第8話 改造手術
魔界は人界の地下に存在する、地底世界である。
地下200mと、かなり深い場所にあるため、専用のゲートを使用しなければほぼ行き来はできない。
1.人体研究ラボ-手術室
俺は実験台の上に寝かせられている。
「触覚と痛覚切りますねー。」
スライムの魔物プレイヤーから麻酔アイテムを注射されると、ほぼ肉体の感覚が遮断された。
(こういうのもあるんだ。【ビクトリア】って。)
「かなりショッキングなので目を瞑っててくださいねー。一応、顔にタオルもかけときますねー。」
(えっ!?)
完全に視界が見えなくなった。
「今から手術を始めますがー、3時間はかかりますので、ログアウトなさっていただいても結構ですよー。」
しばらく、手術の音から何をされてるか推測しようとしたが…なんか、背骨が外されたような音とか、色々あってやばかったので、結局ログアウトすることにした。
2.人体研究ラボ-エントランス
実験室の扉が開く。
彷徨う様に出てきたのは、見まごうことなき、ただの金髪の人間。
…その背中に、蝙蝠羽さえなければだが。
無論、人魔混合手術を施されたアーサーであった。
(っべーわ。闇のパワーってやべーわ。)
憧れのシチュエーションなんだなぁ〜。
「アーサーさん。手術お疲れ様です。このまま真っ直ぐお進みください。」
受付の人に声をかけられ、我に返るアーサー。
───あっ、はい。
2.魔界-人魔混合兵修練場
魔界の天井は岩盤で覆われている。
光源はどうしているのかというと、その岩盤から生えている、強く発光する鉱石で賄っている。
点々と生える鉱石からの光は、まるで星空の様相を醸し出していた。
手術終了後、俺の監督を任されたとブーンから言われ、この人魔混合兵修練場へと案内された。
《リスポーン地点が【人魔混合兵修練場】に変更されました》
……ん?
敷地内に入ると、不意に脳内にアナウンスがあった。
(ふむ、これで本格的に人界へは帰れなくなったってわけだな。)
俺の今の実力では、この場から脱走するなんてことは不可能だろうな。まぁ、する気ないけど。
(こっちの環境の方が速めに強くなれそうだしな。)
羽をはためかせ、俺は指示された場所へと足を進めた。