97:最終日
新しくブックマークを頂きました!ありがとうございます!今日の更新は21日、日曜日分です、俺が寝てないからまだ21日です。いいね
ベルデ学園祭3日目、今日が終われば3日間に及ぶ学園祭も終了。一般客退場後は関係者とその親族のみが参加できる後夜祭が行われる。
「今日は騎士組の昼公演終了後、ステージ撤去があるのでお化け組も一緒に撤去を手伝ってください。特に土適正の方は強制参加でお願いします。では各々最終日、気を付けて楽しんでください」
「「「はーい」」」
いつもの教室、フレア議長の一言で各々が思い思いに動き出した。後夜祭では屋外訓練場でキャンプファイヤーを行うため当然それまでにステージを撤去しなければならない。土魔法で作ったステージのため適正持ち総動員でさっさと撤去してしまうことになっている。
「アルク、朝の公演が終わったら少し時間を貰えるかしら?」
「ん?大丈夫だけど何か仕事でもある?」
「いえ、母様達が挨拶をしたいというだけよ。コルンも久々に会えるって楽しみにしていたから時間を貰えると嬉しいのだけど」
「そういうことなら問題ないよ、むしろ俺も挨拶はしておきたいし」
「そう、ありがと。場所は決めてあるから公演後に案内するわね」
「そうなるとキャロるんは一緒にいくの?それともシークを呼ぶ?」
「私はシーくんに来てもらうから大丈夫だよ、流石に家族と婚約者候補の中には居づらいってー」
「…メイ、キャロルと合流する前は俺の食いたいもん先に買っていいか?」
「うん、いいよ。そうしないと昨日みたいなことにまたなっちゃうかもだし」
昨日、シークが離れた僅かな時間に3人がナンパされ、その対応でシークは苦労したらしい。予め対策で男女なるべく共にいるようにはしているが、俺がいない分でどうしてもそういう時間が出来てしまったということだ。
「シーク、今度飯奢るから頼んだよ」
「お、マジで?」
「昨日のは話を聞いた感じ俺がいなかったことも一因だしね、おかげで俺は助かったからそのお礼」
「っしゃ!やっと昨日の頑張りが報われたな!」
「いやー、アルるん私のために悪いねー」
「流石にシークが可哀そうだしね、女性陣だとこういうお礼は渡せないし」
いくらお礼といっても貴族令嬢に奢らせた、なんて逆にシークの評判を下げてしまう。友人同士ならそのぐらいは普通なのだけど、そこに貴族やらなんやらの立場が絡んでしまうので地味に面倒くさい。
「よっし、それじゃあメイ、俺らももう行くか。途中で軽食買ってホールにいこうぜ」
「うん、ホットドッグでも買って行こうか。じゃあみんな、またね」
そう言ってシークとメイは室内ホールへと向かって行った。家族とお化けも家族連れを中心に好評で、特にシークは公演を見た子供から人気で会場を回ってると「あー、お化けの人だー!」と結構遊ばれているらしい。…遊ばれてるってのがシークらしいな。
「私達も行きましょうか」
「いこーいこー!」
俺達3人も教室を出発し、フレアが少し用事があるということでそれらを済ませてからみんなの行きたい店を回る。魔法科の代表としての用事に加え、レイン公爵が来ているために発生している用事もあるらしい。
その後俺達は騎士と姫騎士の朝公演を終えてレイン侯爵家用に割り当てられた応接室の一つへとやってきた。
「レイン公爵、お久しぶりです」
「決闘の時ぶりだね、昨日は娘を遅くにも関わらず連れまわしてくれたようだね?」
「えっ!?元はと言えばフレアにハメられたんですけど!?」
「私は父様にプリムのことを任されました。その責任に従ってアルクに預けただけ、プリムが心を許していて、私よりも強い人間がプリム専属で護衛につける。そのメリットから適任だと判断しただけです」
「…つまり職責を果たした結果だと?」
「えぇ、もしこの判断に不服があるならば父様のミスですね。父様が適切だと判断した私が適切だと判断した。これが不服というなら父様の任命責任になります」
