5.一緒に寝てた子供が朝になったらおっさんになっていたお話
ようやく解放された僕は家に帰るとすぐ横になった。
「疲れたぁっ」
こんなに疲れたのは初めてだ。暑い。扇風機に手を伸ばす。風が心地いい。この扇風機も例の盗撮画像で稼いだ金で購入したものだ。この扇風機が来る前は団扇か扇子しかなかったから、その購入資金を稼がせてくれた女子たちには感謝しないとな。
「さて、と」
寝ながら制服を脱ぐ。ハンガーにかけるのは後にしよう。これが普通のご家庭だったらお母さんから「はしたない」なんて叱られるんだろうけど、幸いこの家には僕一人しかいない。だから、下着でゴロゴロしても誰にも怒られないのだ。
「これも取っちゃおうかな」
ブラに手をかける。ほんの少し前まで男だった僕にはこれがどうも邪魔なものにしか思えない。でも、女子が言うには胸の形をキープするためには絶対必要らしい。関係ないや。取っちゃえ。ボヨヨンと二つの大きいお山が姿を現す。
「……」
僕は再びブラを着けた。なんか恥ずかしかった。男の時だったらパンツ一丁で平気だったのに何故?やっぱり年頃の娘がおっぱいボヨヨンってはしたないな。って、僕は男だ。
「……」
服を着よう。女の子は不便だな。男だったら裸でいても平気なのに女の子になるとなんか恥ずかしい。胸がふくらんだから上は前開きでないときつい。今日買ったのは下着だけだから、服は別に買わないといけないけど、サイズはいくつだっけ?女の子たちがいろいろ測ってくれてたけど全然聞いてなかった。女の子は男と体のつくりが違うみたいだからよくわかんない。ちょっと大きめの服を買えばいいかな?ネットで探してみる。
「いろいろあるんだな」
さて、困った問題が一つ。ついこないだまで男で、生まれてこの方異性と付き合った経験が絶無の哀れでちっぽけな存在だった人間が女の子の服を選ぶセンスがあるかどうかだ。答えはノー。そんなセンスは未来永劫必要としないって考える以前の問題だったもんな。誰かに見せるわけでもないから適当に選べばいいかとも思ったが、何でもいいというのは案外選ぶのに苦労するんだな。パソコンの画面と睨めっこしていると玄関のチャイムが鳴った。
「はーい」
誰だろう。各種支払いはすでに済ませている。回覧板か?出てみると案の定いつも回覧板を持ってくる子供がいた。しかし、持っているのは回覧板ではなく段ボール箱だった。
「はい、これ」
箱の上は閉じられていなかったので中身が見えるがどうも服らしい。
「これ何?」
「兄ちゃんじゃなかった姉ちゃんの事を皆に言ったら隣のおばちゃんが持って行ってあげてって。あそこの姉ちゃんのお古だって」
え?ひょっとしてご近所さんに僕の事言いふらした?
「うん、皆びっくりしてたよ」
何ちゅうことを。そりゃいつかは発覚することだけどさ。できればなるべく知られずにいたかった。まあ、それはともかく服を持ってきてくれたのはタイミング良かった。出費を抑えられたからな。家賃、食費、水道光熱費、携帯代、授業料、その他雑費を男子高校生一人で賄うのは大変なんだよ。だからこの家にはエアコンが無いし電灯も裸電球だ。
「ねえねえ、上がっていい?」
「え?まあいいけど…」
「やったあ」
やったあってそんな喜ぶような物なんてないよ。上がりたいと言われたら断る理由も無いから上がってもらう。
「ねえ、漫画とかゲームとか無いの?」
無いよ。見ての通り貧乏暮らしだ。
「じゃ、家からゲーム持ってきていい?」
いいよ。
「急いで取りに行ってくる!」
超特急で出て行ってまたさっきよりかは小さい段ボール箱を持って戻ってきた。ボードゲーム各種とトランプか。結構持ってきているな。長居するつもりか?
