表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/25

第十一話 忍び寄るギアデス帝国の陰!

王都ログザーク冒険者ギルド・ギルドマスター室には、ギルマス・チェスター・マカパイン、冒険者アーネ・ゾーマ、立会人としてS3ランク冒険者・黒炎のヴィルピ、同じくS3ランク冒険者の聖氷アリシアが同席していた。

刃雷ザハロフと死神ガトプは緊急依頼を受けて、王都を離れていたので同席する事が出来なかった。


「其れでアーネ君、私に用事とは?(イライライライラ)」

「五聖賢女五席カオンさんから、ギルマス宛ての手紙を預かって来ました」

「五聖賢女カオン様から、見せたまえ!」


五聖賢女五席カオンからの手紙と聞いて奪い取るように掴み、真剣な表情で読み始めるギルマス・チェスター・マカパイン。

手紙を読み終えたギルマス・チェスター・マカパインは、複雑な表情を浮かべながら天敵のアーネに声を掛ける。


「アーネ君、カオン様から手紙の内容は聞いているのか?」

「いえ、聞いてません」

「最初にズレク辺境伯ヒューバートの正妻トレイシーは、ギアデス帝国の子爵家の血を引く者らしい。王都ログザークでの公開断首は即刻中止にするようにと」

「ギアデス帝国の子爵!・・・」

「王立刑務所に収監しかないか・・・」

「そうですね・・・」

「次に辺境伯ヒューバートはギアデス帝国に忠誠を誓った売国奴で、クアドラ王国内を混乱させる為に領都ズレクを禁忌の媚薬エリンザーの流通拠点にしている事。王国内で流通している禁忌の媚薬エリンザーは、全てバルドストン辺境領に持ち込まれ各方面に流されていた事が判明したとも書かれている」

「辺境伯がギアデス帝国と・・・」

「ギアデス帝国、大陸中に争いの種を埋め込む悪魔め・・・」

「其処は激しく同意します・・・」

「五聖賢女五席カオン様に伝言を頼む。前辺境伯ヒューバート・モーリン・バルドストンは王都で公開断首、正妻トレイシーは王立刑務所に収監してギアデス帝国の動きを見ると」

「了解しました、ギルマス」


五聖賢女五席カオンから頼まれた手紙の件が終わると、静かに速やかにギルマス室を退出するアーネ・ゾーマ、立会人をしていたヴィルピとアリシアが驚きの表情を見せながら後を追った。


「アーネ、今日は喧嘩売らないの?」

「ヴィルピさん、真面目な話の後です。下半身ネタで遊ぶ、気分には成れません」

「ギアデス帝国が流通させている禁忌の媚薬エリンザー話の後に、神速の暴発王ネタを捻じ込むのは流石のアーネでも無理でしたか(ニコニコ)」

「無理です・・・」

「まぁ、南のアメルハウザー聖帝国だけでも面倒なのに、西のギアデス帝国も同時に相手はしたくないよね」

「そうなったらヴィルピさん、強制指名で最前線送り決定ですよ」

「其れは絶対に嫌!!」

「アーネの最終奥義・神受苦地獄演舞を発動させれば、ギアデス帝国の帝都一瞬で消滅しますよね」

「アリシアさん、私は破壊神じゃ有りません!!」

「アーネの神受苦地獄演舞は、障壁や防壁を無効化するからな・・・」

「究極の美しさが奏でる、最悪最凶の殲滅魔法ですね」

「・・・・・・・・・」


アーネがヴィルピとアリシアに弄られている同時刻、デ・ブランジェル王国某所で緊急会議が開かれていた。


「神託の聖女と五聖賢女が動いているだと!」

「聖光教会が絡んでいるのは、女神教団側も理解してますね。だからこそ神託の聖女ガーネラと五聖賢女を動かしたのでしょう」

「直属の特務部隊巡礼シスターや、特務作戦群所属のシスター達を使えば、ギアデス帝国と直接刃を交える事に成りますからね(ニヤニヤ)」

「クアドラ王国は女神教団連合に取って、ギアデス帝国に対する防壁を担ってますからな」

「女神教団連合が直に動く事は無い。そうなれば我々の【異端審問神聖騎士団】や【遠方覇権聖堂騎士団】と戦える、真面な戦力を保有した戦闘部隊や集団は相手方には存在しない(ニヤニヤ)」

