エピローグ 夜霧の王都
2章ラストエピソードです。
市民が待ち望んだ第二王子と紅の姫の結婚式の日。
王都は深い霧につつまれた。
時折、霧の中で光が放たれた。
結婚式が行われた教会の方からあがる炎。
1m先も見えない霧が王都を包み、月と太陽を隠す。
朝になっても晴れず、霧は王都を覆い続ける。
日の光も月の光も入らず、街は暗闇に落ちた。
それは異様な光景だった。
王都を取り巻く城壁の中のみに存在する霧。
霧自身が意思を持っているかのようにその境界線を守っていた。
誰も霧の中からでてこない。
霧の中に入った者は戻ってこない。
霧は晴れることなく、王都を覆っていた。
王都から連絡が途絶え、国は混乱した。
近隣の街の大貴族が軍隊を率いて王都に入ったが、彼らは一人も帰ってこなかった。
一ヶ月後、たまたま王都を離れていた第三王子夫妻によって組織された臨時政府は、王都の破棄を正式に宣言。同時に、第三王子夫人改め現王妃マリー様の故郷、魔法都市ベリスを新王都とし、新王国が樹立された。
その余りの手際の良さに、反乱する貴族も出なかった程だ。
隙をみて攻めてきた隣国ドーラ王国を、第三王子傘下の魔法師団で待ち伏せ撃退。逆に領土を拡大した。
驚くほど混乱なく、国は再び動き始めた。
しかし、国の各地で異常な霧が発生していた。
霧による被害は広がり、人々の間では「夜霧の姫」の噂が口にされていた。
そうして、一年の時が流れ、旧王都は「夜霧の王都」と呼ばれるようになった。
2章完結です。
1章&2章で第一部でした。
ここで一旦間を開けたいと思います。
ここまでお読み下さり、ありがとうございます。
今後の作品の参考にしたく、宜しければ、感想&評価の方、お待ちしております。
短編投稿しました。
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「歴女の私が婚約破棄されたので、計略を発動した。我が師は天才軍師、「諸葛孔明」」




