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「ただちに降伏せよ」「バカめ」「は?」「バカめだ」「返信・バカめ以上」←間違い 第5部分「長門の覚醒」

ところで、大テラワロス帝国軍の構成は地球式である。

よくファンタジーものにある制度ではない。

それは皇帝エナシムが即位に際して行った軍改革であった。

騎士は「士」ということで最下級の階級で、尉官、佐官、将と連なる。

もちろん軍改革に対して、騎士団などからも強い反発があった。

あたかも織田信長のようにエナシムはこれを鎮圧していったのだった。

なぜなら騎士団では「国軍」でなく、ちょうど共産中国の「軍管区」みたいなものだと見なしていたからである。

これでは帝国を一つにはまとめ上げられない。

こうして荘園方式の騎士団があった旧リーネム王国は急速にまとめ上げられ、覇権を始めていったのである。

皇帝エナシムが焦っていたのは、実はこの頃にレベル10生体端末との出会いがあったからだった。

そしてそのときに巨大な帝国の存在を知ってしまった。

一番の側近には言ってないがイメージとして見たのだ。

銀河を駆け抜ける無数の艦隊群と見覚えのある国旗を。

そういった危機感からエナシムは軍改革を最優先に断行したのだった。


大テラワロス帝国東部方面軍司令長官ザレー中将ははっきり言って焦れていた。

一向にエルフ族が突入してこないからだ。

粛清されたゴブリンどもを見て怖じけたのかと考えていた。

「まずは降伏勧告を行う。」ということで降伏勧告を行った。

『エルフ族よ。ただちに降伏せよ』と書面を送った。

それに対する返答は『バカめ』だったのだ。

・・・もしこの場に旧でもいい、日本人がいたのなら、結果は違っていたのかもしれない。

もしここに皇帝エナシムが居たのなら、かえって戦闘は回避出来たのかも知れなかった。

だが基本的に最前線は占領地の将兵が使われていたのだった。

ちなみに「バカめ」と返答させたのはベラだった。

ペルムはそれを聞いて笑いながら「そりゃいいや」と賛同したのだった。


当然ザレー中将は激怒し返答文書を破った。

「直ちに進軍せよ!」

まずは前座の戦闘で粛清され降伏したゴブリン軍が先頭で進軍することになっていた。


エルフ族は基本的に強大な魔法を使える。

そして、その中でも得宗家ミヒャデリアン家は代々族長を務める由緒正しい家だった。

その事実上の後継者、ベラ=ミヒャデリアンは地面に巨大な三次元魔法陣を構築し、呪文を唱えていた。

彼女、ベラの想定している魔法は2つだ。

風魔法と火炎魔法の同時進行である。

これは、ペルムといろいろと話し合った結果の魔法である。

ペルムがまず周囲に結界をはり、その外側にベラが気流の渦を作る。

その気流の速度はすさまじく速いものにした。

一方で火炎魔法を敵勢力の周りに展開し、人工的な火炎旋風ファイアーストームを起こすことで敵勢力を一気に無力化することも考えているのだ。

かつて、東京大空襲でとられた作戦でもあるし、三国志のあの赤壁の戦いもそれだった。

地球では割とポピュラーな作戦である。

そのことを知っていたベラだからこそ使える魔法だろう。

ちなみに気流を使った防御も日本に居たからこその発想であり、ベラはどこぞの大帝よろしく高笑いしたいなと考えていたのはご愛敬である。

「わはははは!ここまでは敵ながらあっぱれ!よくやったと褒めてやる。だが戦う力は残っていまい?どうするヤ○○よ。」と。

実際は複合魔法を展開した真っ最中なので、そんな高笑いなどする余裕がなかったが。

その効果は投石器が放った石を粉砕したことで実証される。

一方では火炎旋風、一方ではすべてをなぎ払う大風、まさに戦場はカオスと化した。

それも、敵陣営だけ。

その時だった。

「・・・・完了。」とナガトがつぶやくように言ったのは。

「・・・・え?」ベラはあっけにとられた。

「戦闘システム・・・チェック完了、ナガトクラウドサービスシンクロ開始・・・完了。帝国宇宙軍戦闘システムシンクロ開始、・・・・完了。」

ナガトの口からそういった呪文のような文言が綴られる。

「オールクリアー。5秒以内に再起動。」

ベラがあっけにとられたその一瞬だった。

魔法構築がおざなりになったせいで、偶然にも投石器から放たれた大型の石が隙間をぬってベラに向かってきたのだ。

「ベラ!!」ペルムは思わず叫んでいた。

「!!」ベラは再度魔法構築を開始した。

だが間に合わないと悟り、ベラは思わず目を閉じた。

その時、光がその石を破壊した。

ナガトが右手を差し出している。

彼女はその後その辺の小石を拾うと空中に浮き上がった。

右手を敵に向けた瞬間光のようなものが発射され、敵勢力本隊の陣営の前の湖に直撃、巨大な津波を発生させ、陣営ごと押し流したのだった。

(津波・・・か。)ベラは津波には複雑な想いを持つ。

彼女自身は山育ちで海なんか見たこともないはずなのに、だ。

・・・・・遠い異国でのあの冬の日、『自分たち』は津波に呑まれ・・・・。

彼女の目の前に一瞬、迫り来る黒い大波が見える。

そんな回想は一瞬だったかも知れない。

すぐ我に返ったからだ。

「今のは、まさか・・・レールガンか。」ペルムが絞り出すような声で言った。

「レールガン・・・・。」

「俺が居た頃でもまだ実用化されてなかったはずだ。まだ実験するにしても大電流が必要だった。あんな風にコンパクトに発射出来るなんて・・・・」

彼らの前には空中に浮いてたナガトが地面に降り立っていた。

惨敗であり、甚大な損失の報告を受け取ったエナシムは侍従を下がらせる。

「・・・どう思う?」エナシムは相棒のラルクに問うた。

「間違いなくファイアーストーム・・・・火炎旋風だよ。・・・東京大空襲がその最たるものだが、そんな前例を知っておかないとこんな発想は出てこないだろう。」ラルクはいう。

「それに・・・・。気流を使った防御魔法か。それでは・・・まるで・・・・都市帝国・・・。」

「ラルクよ。何を考えている?」エナシムは苦笑しながら聞いた。

「忌憚なく述べよ。」

「おそらく陛下と同じかと。」

「エルフに仲間が居ると言うことか。」

「は。」

「ならば、私自らが赴かねばなるまい。」

エナシムは立ち上がった。

「長門にもだが、そんな強力な魔法の使い手なら他の者では手に負えまい。」


ここに大テラワロス帝国皇帝エナシム=ナナミ=サカタ=ルフィーヌは出陣した。

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