第7話 ワールドボスの脅威
1. 最果て-情報出力プラント-スリープルーム-中央
───む、通知だ。
突然、視界の中に赤いウィンドウが出現した。
《 シーズン1クライマックス!ワールドボス討伐に参加しよう! 》
あ、はい。
なるほどね。
通知に焦点を合わせると、情報が展開され始める。
《 ビクトリアプレイヤー。重要なお知らせがあります!
ワールドボス、鉄の胎盤が目覚めました!
このままでは【3時間以内で】世界が破壊されてしまいます!NPC:【勇者】と力を合わせ、ワールドボスを打倒しましょう! 》
ほほ。
《 ダメージ量に合わせた報酬
───参加賞、無料死亡保険×5。
───上位50000名以上、無料死亡保険×5+Bランク土地
───上位10000名以上、無料死亡保険×5+Bランク土地+スキル秘伝書【怪力】》
ほほほ。
《───上位5000名以上、無料死亡保険×5+Bランク土地+スキル秘伝書【怪力】+スキル秘伝書【韋駄天】》
【怪力】…永続的に筋力が1.5倍される。
【韋駄天】…永続的に敏捷が1.5倍される。
なかなかいいな。
でも、俺はどうやって戦えば良いんだ?ここはその辺の壁でも切りつければ良いんだろうか。
「そこの君!」
───誰だ!?
いきなり背後から話しかけられた。
スキルに【不滅】をセットし、後ろを振り返る。
【不滅】…【不滅の魔神王】の力を解放し、自分が受けるダメージ量の80%をカットする。
「俺たちは───《攻略組》だ!」
青く光る魔導円からぞろぞろと出てくる重装備の戦士達。
首魁らしい、プレイヤーネーム【まさかり】が話を続ける。
「君!ワールドボスのみならず、レイドボスは協力しなきゃダメだぞ!功を焦って討伐失敗になるのはガン萎えだからな!」
───うす。すみませんでした。
「謝ることはない!しかし、君も我々についてきたまえ!"全プレイヤーの協力が前提となる"ように、レイドボスは作られているのだからな!」
2. 最果て-情報出力プラント-非常階段
───攻略の手法は決まってるんですか?
「ああ。今回のワールドボス、【鉄の胎盤】は各階層に備えられた6つのコアを同時に破壊することで、メインコアに到達。そこから第二形態に移行して耐久値を削ったら一旦退避、第三形態移行時の極太ビームを避けてからまた階層のコアにメインコアを加えた7つのコアを破壊してクリアだ。最後のは同時に破壊しなくても良いのが救いだな。」
───長期戦だ…。
「ギミックボスはこんなもんだよ。」
───じゃあ、我々は何を?
「コアを探しているんだ。もう第3隊、第4隊によって4つは発見完了。戦闘開始している。俺たちも早く見つけないとな。」
階段を登るうちに、まさかりの通信機に連絡が入った。
「なに!?座標がわかっただと!?了解!すぐに向かう。アーサー君。急ぐぞ!」
───わかりました!
3.最果て-鉄の胎盤-戦闘機構-6thコア
「おし、ようやくついたか…!」
俺たちはかなり長い時間階段を登っていたようで、すでに戦闘は終了していたようだった。
「おそかったね〜まさかり。もう第一形態は終了したよ?」
「煮豆腐か。遅くなってすまなかった。損耗は?」
「君達…第1隊含めての7隊全隊損耗なし!案外楽勝かな?」
「…!そうか。これは俺たちの生き残りも見えてきそうだな。」
まさかりと煮豆腐は現状報告も兼ねて話し合っていた。思った以上にワールドボス、【鉄の胎盤】の攻略は簡単らしい。
「なにもわからないって顔してるね。」
───あなたは?
ロングスカートの魔法使いが話しかけてきた。いままでの俺とまさかりのやりとりを見ていたらしい。
「僕はキリマンジャロ義経。君は装備からして前衛でしょ?ちょっとアドバイスを聞いていきなよ。」
4.最果て-鉄の胎盤-メインコア
俺たちはまさかり達を追って走っていた。
メインコアに行く道中で、キリマンジャロ義経は息切れせずに戦闘に関するアドバイスを語っていく。
「まず、ワールドボスと戦う時に気をつけることなんだけど、死ぬのは避けなきゃいけない。」
───そりゃまた、なんで?
「ワールドボスにキルされたプレイヤーは、全ての財産、ステータス、スキルが抹消されて初めからやり直しになるからだ。」
───な。
衝撃的な発言だった。しかし、それなら戦わずに逃げれば良い話ではないのか。
「ワールドボスは発生から3時間経つと超必を使うんだ。それは上…アスガルドからいける特殊エリア以外の全世界を対象にした攻撃で、全員キルされてしまう。」
まさかりが言っていた"全プレイヤーの協力が前提となる"というのは、ワールドボスが世界を全て初期化してしまうからだったのか。
───なんてことだ。
ワールドボスを目覚めさせたのは多分俺だ。
俺のせいであらゆるプレイヤーが頑張って積み立てたアイテム、ステータスが破壊されてしまうだなんて…。
「まぁ、そう青い顔をしないでよ。実はね、さっき言ったアスガルドから行ける特殊エリアでは、鉄の胎盤みたいなワールドボスの予習ができるんだ。だから、もう攻略法は決まってる。僕らからしても、ボーナスステージみたいなもんだから。」
キリマンジャロ義経は、すっかり縮こまっている俺を励ました。
「メインコア相対!【蛮族】は前へ!2、3隊は後方待機!【斥候】は重症者の回収!【黒魔術師】は攻撃速度低下デバフ、もしくは火炎攻撃、【白魔術師】は【蛮族】に速度バフと筋力バフを!」
まさかり、煮豆腐達司令官の指示で、キビキビ陣形を整える《攻略組》総勢1500名。
「そろそろ仕事だね。行こう、アーサー。」
───うおおおおおおおお!突撃ィィィィィ!!!
「あ、ちょっと!…行っちゃった。」
みんな突撃している!
俺も突撃しなければ気が済まなかった。
「引けぇ!ダメージエリアだ!メインコアの周囲から離れろ!」
───え?
しかし、周りの【蛮族】が撤退する中、俺だけぽつんと前に出てしまった。
メインコアの機銃掃射。
「アーサーァァァァ!!」
俺は死んだ───。




