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第九話 五聖賢女五席カオンと、聖麗香グレンダ!

グレンダの温情有る計らいに付いて話し合いを始める、救都の女英勇アーネ・ゾーマと冒険者ギルドマスター・エリカ。

守備隊隊長メダルドは正妻トレイシー、副団長ヘーシング、四人の子息の身柄を拘束して、何時でも守備隊隊舎に連行出来る状態に有った。

話合いを始めた二人だったが、上級貴族の処分に関する決定権を持たないので、話が進まず焦りの色だけが濃く成っていた。

其処に別件で動いていた五聖賢女五席カオンが姿を見せ、アーネと肉奴隷に墜ちたエリカに声を掛ける。


「アーネさん、エリカ、此方の状況は如何でしょうか?」

「カオンさん!助かりました。実は・・・」

「何か有りましたか?アーネさん。エリカも話を聞かせて下さい」

「肉欲の支配者カオン様、バルドストン辺境伯家第六子グレンダの処分を如何するか、アーネと話をしていたのですが・・・」

「カオンさん、此処までの流れを説明します」


五聖賢女五席カオンに此処までの流れを説明するアーネ、話を聞いていたカオンは暫く沈黙を守っていたが、最後の方は終始笑顔を崩さないでいた。


「アーネさん、御安心を。神託の聖女ガーネラ様と私達五聖賢女は、今まで王都ログザークの王宮でコルナーギ公爵と打合せを行っていました」

「法務大臣コルナーギ公爵様と話したという事は、バルドストン辺境伯家に対する公式な処罰が決まったのですね」

「バルドストン家に対する処罰は決まりました、此れから領民達にも知らせたいと思います。領都ズレクに住む領民の皆さん、私は神託の聖女ガーネラ様に仕える、五聖賢女五席のカオンです!」


神託の聖女ガーネラの名前が出た途端、トラザム広場に集まった領民の口々から【魔人族の大国パクトラ、中北部に位置するタラキラ王国、同じくキールハイム王国、東端の島国ミズホ皇国で、魔素毒病や毒殺で死んだ王女達を次々と蘇生した】話題が噴き出した。


「神託の聖女ガーネラ様は空間転移魔法が使えますので、私達五聖賢女を引き連れ王都ログザークの王宮に向かい事態の収拾に動きました。其処で法務大臣コルナーギ公爵と話し合いを行いクアドラ重虐罪法に関する処罰と、ズレク領民に対する残虐非道な振る舞いに対する重い処罰が決まりましたのでお知らせします。クアドラ重虐罪法を犯した正妻トレイシーは王都ログザークで断首、第一子ヴィクター、騎士団副団長ヘーシング及び牝犬調教品評会の会員だった騎士団員は領都ズレクで公開断首、他の子息次男マイルズ、三男ニコラス、四男ラッセルは取り調べ終了後、犯罪奴隷としてケベルゴ山麓に送り生涯鉱山労働者の任に付かせます。王都ログザークで活動を続けている領主ヒューバートも、クアドラ重虐罪法及び領民虐殺の連帯責任を免れる事は出来ません。現在バルドストン辺境領に隣接するデ・ブランジェル帝国に怪しい動きが見られ、領主不在の状態を作ると領都内に干渉される不測の事態を考慮して、長女カミラ・ヴァン・バルドストンを当分の間代理領主に任命する事が決まりました」


長女カミラ・ヴァン・バルドストンを代理領主にすると言う、五聖賢女カオンの言葉にトラザム広場の彼方此方から驚きの声が上がる。


「但し実務経験の乏しいカミラ・ヴァン・バルドストンに領地経営を任せるのは難しいと判断して、数名の補佐役を付ける事も話し合いの中で決まりました。先ずは五聖賢女四席ミオンが統括相談役に就任します。続いてボドー・ヴァン・バルドストン改めボドー・アリロリアを筆頭相談役に、続いて南球東大陸かルオ・アリロリアと母親のタシュー・アリロリアを相談役に招聘しました。ルオ・アリロリアは神託の聖女ガーネラ様の妹で、フィー・ヴァン・バルドストンの姉に当たります。タシュー・アリロリアはボドー・アリロリアの義姉に当たり、神託の聖女ガーネラ様の母親メノウ様の義妹でも有ります。第二婦人パメラと第三婦人ヒラリーは貴族の身分剥奪の上、タシュー・アリロリアに身柄を預けバルドストン家使用人として働かせる事が決まりました。最後にグレンダ・ヴァン・バルドストンは五聖賢女五席カオン専属の、聖麗香として其の生涯を捧げる事を此処に命令します。現時点を持ってグレンダ・ヴァン・バルドストンは世俗の身分を失い、五聖賢女五席カオン付けの修道女グレンダを名乗る事以外を禁止します。グレンダ、貴女は五聖賢女に仕える女神教連合の修道女です、日々研鑽を怠らず広い視野を持ち自分を高めなさい。フィー・ヴァン・バルドストン改めフィー・アリロリアは引き続きズレク冒険者ギルドで働き、領都ズレクに貢献する事を神託の聖女ガーネラ様共々期待しています。何か質問は有りますか?」