「どれからする?」
どれでもいいよと言えないのが悲しい。ずっと友達なんてほとんどいなかったから遊ぶのは大抵爺ちゃんとだった。爺ちゃんとはトランプや将棋、囲碁、オセロ、チェスで遊んだことはあったが、ボードゲームの類はほとんどが未経験だ。しかし、この年になってボードゲームの一つもしたことが無いというのは格好がつかないからトランプでもしよう。ババ抜き、神経衰弱、ポーカー、大富豪とやっていくうちにさすがにトランプは飽きてきた。時計を見るとそろそろ晩飯時だろう。
「もう帰った方がいいよ」
「え?今日は帰らないよ」
は?
「ちゃんと用意してあるんだ。ほら」
と段ボール箱から取り出したのは着替えと枕だった。ちょっと待て、まさか泊っていく気か?
「うん」
うんって、いきなり言うなよ。
「だって、今日は父ちゃん仕事で帰らないから家で俺一人なんだもん……」
そうか、この子の家は父子家庭で兄弟もいないから父親がいなかったらこの子一人だけになるんだ。だとしたら無下に追い返す事もできんな。
「本当?やったあ」
でも、ずっと一人ぐらしだったからちゃんとした食事は期待できないよ。スーパーで惣菜を買ってくるかレトルト食品が多いな。
「いいよ、姉ちゃんと食べられるならなんでも」
その姉ちゃんってやめてくれない?
「え?姉ちゃんは姉ちゃんだろ」
そりゃそうだけどね。さて、夕飯は何にしよう。今日はお客さんがいるからカップ麺ですませるわけにはいかない。幸い、米はまだあるから炊いてレトルトカレーで食べよう。
「わあい、カレーだ」
食卓に並んだカレーライスに両手を上げて喜びのポーズを示す子供。レトルトカレーでそんなに喜ばないでほしい。
「だってさ、俺の家、カレーなんて滅多に食べられないんだもん」
ふうん、そうなの。だったら存分に食べて。
「いただきまーす」
カレーをパクつく子供を見て本当に滅多にカレーを食べられないんだなと思う。食べている間は会話は無い。いつも一人で食べる僕は無論の事、子供も食事中はお喋りしないように躾けられているかもしれない。それか僕と合う話が無かったか。自慢ではないが同年代の子供とまともに会話した経験などほとんどない。……本当に自慢にならんな。
「姉ちゃん、泣いてるの?」
「あ、ちょっと目にゴミが……」
知らず知らずのうちに涙が出ていたらしい。古典的なごまかしをしてカレーを食べる。文字通り黙々食べていると何か話が無いと寂しくなるな。だが、僕は家族と食事している間でさえほとんど喋る(より正確に言うと喋ってもらえない)事なんて無かったし、この子供とは今日初めて一緒に食事するのだ。何を話せば良いんだ?前もって泊るって知っていたらそれなりに準備はしていたのに。いまからでも帰らないかな。
「なあ、この家ってゲームもテレビも漫画も無いからつまんないだろ?家に帰った方がいいんじゃないか?」
「つまんなくなんかないよ。姉ちゃんと一緒にいるだけでいいんだ」
あ、そうですか。僕なんかと一緒にいるだけでいいって初めて言われたよ。ちょっと嬉しい気が。でも、姉ちゃんと、だからな……。急に人間が近くに寄ってくるようになったな。それは嬉しいはずなのに何か複雑な気分……。
「でも、あんまり僕と一緒にいない方がいいよ」
「えっ何で?」
なんでって…世間体がよくないからさ。男から女になったという意味不明な人間と交流があるなんて人生においてのマイナス評価でしかない。何も悪い事してないのに後ろ指さされるのは僕だけでいい。子供はあんましわかっていないようだ。こういうのを無邪気って言うのかな。違うな。そうこうしているうちにカレーを食い終わったので後片付けする。子供も自分の食べた分を流しに持ってきた。いつも家でしているのだろうかごく自然な流れだった。さて、この後どうするか。仕事しようにも子供がいるからできない。トランプには飽きたし、仕方ない勉強でもするか。こういう時でないと勉強しないからな。
