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9 ネコマタとみんなでおでかけ。にゃーニャー

 朝です。シロマタさんは台所にいました。今日はいつもより早起きです。なぜなら今日はお弁当が必要だからです。それも一人と一匹分ではありません。みんなの分もです。せっかくできたクロマタのお友達ですから腕によりをかけた手作り弁当を作ったのでした。


 三種類のサンドイッチはマスタード入りと抜きをそれぞれ用意、唐揚げは二度揚げして衣はカリカリ、シャキシャキサラダはゴマとレモンの二種類のドレッシング付き、デザートのフルーツポンチを水筒に入れて、最後は痛まないように停止魔法をかけました。良い出来です、一匹でにゃーニャーと頷きます。


 お弁当の代償としていつもより簡素な朝食を作ってから、クロマタを起こします。


 宝箱ベッドの中でスヤスヤのクロマタをいつも通りスリスリグリグリペシンペシンの儀式で起こしてから朝食をいただきました。


 せっかくの休日、せっかくのおでかけなのですから身だしなみもバッチリ決めなければいけません。


 シロマタさんはふたまた尻尾を器用に使って人用の櫛でクロマタの髪を、猫用のブラシで耳を梳かします。お返しにクロマタはネコ用のブラシでシロマタさんの毛並みを整えます。


 寝癖がすっかり直ったら髪はもちろんのこと尻尾も立派におしゃれします。クロマタは髪を尻尾を二つ編みにして先をリボンで束ねました。シロマタさんもお揃いです。


 可愛くて動きやすいおでかけ着に、可愛くて丈夫なリュックサック、可愛くて履きなれた靴で準備万端――いえ、危ないところでした、一つ忘れていました。シロマタさんが小さい瓶を咥えて渡します。瓶には猫のマークと【酔い止めドロップス 眠気・フワフワ有り 用法容量を守ってご利用下さい】と書かれていました。


 シロマタさんがしっかりしなさいのにゃーニャーをして、クロマタは、

「あぶない、忘れてた、シロマタさんないす」

 と言ってから中の飴玉を口に放り入れました。


 今日はみんなで、ドラゴン狩りです。


 なぜそうなったかというと、以前ビュッフェをご一緒したときに傭兵さんが、

「そろそろ尻尾うまうまドラゴンの解禁日だな」

 と、言い出したのでした。


 シロマタさんは口にエビを咥えたまま目を輝かせます。あの、尻尾うまうまドラゴン時期がついに来たのか、と。


 クロマタとウルコちゃんは二人そろって、

「なにそれ?」

 と、首を傾げました。


 傭兵さんはいつもより早口で語ります。

「尻尾うまうまドラゴンは通称だよ。正式にはリオなんとかかんとかドラゴンていうらしいが、みんな尻尾うまうまドラゴンと呼んでるよ。呼び名の通り尻尾がとにかく旨いんだ、肉の頂点といえばこいつだよ」

 いつになく熱のこもった語りでした。


「たべたことは? あるの?」


 一度だけな、と傭兵さんは言いました。シロマタさんも、にゃーと一度だけ鳴きました。


 一人と一匹は、遠くを見るような目で、

「あれは一度食べたら忘れられないよ…………」

 しみじみとしていました。


 ケモミミコンビは不満そうです。だって二人は食べたことも見たこともありません。ずるくて不公平で理不尽ではありませんか。


「クロマタ、たべたい」

「わ、わたしも!」


 傭兵さんはシロマタさんを見ました。自分だけでは狩るのは無理でも、この娘たちと、なによりシロマタさんが手伝ってくれればいけるかもしれません。


 シロマタさんはエビを咥えたまま頭を上下に振りました。


「じゃあ、みんなで行こう」


 そういうことになったのでした。

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