学園の観察下ではあるが飼うことを許可された。
んで、私は罰として反省文を原稿用紙20枚分書くことをよーやく終えて寮に帰る途中だったのである。
もう窓の外は真っ暗で、星が瞬いていた。
ったくゼノのやつ、さっさと自分だけ書き終えて先行きやがって。
「うへー、もうこんな時間か。ゼノ、夕飯作っといてくれてるかな」
教室から寮まではそこそこ距離がある。この時間になると人通りもグンと少なくなるのでちょっと怖い。
今日の夕飯のことを考えながらフラフラ歩いていると、何だか違和感を覚えた。
あれ? こんなに寮まで遠かったっけ?
歩いても歩いても外に出れない。
ん~? 流石に私も疲れてるのかな。
しょーがない、もう一度先生のところに戻って帰り道まで一緒に行こうっと
そう思って引き返そうとしたのだが……。
「あれ? 」
明らかにおかしい。
いくら足を動かしても周りの景色が変わらない。
まるで同じところをグルグル回っているみたいだ。
「せんせーい!! ゼノーーー!!」
大声を出してみたが誰からも返事はない。
壁の時計は、さっきからちっとも進んでないように思える。
しかしこんな状況でも私は不思議と冷静だった。
おそらくこれは何らかの魔法が働いている。そしてきっと相当な手練れの仕業だろう。
「ふむ……魔王を取り戻しに来たんだろうな」
ゼノの言っていた四本指に入る臣下。おそらくそいつの仕業だろうと私は勝手に想像する。
私を閉じ込めて疲れさせ、動けなくなったところを後ろからブッスリとでも考えているのだろう。
ふふふ、甘い!!
「じゃーん! 」
そう、こんなときの為に私はいつでも愛用の魔鎌を持ち歩いているのだ!
先生にばれたらきっと没収されてしまうのでゼノの魔法で小さくしてポケットに仕込んでいる。
これでいつでも戦闘準備はオッケーってものである。
「ユノちゃん? どうしたの? 」
不意に声をかけられ、私はそちらに武器を構えた。
しかし、音もなく後ろに立っていたのはハルだった。
知っている人に会えた私は思わず安堵し、鎌を放り投げて彼女に抱きついた。
「ハル~~~!!! いや~、道に迷ちゃったみたいで。一緒に寮まで帰ろ」
「寮? そんなところ、帰らなくていいよ」
「へ? 」
ハルが私の顔に掌を向けたかと思うと、抗えないくらいの眠気に襲われる。
「おやすみ、ユノちゃん」
そのまま私は、深い眠りへと吸い込まれていった。