「え、姉ちゃん勉強するの?」
そだよ。君も宿題でもしたら?そういや勉強道具持ってきた?教科書とかノートの類は見てないような。
「家から取ってくる」
なんだ、着替えと遊び道具しか持ってきてなかったのか。子供はダッシュで行ってダッシュでもどってきた。
「姉ちゃん、勉強教えて」
「勉強?」
成績という空を超低空で飛行して落第という地に墜落しかねない僕に教えを乞うとは何と無謀な。とはいえいくら僕でも小学生くらいの勉強なら教えられるし、こう見えても小学校の頃は勉強に力を入れてそれなりに良い成績を取っていた。でも、どんなに良い成績を残しても周囲の評価はあまり変わらなかった。その時、子供ながらに世の中は単に実力だけじゃダメなんだなと理解した。世の中には3種類の人間がいる。ひとつは実力が正当に評価される人間、ひとつは実力が無くても評価される人間、そしてもうひとつがどんなに実力を磨いても正当に評価されない人間である。そんな厳しい現実を知った時、子供心にどんなに頑張っても自分の待遇が変わることは無いと理解したものだ。結局、子供に勉強を教えるのに時間を費やして自分の勉強はできなかった。まあ、普段勉強しないのに今日だけしてもね。子供はテストで良い点を取ってくると親父さんから褒められるそうなので羨ましいかぎりだ。それが世間では常識だということは知識として知ってはいるが。
「ここはこう解いて、それからここは…」
教えていくうちこの子供の知能がどの程度かわかってきた。それからあまり勉強に熱中できるタイプでないことも。さっきからチラチラと僕の胸を見ている。まあ、女っ気のない家庭で育ったんだから気になるんだろうが。だから、教えた事がしっかりと脳内に刻まれたかどうかは疑問だ。よその子なので気にする必要は無いんだけど。最後の問題も解いて宿題は全部終わった。あとは風呂入って寝るだけだ。勉強教えている間に湯は張ってある。全自動でないのは面倒だが、まだ風呂があってシャワーがついているだけでも良しとしないと。さて、誰から入るか。お客様から先に入っていただこうか。
「お風呂沸かしてあるから先に入って」
その間に僕は受注のチェックを済ませておく。ありがたい事に僕が盗撮した画像や動画の常連客ができてきているのだ。常連客は大切にしないとね。ところが、子供がさらりとこんなことを言い出した。
「俺、姉ちゃんと入りたい」
「はっ?」
「ねえ、良いでしょ」
服を引っ張ってねだってくるが、もう少し小さい子供なら心が動かされるが、高学年ともなるとちょっとイラッとくる。
「うちの風呂狭いから二人も入れないよ」
元々、風呂なんて無かったのを僕が自分で設置したんだ。屋根や塀を取っ払えば露天風呂に早変わりする。風呂がある側には隣に民家も無いので裸でうろついてても大丈夫なのさ。
「そっか…残念だな」
やけにあっさり引き下がったな。じゃ、先に入って。
「俺、明日の予習がしたいから姉ちゃん先に入ってよ」
そう?じゃあ、先に入らせてもらうか。子供が用意して来てくれた着替えを持って脱衣所へ。服を脱いで風呂場に。今日はお客さんがいるので露天風呂にしよう。屋根と塀を取り外す。
「星が綺麗だな」
この周辺はまだ星が見える。満点の星空の下で体を洗うのっていいもんだな。ついつい鼻歌が出てしまうよ。
「姉ちゃんはいつも体洗う時、鼻歌口ずさむの?」