「格闘春日組とかいう冒険者集団は?」

「此処の戦闘力は高いですが、人数が違い過ぎます。騎士団の物量の前では、害獣程度の脅威でしか有りません」


異端審問神聖騎士団長が発言をしている途中、巨大な扉が開かれ金色の法衣を纏った初老の男性が、出席者全員の顔を確かめながら上座の席に腰を下ろす。


「諸君、クアドラのバルドストンが、夫婦揃って拘束されたようだ」

「「「「「バルドストン辺境伯が!!!」」」」」

「セグラ枢機卿、我々との関係が露見したのでしょうか?」

「直接的な原因は子息達の、愚かな行動が原因だそうだ」

「「「「「子息達の?・・・」」」」」

「クアドラ国内最大の犯罪者集団シミオン盗賊団と、正妻トレイシーと長男ヴィクターが繋がっている事が公表された。更に正妻トレイシーが余計な行動を取った御蔭で、王都ログザークに住んでいるヒューバートまで飛び火して、結果連座責任を取らされ身柄拘束に成ったと報告が上がって来ている。トレイシー嬢は卿の親戚だと、私は記憶しているがギリングス君?」

「セグラ枢機卿、血縁関係者の失態、如何なる処罰を受けても・・・」

「ギリングス君を処罰する考えはない。但し血縁関係者に責任を取らせる判断を、ギリングス君にしっかり務めて貰いたいと考えている」

「必ず責任を取らせます、暫くの猶予を御許し下さい」

「朗報を期待する、ギリングス君」


同じ時刻ズレクの新緑の芽吹き亭二階では、各地の調査から戻って来た神託の聖女ガーネラ一行や格闘春日組のメンバー達が、ベゴーニャの出す紅茶を飲んで寛いでいた。


「リオン御姉様、南球東大陸から冒険者の増援を考えているのですが?」

「ガーネラの考えに賛成です。聖光教会直属の騎士団が出て来たら、春日組だけでは全滅する未来しか見えません。危険な依頼に成ります、誰に声を掛けますか?」

「タニャ小母様、加虐の女帝レイナ姉様、淫虐の女帝ゾマ姉様、ラスミニ姉様、最後に猟犬エクリプス、此れくらい増援が有れば、安心して戦えると思います」

「S3ランクのタニャさん、ラスミニさん、大賢女テフェリア越えの怪物レイナさん、元巡礼シスターのゾマさん、吉乃さん達を支えるには十分過ぎる戦力です。猟犬エクリプスは初めて聞く名前です?」

「知り合いの転生勇者ジェマ姉様がカリア王国ヴァイスブルグ領主時代に組織した、対デバイン王国用に組織した転生勇者を中心にした戦闘暗殺集団です。過去にオレビア王国で極秘任務に当たった際、誤解から聖都防衛巡礼団と戦い引き分けに持ち込んだ猛者達です」

