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ソラから降ってきた少女

その世界は混沌としていた。

人間、亜人、ゴブリン、エルフ・・・・いくつかの種族がいた。

彼らは基本的に大陸ごとに棲み分けていた。

一番大きい大陸に人間族が主に住んでいた。

いくつか王国があり、人間の国家同士でも戦争が起こった。

王国歴134年、そこに圧倒的な力を持つ魔王軍が侵攻してきた。

大勢の人が死んだ。

その人類の天敵を焼き払ったのは「れべるじゅうせいたいたんまつ?ナガト」さんだった。

これは、後に勇者「ナガト」と呼ばれる意味不明な少女の物語である。

ベラはエルフ族と呼ばれている種族の少女である。

ここはエオリア亜大陸の南東部、北方にくらべたら平和な場所だった。

ベラには不可思議な記憶があった。

すごく大きい建築物、空を飛ぶ何か。

最初はそれが何なのか分からなかった。

それが何なのか思い出したのはヒトとの小競り合いの中でだった。

エルフは魔法に特化した種族である。

当時10歳だったベラも簡単な攻撃魔法は使えた。

戦いが終わった後ベラは疲労感に襲われ、10日ほど眠り続けた。

その中でベラは知ったのだ。

かつて日本という異世界の国で男として生きて、死んでこの世界に女として生まれ変わったことを。

・・・・だからこそこの少女との出会いは衝撃的だった。


「ベラ、この料理ってなんていうの?」

ベラは鍋に肉を入れながら答えた。

「スキヤキって奴?・・・・本物とはちょっと違うけど。」

ベラの前で目を輝かせる少年たち。

彼らは国境警備兵である。

彼女は差し入れに来たのだった。

「あっとベラ。ヒトだと思うんだけど珍しい格好してるのを牢に入れてるんだけど、見ていくか?」

帰ろうとするベラに少年兵のリーダー、ぺルムが言った。

「斥候?」

「違うと思うんだけどな。黒い髪で珍しいんだよ。」

「へえ。」

ベラはちょっと興味を持った。


その牢屋は山の中の洞窟の中にあった。

「こいつだよ。」

牢屋の中に黒髪の女が座っている。

ベラはあれと思った。

典型的な『日本人』顔じゃね?と。

その女は言ってきた。日本語でだ。

『この世界は何処?あなたは何者?』

「・・・・・。」懐かしい言語である。

『物質を構成する組成そのものが違うわね。』

「・・・・・ペルム、お願いがあるんだけど。」ベラは付いてきたペルムに言った。

「何?」

「このヒト族もらえないかなー・・・なんて。」

「お前は何にでも興味持つよな。長老に聞いてみなよ。」呆れたように彼は言う。

「お前のばーさまにな。」


その女は見たところ武器は持っていないことから、両手を後ろで縛られた状態でベラの家に連れて帰った。

そのまま、祖母の部屋に入る。

「失礼します。おばあさま。」

「ベラ・・・・隣のはヒト族ね。どうしたの?」

「このヒト族を私の所有物にしたいのですが。」

ばーさまは困ったような顔をする。

「エルフ社会にヒトがいるのは不安定要素よ。」

「なるべく目立たないようにしますからお願いします。」

ベラは頭を下げる。

「・・・・分かりました。頑固なのはそっくりね。」


ベラは自分の部屋に入ると早速部屋の鍵を締め、音などを遮断する封印の魔法を使う。

そしてベラは日本語で言った。

「私の名はベラ。元、日本人よ。」

その女はちょっと驚いたようだった。

「あなた・・・・日本人なの?」

「今は違う。」ベラは両手を縛っていた縄を外した。

「帰化とかそういうものじゃなく、この世界に生まれ変わった。」

改めてそのヒトに聞いた。

「あなたの名前は?」

「名前は長門。覚えてるのはそれだけ。」

「長門?戦艦長門や長門○希の長門?」

懐かしい名前である。

かつて軍オタであったベラはそれに萌えてたものだ。

戦艦長門。戦艦大和が大日本帝国の秘匿戦艦だったことに対し、長門は帝国海軍の象徴と呼ばれた。

敗戦後まで残り、アメリカの水爆実験で生涯を終える。

生まれ変わる前の記憶なのではっきりしないが、だいたいこんなもんだったと思う。

長門○希は某ラノベの登場人物で、戦艦長門から名前を取ったとされた・・・と記憶している。

この世界にはインターネットは存在しないから記憶を探るほかない。

「長門なんて女に付ける名前だったかしらね・・・・。」ベラはちらっと不思議に思った。

長門市とかあったし、苗字にはあったとおもうんだけど。

ともかくぼろぼろの服を変えようと思い、自分の服を取り出す。

「とりあえずこれを着なさい。」

長門と名乗る少女は服を脱ぎ始めた。

ベラはその後ろに立っていたが、長門の首の後ろに紋章が掘ってあるのを見た。

それは菊花紋章である。

(菊のご紋・・・・?確か皇室の・・・・。)

恐る恐るそれに触れようとすると、どんな技術か知らないが文字が空気中に映し出された。

それにはこう書いてあった。



           大日本帝国宇宙軍所属

            長 門型生体端末

            星歴230年製



「ふ。」

どこの銀河英雄伝説なのさと、ベラは自嘲するように笑った。

その下にはバーコードが表示され、その下には「障害通知」という点滅があった。

なぜかそれに触れたくなり、欲望のままにベラは行動した。


    障害項目:X01210191876098EQ

記憶障害:自己修復機能起動中:自動修復まで2603421秒・・・


と表示が出てくる。

修復の時間はカウントされていた。

最初の英数字の羅列はパソコンのブルースクリーンのエラーコードみたいなものなのだろうか?

「・・・着てもいい?」

長門はそういった。

「あ、ごめんなさい。」

ベラは長門から離れた。

自動修復の残り時間は260万秒となっている。

1時間は3600秒である。1日は86400秒である。

260万秒が何日か割り出すとしたら、86400で割ればいいわけだ。

ベラは紙で計算してみた。

結果30日余りと出た。

この世界には、少なくともエルフには時間の概念はあまりない。

だから今までそのことを考えることは無かったが、今、改めて思い始める。

この世界はいったいどこなのかと。


この世界は、自分がかつていた世界より未来だということは確かだろう。

星歴という暦がいつなのかは分からないが、自分がかつていた世界で西暦が終わったのは確かだと思われる。

しかも日本は存在してるらしい。

しかも宇宙軍とか大それた事を書いてあったのだ。

そう考えながらベラは長門が見つかったとかいう場所に来ていた。

「あの人間は空から降ってきたんだ。」ペルムが言う。

「飛行竜で移動中に落ちてきたんじゃないのか?」

「・・・・ペルムはあの空の向こうには何があると思う?」

「さあな。魔界でもあるんじゃないか?」

そういいながら下に降りていった。

「魔界にあのアマレがあるの?」そういいながらベラは太陽を指さす。

アマレとはいわゆる太陽の事である。

「俺にはわかんねえよ。」

ハナから期待していなかったが、科学的概念がなさ過ぎると思った。

人間族はどうか知らないが、前にきいた話では中世ヨーロッパ時代に近いとか。

・・・もし宇宙戦争でも起こってたら・・・。

長門がその星間戦争に参加して不時着していたとしたら・・・。

むかし見た某アニメで、反乱を起こしたとして、某帝国に焼き尽くされ蹂躙されるシーンを思い出した。

かつての自分がいた日本が、そんな国に変貌していたとしたら・・・・。

そしてブルッと震える。

エラーが修復されてから詳しく聞いてみることにした。

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