「別にそういうわけじゃないよ……」
って、どっから声がした?振り向くと子供が服を脱いで入って来ていた。
「あは♪」
あは♪、じゃねーよ。
「どうしても姉ちゃんと入りたかったからさ」
頭はちょっと残念だけど、行動力には目を見張るものがあるな。しょうがないな。ほれ、身体を洗いな。
「うん、ありがとう」
その間、僕は湯船に浸かる。体を温めながら星空を見上げて僕は思った。もう少し大きい湯船にするべきだったかなと。実は露天風呂バージョンにしたのは今日が初めてだ。足を伸ばしてリラックスした状態で見上げたいね。
「姉ちゃん、俺も入っていい?」
体を洗い終えた子供が湯船に足を入れようとしている。子供だから入れなくはないか。
「いいよ」
「やったあ」
もう一人入った事で風呂から湯があふれ出る。狭いので子供は僕の膝の上に乗る形となる。
「ほら、星が綺麗だろ」
「本当だっ」
目を輝かせて空を見上げる様にやはり子供なんだなと思う。
「星は綺麗だし、姉ちゃんのおっぱい気持ちいいし最高だよ」
おっぱい?見てみると子供が僕にもたれる事で胸が背中に圧迫されていた。
「まったく」
呆れたように溜息を吐く。小学校も高学年になったら女の子に興味を持つようになるか。ここでふと疑問が。果たして一緒に入浴という行為が教育に及ぼす影響はいかほどのものか。自分では認めたくないが、僕の体は男を惹きつけるらしい。そんな人間が子供と一緒に入浴することで、その子の将来を捻じ曲げてしまうとなったら、そう考えると怖い。
「そろそろ上がろうか」
怖くなってきた僕は風呂から上がる事にした。
「えーっ、もうちょっと姉ちゃんのおっぱい堪能したかったのに」
堪能するのは星空にしてくれ。
「もうしょうがないな」
やれやれといった感じで子供も風呂から上がった。さて、あとは寝るだけだがそういや子供は布団を持ってきていないな。いまから取りに行くのか。もう外は暗いから僕もついていってやらないとな。その旨を伝えると、
「俺、今晩は姉ちゃんと寝るから」
さも既定事項とばかりに言い放った。
「……」
えーっと、それはちょっとね。僕の布団は一人用で二人も寝ると窮屈だ。
「平気さ。姉ちゃんと密着できるから」
そんな事言われて「はい、そうですか」とでも言うと思っているのだろうか。ここはやはり布団を取りに行くのが妥当と言えるだろう。
「こんな夜更けに出かけたら姉ちゃん襲われちゃうよ」
なぬ?
「この辺ってさ、時々変質者が出没するだろ。姉ちゃんを見たら我を忘れて襲ってくると思うよ」
まさか、そんな…ははははは…でも、怖くなってきた。
「だからさ、俺と一緒に寝た方が安全だよ」
それもそうか。というわけで一緒に寝る事にした。とはいえ、やはり狭いな。
「だったら俺を抱きしめていいよ。ほら、抱き枕ってあるだろ」
「いや、遠慮しとく」
「じゃあ、姉ちゃんが抱き枕になってよ」
僕は二次元キャラか。アホな事ばっか言ってると畳の上で寝かすよ。
「はーい」
「じゃ、電気消すよ」
「おやすみなさーい」
「はい、おやすみ」
消灯。
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電車の中にいた。それもかなり古めかしい。他には乗客はいないみたいだ。隣の車両にもその隣の車両にも誰もいないみたいだ。どこを走ってるんだろう。外の景色を見ると海が見えた。海か、初めてみた。家族旅行で海に行く時も僕だけは連れて行ってもらえなかったからな。水遊びと言えば爺ちゃんに川に連れて行ってもらったぐらいだ。この電車はどこに向かうんだろう。そして、僕はどこで降りればいいんだ?