断首を宣言された正妻トレイシー、長男ヴィクター、騎士団副団長ヘーシングは、顔を真っ青に染め身体を震わせ、鉱山奴隷落ちの三兄弟も力無く床にへたり込んでいた。

其の中でグレンダだけが目を輝かせ笑顔で、カオンに抱き着きながら質問を入れて来た。

二人は周りに聞こえない小声で、場に相応しくない会話を始める。


「カオン様、聖麗香は専属の肉奴隷の事ですよね?(ニコニコ)」

「良く知ってますね」

「昨年の白金の百合杯争奪大会本戦、キールハイム王国の会場で観戦してました(ニコニコ)」

「クアドラ王国とキールハイム王国は、友好関係に有りましたね。聖麗香は五聖賢女専属の修道女ですが、夜伽を含めて奉仕する肉奴隷の一面も有ります。私はグレンダのように狡猾で、腹黒い女が大好きです。王都ログザークでヒューバートと話をした時、貴女が一番狡猾で腹黒いと聞かされました(ニコニコ)」

「御父様、酷い。事実ですけど、其れ言いますか?」

「聖麗香に迎え入れたい理由ですが「身柄の保護」、言葉を被せないでください。其の通りです」

「今迄我儘言い放題の好き勝手やってたし、保身の為に家を裏切っちゃったしな・・・」

「リオン御姉様に言われバルドストン家を調べました。カミラは神託の聖女ガーネラ様と同じ弩が付く真面目な思考をする女で、貴女グレンダは狡猾で腹黒い思考が出来る女で意見が纏まりました。五聖賢女は神託の聖女ガーネラ様の代わりに、汚れ仕事を引き受ける時も有ります。五聖賢女の中で一番汚れ仕事を引き受けているのがリオン御姉様で、次に汚れ仕事を引き受けているのが私です。シオン御姉様、マオン御姉様、ミオン御姉様は、脳筋傾向が強いので汚れ仕事好ましく思っていません。グレンダが此れ迄と同じ貴族の身分でいた場合、今回の件を含めて復讐や逆怨みの対象と成るでしょうから、将来誰かの手に掛かり女神様の元に旅立つ可能性が高いです。私個人はグレンダの汚い行動を躊躇無く取れる性格を高く評価しています、聖麗香に迎え入れ五聖賢女の為に其の才能を伸ばしたいとリオン御姉様に進言しました。グレンダは聖麗香に成る事は嫌ですか?」

「今迄の行いを考えれば、バルドストン家に残る選択肢は無いです。其れに癇癪持ちのカミラ姉様以外、領民から嫌われているのも理解してます。大陸の隅々までに名前が響き渡っている、神託の聖女ガーネラ様の傍に仕える五聖賢女の一人、カオン様専属の修道女の身分を頂けるのは僥倖の一言に尽きます」

「グレンダの意志は確認しました。五聖賢女五席カオンの聖麗香に成る事を、グレンダが承認した事を女神アスナール様に報告します。聖なる契りの印をグレンダに賜る事を、五聖賢女五席カオン此処に心より願います」


カオンの女神アスナールに対する短い呼び掛けが終わると、抱き付いていたグレンダの身体が金色の光に包まれた。

突然、グレンダの身体から強烈な金色の光が発せられ、驚きと恐怖が入り混じった叫び声が観衆の中から巻き起こる。

暫くすると金色の光はグレンダの身体の中に吸収され、変わりに全裸状態に近い神聖衣を纏った姿が現れた。

抱き付いていたグレンダを離すと、再びトラザム広場に集まったズレク領民達に、言葉を投げ掛けるカオン。


「ズレク領民の皆さん、バルドストン家次女グレンダ・ヴァン・バルドストンは、女神アスナール様から聖なる加護を与えられました。現時点を持ってグレンダ・ヴァン・バルドストンは女神アスナール様に仕え、五聖賢女五席カオン専属の聖麗香グレンダに生まれ変わりました。今後、五席カオンの聖麗香グレンダを攻撃する者は、神託の聖女ガーネラ様を攻撃する者同様に神敵排除の対象と成ります。間違った行動を取らないよう、強く自制する事を期待します。最後にメダルド隊長、罪人達を連行してください。アーネさん、後で別件の話が有ります。ドロテアさん、ジナイダさん、暫くの間フィーさんの事をお願いします。エリカ、ドロテアさんとフィーさんに纏まった休暇をお願いします。ボドー小母様、タシュー小母様とルオさん共々、カミラさんを支えバルドストン辺境伯領の事をお願いします」


其処迄言うとグレンダを引き連れ新緑の芽吹き亭に帰り、三日間聖なる大広間に籠り絆の深め愛を楽しんだ。

バルドストン辺境伯邸内には再びボドーの部屋が用意され、代理領主カミラを支える為書類の山と格闘する日々が始まる。

勿論、勤務時間が終わると住み慣れた新緑の芽吹き亭に戻り、愛しいジナイダ達との乱れ愛に溺れストレスを発散していた。

ドロテアの献身的な介護を受けて元気を取り戻したフィー、一月後には割り切る強さを覚え笑顔で仕事に復帰した。

五聖賢女五席カオンから仕事を頼まれたアーネは領都ズレクを離れ、忌々しい糞ギルマスが幅を利かせる王都ログザーク冒険者ギルドに向かった。

新緑の芽吹き亭を離れたくないアーネは散々駄々をこねたが、戻って来たら神聖衣を纏った姿を見せるからとベゴーニャに言われ、渋々王都に向かう事を了解したのだった。






イラストは五聖賢女五席カオンと、聖麗香グレンダです。

バニー服は対策で着せました。

挿絵(By みてみん)






















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