表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/5

第1話 家に盗聴器があった話

「ねえ」


放課後の教室。

夕日が机を赤く染める中、幼馴染である彼女――美咲は、僕――湊蒼真の隣に座っていた。


「今日も一緒に帰ろ?」


「うん」


彼女は嬉しそうに笑う。


その笑顔は誰よりも可愛い。

でも、その笑顔の裏に何があるのか、僕は知っている。


「最近、あの子とずっと話してるよね?」


帰り道。

何気ない口調だった。


「クラス委員だから、少しだけ」


「ふーん」


美咲は微笑む。


「私を振ったのにほかの女のことは話すんだ?」


「……でも、もう話さなくていいよね?」


その声だけが、妙に冷たかった。


――――翌日。


クラス委員の女の子は学校を休んだ。


風邪らしい。


そう聞いて安心した僕の机の中に、一枚の紙が入っていた。


"約束、守ってね。"


見覚えのある丸い文字。


美咲の字だった。


ただ、色が赤かった。


僕は恐る恐る赤い文字を指でなぞった。


(血…じゃないよな)


数日後。


「ねぇ、最近誰とも話してないね。」


「う、うん……。」


「えらい。」


彼女は僕の頭を優しく撫でる。


「君には私だけいればいい。」


その言葉は甘い。


なのに、息が苦しくなる。


ある日、勇気を出した。


「少し距離を置こう。」


沈黙。


美咲は瞬きすらしなかった。


「……本気?」


「ごめん。」


その瞬間。


彼女は笑った。


今までで一番綺麗な笑顔だった。


「大丈夫。」


「逃げられないから。」


次の日。


スマホには何十件ものメッセージ。


「おはよう。」


「どこ?」


「どうして返事しないの?」


「君の家の前にいるよ。」


「カーテン開けて。」


「見えてる。」


恐る恐る窓を見る。


街灯の下。


制服姿の美咲が、こちらを見上げていた。


目が合う。


彼女は嬉しそうに手を振る。


スマホが震えた。


「見つけた。」


玄関のチャイムが鳴る。


一回。


二回。


三回。


やがて音は止み、静寂が訪れる。


安心しかけた、その時。


背後から、小さな声が聞こえた。


「おかえり。」


僕はゆっくり振り返る。


合鍵を指先で揺らしながら、美咲は微笑んでいた。


「これで、ずっと一緒だね。」


彼女は優しく僕の手を握る。


…その手は……驚くほど....冷たかった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

その日の夕方、僕は宿題が難しくて悩んでいた。


「ここをこうして……いや、違うな。う~んどうやるんだろう」


そんなことを言いながら宿題をしていると、ピコンとスマホから音が鳴った。


誰かから連絡が来たのかと思ってみてみると、美咲からだった。


【美咲】

:大丈夫?

:今日の宿題難しかったから悩んでるんじゃないの?

:教えてあげようか?

:既読がついたから電話をかけるね


その瞬間、電話が鳴り響いた。出ると、案の定美咲だった。

 

「教えてくれるの?いつもありがとうね。」


そんなことを言いながら教えてもらい、電話を切った。


そんなこんなで宿題が終わったが、もう夜が遅い。


「宿題が終わるのが遅くなったな。夜も遅いしお風呂には入らずに寝ようかな…」


そんなことを言っていたらまた彼女から連絡が来た。


【美咲】

:そうそう

:もし、宿題を終えるのに時間がかかったとしても、お風呂には入っといたほうがいいよ

:幼馴染からの愛のある忠告だよ♥


【蒼真】

:わかった

:愛のある忠告というのは理解ができないが


【美咲】

:今は理解できなくても仕方ないよ♥


そんなこんなで2度目の連絡を終えて、僕はスマホで明日の天気を見る。

「降水確率50%…か。傘を持っていくかもっていかないか」


【美咲】

:追伸、明日は傘を持って行ったほうがいいよ


は?……おかしい、あまりにも連絡が来るのが早すぎる。

いくら幼馴染だからといってこれは異常だ。そう思い、息を殺して部屋を探索すると、思った通り、いや思い通りにならないほうが良かったが、盗聴器を見つけた。


勉強机の裏に一つ。

「……え?」

本棚の隙間にも一つ。

コンセント型のタップを裏返すと、そこにも。

ベッドの下。

壁掛け時計の裏。

一つ見つけるたびに、また一つ。

……五個。


「なんで……こんなに……」

背中を冷たい汗が伝った。

警察に行こうにも彼女の家は隣であり、少しでも変なことをすればバレる。だが、今夜動けばほとんど確定で美咲に見つかる。そうなると何をされるかわからない。やはり明日の学校終わりに警察署に行くべきか?そう思っていると、またスマホがなった。


【美咲】

:おやすみ、蒼真

:明日も一緒に学校行こうね♥

:今日はいっぱい部屋を歩き回ってたね♥


これバレてないか?……そう思いながら僕は寝た。



カクヨム様でも投稿してるものをなろうでも投稿させていただきました。

なろうでは気が向いたら一気に投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