「あっ、止まった」
停車のアナウンスも流れていない。どこかの駅に停車したみたいだけど、どうしよう降りようか。少し考えて僕は降りることにした。僕が降りた駅は歩廊があるだけのごく簡単なものだった。改札口も駅員もいない。
「運賃、払わなくていいのかな?」
払えって言われても財布なんか持ってないし。少し悪いと思いつつも僕は料金を払わずに駅を出た。
「どこに行こうか」
文字通り、右も左もわからない。人に訊こうにも誰もいない。人がいそうな民家や商店もない。一体ここはどこなんだ。
「そうだ、海に行ってみよう」
せっかく海に来たんだから海に行こう。浜辺を歩いていると空に巨大な物体が浮かんでいるのが見えた。半透明の十字架で、大きさはそうウルトラセブンがガッツ星人に捕まった時の十字架と同じくらいか。
「なんだ、あれ」
あんなのが宙に浮いてるなんて。ふわふわと漂っているのではなく微動だにしない。なんかよくわからないけど、ちょっと怖い。
「あれは儀式に使う檻さ」
不意に声がしたので振り向いたら僕と同い年ぐらいの少年が立っていた。いつの間にいたのだろう。さっきまで人の気配なんてなかったのに。
「檻?」
「そうさ、人類が生まれ変わるための儀式のね」
儀式?なんかオカルトっぽいな。でも、檻ということは誰かを閉じ込めるためにあるんだろ。あんな大きい檻に誰を入れるんだ。まさかゴジラとか言うんじゃないだろうな。
「選ばれし者だよ。人類の新たなる母、聖母とよばれるべき女性があそこに閉じ込められて儀式を受けるんだ。そうすれば人類は生まれ変わるとされているのさ」
「聖母?」
この時代にそんな女性がいたなんて驚きだ。
「あっ、生母と聖母をかけているから、ここ笑うところね」
「……」
ごめん、僕にはそうギャグは高度すぎたみたいだ。ふーん、よくわからないけど、その聖母役の女性って大変そうだな。ところで、君は誰?すると少年は僕を指差して
「僕は君の……」
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「ん……」
朝か。なんか窮屈だな。そうか、子供も一緒に寝てたんだった。あれ?この子ってこんなに大きかったかな。それにこの臭い……。顔を上げてみると無精ひげを生やしたおっさんのにやついてしまらない顔があった。
「うああああっ!?」
子供がおっさんになった!?いやいや落ち着け、この人は子供の父親だ。え?子供は?
「うーん、なんだようるさいなあ」
と、畳の上から子供が起き上がった。
「あれ、なんで俺ここで寝てたんだ?あ、父ちゃん」
「おう、起きたか」
「父ちゃん、ひどいよ。俺が姉ちゃんと寝てたんだぞ」
「バーロー、こんな上玉をガキに独り占めさせられるかよ」
上玉って……。父親が言うには家に帰ると誰もいない。子供は置手紙もしてこなかったようだ。そこでここに来てるとアタリをつけたら案の定だった。そこで息子が僕と寝ていたから入れ替わったと。
「いやあ、あんたみたいな若い娘さんと寝たのはもう10年ぶりだから俺も若返った気分になったよ。あんた、うちの死んだ女房に負けず劣らずのべっぴんさんだよ」
ガハハっと思うこの中年は勝手に他人の家に入ってあまつさえ布団に入って添い寝したことになんら躊躇いや罪悪感を感じなかったのだろうか。
「心配しなさんなって、万が一の時は俺が責任をもってお前さんを幸せにするからよ」
何言ってんだろこの人。
「父ちゃん、姉ちゃんは俺のお嫁さんになるんだよ」
「あんだとぉ、おめえ父ちゃんに刃向うつもりか」
「父ちゃんこそ、歳を考えなよ」
「うるせえ、愛に歳の差は関係ねえんだよ」
他人の家で親子喧嘩はやめてほしい。やるなら自分たちの家でやってくださいよ。それから勝手に人を嫁にしないでほしい。この親子は忘れてないだろうか。僕が元は男だったことを。そういや、変な夢を見てた気がしたけど、おっさんの顔のドアップでどんな夢だったか記憶が消し飛んでしまった。そりゃ、寝起きにおっさんの顔がドアップに来てたら記憶が消し飛ぶくらい驚くよな。おかげでいっぺんに目が覚めたよ。




