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「ポーションを飲んだ翌日」

書いてみたけど掲載しないことにしたエピソード。

223話と224話の間のお話。

朝の目覚めは悪くなかった。

外が少し騒がしいから、士官学校組の朝練の為、ばたばたしているのだろう。日曜なのに精なでるこっちゃ。

スリッパ履いて早速鏡の前に立つ。

傷跡を隠す左側の髪の毛の半分くらいまで色が着いている。本来の髪色に水を含んで薄くした感じだ。頭を色々動かしたり、髪の毛を摘んで上に上げたりして鏡に映す。

毛先もうっすら色が入っていた。

てっことは……。俺はベッドの端に腰掛けた。

下のは……、けっこう色が入っている!

うっしゃー!

しょぼくれたジジイなんて言わさんぞ!

魔力使い切った直後は、もう一生一種類の事にしか使わないかも知れないと絶望したそれは、朝起きたら普通に元気になっていた。男の子のバロメーターが反応するってそう云う事。

それで一安心出来たから、俺は二度寝する為にベッドに潜り込んだ。



朝の食堂。幼馴染みと飯を食う。

「髪の毛の色、かなり戻りましたね」と、W。

「昨日、エミちゃん経由でリリちゃんからお手製ポーション貰ったんや。学園へのレポート提出条件だけど」

「レポート提出……。空になるくらい魔力を使う事なんてありませんから、リリアナ嬢からしても良いサンプルになるでしょうね。お身体の方は?」

「うん。めっちゃ快調!お肌もツヤツヤ。爪の先からお毛々の先までピンピン。昨日はしょぼくれてた相棒も、今朝は超元気に上向いてたよ」

Wはきょとんとしていたが、顔を赤くして俯くと、ぷっと噴き出した。

飯を食い終わって、奨学女子二人の処へ行く。

黒髪眼鏡ちゃんにめっちゃお礼を言った。

「いつか何かお礼するな」

「お礼なんていりません。いつもお世話になってますから。自作ポーション一本ではまだ足りません」

慌てふためく黒髪眼鏡ちゃん。

「そうです。遠慮なく」と、相棒の姐さんがウィンクした。

それで、しばらく二人と話しこむ。

朝食食ったら、二人は外園の雪掻きをせねばならんらしい。士官学校組は今日も町や村に続く街道を雪掻きして出掛けている。

なんやかんやで外園は広い。庭師とかの職員も雪掻きするが、人手は足らない。

「なら、土人形出してでっかい雪だるま作る感じで雪掻き手伝うよ」

「一般学生の方にそれは……」

「教務課行って、魔力回復の具合を見たいからって申請すれば通る……かな?」

「かもしれませんけど」

「じゃ、そうする」

食堂を出た足で教務課に向かった。あっさり許可が下りた。

外套着込んで手袋して、西門から外園に行く。

昨日使った魔法演習場には雪がない。

演習場の土に“泥の傀儡”を掛ける。俺が乗れる程度の土人形はあっさり出現した。普通に魔法は使えそうだ。

コロシアム近くの空いてる場所で動いている人二人。

作業服の上に外套を着込んだ女子達が、運動場の雪をショベルで退かしていた。

土人形引き連れて運動場に向う。二人にショベルで土人形が転がしやすいサイズの雪の塊を作って貰う。そして、コロコロと雪塊を土人形に転がせた。

俺より少し小さい直径の雪の巨玉を数個作り、運動場の雪掻きは終わった。

「なんかさ、これで終わるのもったい勿体ないよね」

「勿体ないって?」と、エミちゃん。

「雪降ったらさー、雪だるま(スノーマン)作ったり、かまくら作ったりしたいじゃん」

「雪だるまは分かりますが、カマクラって何ですか?」

「あっ、雪の小屋というかドームみたいな。硬い雪山を作って穴掘って、中に敷物敷いて暖かく過ごすみたいな」

「あー、雪の小屋(スノードーム)ですね。はいはい」

「あと、雪合戦も出来そうだよな」

「そうですね。雪玉の投げ合い」