「はぁ…、わかった。このことについてアルクくんを責めるのはもうやめよう」
よかった、フレアがちゃんとこっちに付いてくれた…。というかレイン公爵に言ってなかったのかよあれ。
「もう、あなたはいい加減に娘離れしなさいよ…。久しぶりね、アルクくん。コンラートとフレアから色々聞いたわよ、私の目は間違ってなかったみたいで嬉しいわ」
「お久しぶりです、プラム夫人。プラム夫人の目ですか?」
「ええ、まさか決闘でフレアに勝つなんて驚いたわ。コンラートの条件もあながち無理難題じゃないのかもね」
「いやぁ…、無理難題だとは思いますよ?俺がなんとかしようとあがいてるだけで」
「そういう所が期待に応えてくれてるのよ」
どうやら俺は今の所プラム夫人の期待に応えられているようでよかった、俺とプリムの今の関係は彼女が最初に俺の味方となってくれたからあるものだ、彼女の期待を裏切ることはその恩を仇で返すことになってしまう。
「ママ、そろそろわたしも挨拶していい?」
「あら、ごめんなさい。いいわよ」
「お兄ちゃん久しぶり!お姉ちゃんに勝ったのもわたしは驚かなかったよ!」
「プリムちゃん久しぶり。俺が勝てたこと、不思議じゃなかったんだ?」
「うん!お姉ちゃんは強いけど、お兄ちゃんは凄いから勝てるだろうなって!」
「そうなんだ、ありがとう」
…どういうこと?笑顔で応えるけど頭の中ははてなマークでいっぱいだ。
「コルンはアルク様なら姉様でも対応できない方法を知っていると思ったそうですよ」
「そうなの?昨日はありがとうプリム」
「はい、こちらこそありがとうございました。コルンはどうやら姉様とアルク様だと優れている点の性質が違うと感じているようですね」
「へえ、俺と会った時で5歳だったよね?その時の短い時間で俺とフレアの違いを見抜いてたんだ、すごいな」
俺の評するフレアとの違い、強いタイプと上手いタイプ、それを5歳にして理解し短期間で見抜いてたらしい。子供は妙に鋭かったり、人を見抜く目に優れていたりするけど、コルンちゃんは人一倍そういった点が優れているみたいだ。
「さてアルクくん、挨拶も済んだし私からお願いしたいことがあるのだけれどいいかしら?」
「プラム夫人?なんでしょう」
「娘達のエスコートをお願いできる?コルンも久しぶりにあなたと遊びたいみたいだし」
「プラム!?何を言っているんだ!?」
「コンラート、たまには私をデートに連れ出してくれないの?アルク君でもプリムを昨日ちゃんとエスコートしたのに、公爵であるあなたにはそれができない?」
「なっ!?」
「そういうことだからアルクくん、娘達をお願いできないかしら?」
「あぁ…なるほど。わかりました、3人のエスコートでしたら喜んで」
「ありがとう、それじゃあよろしくね。昼食を用意してあるから一緒に食べましょう、それが済んだら娘達をお願い」
「わかりました。ご一緒させていただきます」
レイン公爵家との食事中、レイン公爵は複雑そうな顔をしていたが、反対すればプラム夫人をデートに誘わないということになるためなんとか不満を飲み込んでいるらしい。プラム夫人も呆れながらもしょうがないなという感じだ。
「それじゃあアルクくん、娘達をよろしくね」
「…娘達になにかあれば許さないからな」
「はい、お任せください」
「私もいるから大丈夫よ。それに子供を攫うようなやつは、まず王都に入れないように父様の部下たちががんばっているのですよ?」
「つまり何かあれば部下達も悪いということだな?」
「父様…、どうしてそういうことになるのですか…」
「パパ、ママ行ってきまーす!みんなはやくいこう!」
レイン公爵が変な思考回路に入り始めたところで待ちきれなかったコルンちゃんが出発を宣言してしまった。まあ親バカに付き合って2人のデートの時間を奪ってもプラム夫人に申し訳ないし、さっさと出発したほうがいいか!