「聖都防衛巡礼団は、どの位強いのですか?」

「巡礼シスター予備軍に当たるシスターで構成された部隊で、冒険者で例えるとSランク~S3ランクの間に収まる強さだと、エクリプス団長のブランドンさんから聞いてます」

「其の強さなら聖堂騎士団や、神聖騎士団と互角以上に戦えますね」

「此れで十分かと思います、リオン御姉様」

「姉御は呼ばないのですか?」

「シスターシャイマだけは、絶対に呼びません!!!」

「分かりました(相性最悪ですから、仕方有りませんね)」


南球東大陸で活躍していた頃のガーネラの天敵だった存在が、ガチレズクラン紅大蛇顧問の巡礼シスター十六位シスターシャイマだった。

ガーネラはクラン紅大蛇の会計局長の仕事を引き受け、現在身に付けている企業経営の基礎基本から運用方法までを覚えた。

其処で何かにつけ自分の為にクランの金を使えと、当然の如く強要してくるシスターシャイマと繰り返し衝突して、互いに認め合う生涯天敵関係が出来上がって行く。


天敵シスターシャイマの名前を出されガーネラが不機嫌爆発させていた頃、バルドストン辺境伯家では五聖賢女四席ミオンが代理領主カミラに、南球東大陸から来たタシューとルオの母娘を紹介していた。


「此方の方が救済と癒しの聖母メノウ様の義妹で、ボドーさんの義姉に当たりますタシューさんです。タシューさんはS3ランク冒険者と互角に渡り合える、格闘技術と基礎体力を身に付けた猛者でも有ります。隣の方がガーネラ様の腹違いの妹で、フィーさんの義姉に当たりますルオさんです。ルオさんは南球東大陸に在るキャルネ都市連合の庁舎所在地マードンで、バラ女学院進学組の教授を担当されていた才女でも有ります。其れでは御二人に領主カミラ様から、御言葉をお願い致します」

「家族の不名誉から領主に任命された、カミラ・ヒラリー・バルドストンです。気分の浮き沈みが激しく癇癪を起す癖が有りますので、其の点は寛大な心を持ってお許しください。タシュー様には母ヒラリーと義母パメラの指導及び屋敷で働く従者達の管理をお願い致します。ルオ様にはバルドストン辺境伯家が行って来た財務会計の精査と、今後の方針について御指導御鞭撻の方をお願いしたいと思います」

「宜しくね、カミラ様。二人の母親には徹底的に従者としての心得を叩き込んで上げるわ。後、余計な事かも知れないけどカミラ様の癇癪、抑える事出来るかも知れないわよ(ニコニコ)」

「本当ですか!!タシュー様!!」

「完全に治るかどうかは分からないけど、感情を爆発させる回数を減らすのは約束するわ」

「お願いします、タシュー様!!」

「カミラ様、宜しいでしょうか?」

「ごめんなさい、ミオン様」

「バラ女学院進学組で教授を担当してましたルオです、カミラ様此れから宜しくお願い致します。最初にボドー小母様から屋敷に有った会計に関わる書類を全て見せて貰いました、入って来る税収に対して出費が多過ぎます。此の赤字を補っていた資金が、何処から出ていたのか調べる必要も有ります。謎補填の金額を除くとバルドストン辺境領は、十年以上前から赤字経営が続いている状態です。此の赤字体質の改善及び脱却が、カミラ様に課せられた最大の使命だと申し上げます」

「そんな前から、赤字ですか・・・」

「謎補填分の金額を来年一年だけ、露出狂の姉ガーネラに出して貰います。一年間は改善に向けた時間が有りますから、死ぬ気で頑張りましょうカ・ミ・ラ・様(ニコニコ)」

「ヒィ、頑張ります(笑顔が怖い・・・)」


カミラの精神的支えボドー、屋敷の使用人全員を鍛えるタシュー、辺境伯家会計全般を改革するルオ、バルドストン辺境伯領を裏方で支える人材が遂に揃う。








添付イラストは左から、ガーネラとスラットリの母親で極上の身体に残念な頭を持つメノウ、右隣が冒険者パーティ正義の剛腕メンバーで三つ子姉妹が尊敬するラスミニ、中央がガーネラの義妹でフィーの義姉ルオ、其の右隣がタニャの格闘練習相手でルオの母親タシュー、一番右がS3ランク冒険者の穢れのタニャです。




挿絵(By みてみん)





























評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