「そうそう……。あっ、俺、思いついたからちょっと戻るわ」

それで、二人を残して内園に走って戻った。

教務課。

「雪合戦ってやって良いですか?」

土人形を放ったらかしにして内園に帰っていったCが走って戻ってきた。

「許可下りた!」

「雪合戦のですか?」

はぁはぁと息を切らしている。

「イエス」

Cは目を輝かせてにっと笑う。

「月曜日の授業で“水”属性の訓練に使いたいから、演習場近くに雪を積んで置いてほしいらしい。それ以外は、自主練兼ねて雪合戦しても構わないってさ」

エイミーと顔を見合わせる。

「あたし達は……」

「授業の範疇らしい。それに、士官学校組がおったら楽しめんやろ。彼奴等勝負事だとガチりよるからさ」

私達は苦笑した。

「雪合戦のルールは学園にあるらしくて、それを利用させてもらう。みんなでやったら絶対楽しいと思うんだよな」

ゲームのCは、誰かに誘われれば現れるけれど、自分からノリノリで何かを提案する事はない。

「教務課に確認して、あたし達も参加しようよ」

「えっ!?エイミーが言うなら……」

なんか巻き込まれるなぁ……。

それで、Cは土人形に雪玉を転がせる作業を急がせていた。

「魔力、大丈夫ですか?」

「貰ったポーション効いてるのか、調子いいよ。一週間分のレポート書くからちょっと待っといてな!」

土人形二体出現させて雪玉コロコロ転がす彼は、終始ご機嫌だった。



私達が、女子寮に戻った頃には、雪合戦の噂は回っていた。もうすぐ食堂が開く時間で、食事に向う学生とすれ違う。

寒いしイヤだ派と、面白そう派。

だけど、主催が二年生のCなので、他学年は高みの見物……の様な感じ。

食堂である程度人が集まり食事を取っている時だった。

Cが叫ぶ。

「午後外園で雪合戦しまーす。参加希望者は一時半から食堂で説明会ありま〜す。参加する場合は濡れるので、制服の替えが無い人は、戦闘服のズボンと外套と手袋でお願いしまーす」

何人かの同級生の男子達は、「雪合戦、雪合戦」とはしゃいでいた。

「他学年の方の参加もOKです。女子、特に“水”属性の人大歓迎!」

他学年の人達もざわつき始めた。

一年生の島。

Cが、“水”属性の一年生男子を挑発していた。周りはちょっとハラハラしている。

“水”の彼が参加すると宣言した。

一年女子達が甲高い声で騒いでいた。

「クーちゃん、お前も参加な!」「分りましたは、カル兄さま!」

「そう言う理由で、他学年の参加お待ちしてます。勝負事には目の色変えちゃう士官学校(トニトルス)組がいないうちに、楽しく雪合戦やりましょう!」

三年生の島からも拍手と歓喜が上がった。



雪合戦のルールは学園にあったので、ティーダ先生が解説をしていた。


参加者は合計七十人。属性毎に集まって二つのチームに分けられる。チーム分けの仕切りをCが担当していた。

分け方は「うらおもて」と言う方法だ。手のひらを上に向けている人、手の甲を上に向けている人をそれぞれ1つのチームとする。前世でもやった記憶がない方法。

「ジャンケンじゃないんですか?」

「グッパでホイだと、チョキ出す奴いてるから。これが確実」

リレー大会や紅白戦は、学園側で組み分けをされてしまう。一部の女子は、意中の人と一緒になれるかもと期待に目を輝かせていた。

Cとその姉、王子様は、私と同じチームじゃなかった。



結果は、Pと私がいたチームが勝った。

三回戦行って、二回勝った。

Cのフラグ大丈夫かなと思ったけど、これ「エレラバ」で出て来ないイベントだから、大丈夫か?

「あっちゃー負けてもうた」と、笑いながら項垂れるC。でも、姉弟、そして王子様と楽しそうにしている。

遠目でそれを見ながら、私は何となく安堵した。

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