チャプター22「仲間」
ドーム外でのネオゲートから出現した魔物と戦う赤坂の為に、トラウマを克服した大和はのキメラへと1vs1の勝負を仕掛ける。
「っ!!」
体を後ろに反らしキメラの攻撃をすれすれで避けた僕は一度後方に下がる。
(くそ…やっぱり早い…)
いくら強くなり以前より戦えるようになったとは言えど力の差はまだまだある。
「だけど、あの時とは全然違う。」
(前の僕だったら目で追うのでやっとだっただろうけど、今は体も追い着いてくれる。やっぱり…あの特訓の数々も意味があったんだ…)
「ふっ!!」
キメラの突進を避け、壁を渡り上空から攻撃を仕掛ける。
「だりゃぁぁぁ!!ぐっ!」
しかし、その攻撃は爪に防がれて後方へと下がる。
「はぁぁぁ!!」
着地した僕は手を止めることなく次々と攻撃を仕掛けていき、致命傷には届かずとも、少しずつダメージを与えることができていた。
「だりゃ!!っ!!はぁ!!ぐっ!!」
お互いに攻撃を繰り返し、防げているとはいえ、こちらもダメージは蓄積されていく。
「っ!!うぐっ!?」
キメラの攻撃を剣で受け流していたが、視界外からの尻尾攻撃をまともに受けて吹き飛ばされてしまう。
「っ…はっ!?」
すぐに立て直そうと立ち上がるが、目の前には攻撃モーションに入るキメラの姿が映る。
咄嗟に剣で体を守り、何とか攻撃を防ぐが、再び勢いは殺しきれず吹き飛ばされる。
「っ!」
なんとか壁に足をつき、衝突を免れた僕は視界に入った、看板を蹴り壊しキメラへと目掛けて飛ばして、地面に着地する。
グギャァァ!!
(よし、命中した!)
怯むキメラを確認して僕は一気に距離を詰める。
「っ!」
だが一筋縄ではいかなく、尻尾の薙ぎ払いが飛んできて攻撃へと転じることはできない。
(なら、これはどうだ!!)
後方に下がった際に地面の石を拾い上げてキメラからの追撃を避けながら近くの街灯に投げる。
辺りが暗闇に包まれ、キメラは僕のことを見失ったのか、攻撃の手が緩む。そ隙を逃さず攻撃を仕掛け、キメラへ大ダメージを通すことに成功する。
グガァァァァァ。
「まだまだ!!」
そのまま前方に進み、建物を踏み台に蹴り飛ばして壁を2転3転と暗闇の中を移渡って翻弄し、後方から奇襲。
まともに受けたキメラは堪らず地面に倒れ込む。
「はぁ…はぁ…」
(よし、いけ…っ!?)
勝機が見えてきたその時、僕の側で衝突音と砂煙が立ち上がる。
「赤坂さん!?」
その煙の中から血まみれで倒れている赤坂さんが現れる。
“上だ!!“
「ぐっ!?」
そして驚いている最中、脳裏に言葉が浮かび、前方へと飛び込むことで何とか魔物の攻撃を避けることができた。
片手に力を込めて高く飛んで魔物の方へと体を向けながら着地、続く攻撃を後方へと下がりながら回避する。
“後ろくるぞ!“
そんな時に再び脳裏に声が聞こえ、咄嗟に右に避けると、後方からキメラの攻撃が飛んでくる。
(っ…あぶねぇ…)
そうして僕はキメラと魔物と対面する。
(まずいな…今の僕に2体同時に相手ができるほどの技量も力も体力もない…っ…かといって逃げるのも無理だ…くそ…お互いにやりあってくれたら何とかなるのに…)
どの行動を取ってもこの状況を脱する策は思いつかない。そんな絶望的状況に追い詰められてしまう。
”来るぞ!!”
「っ!!」
キメラの突進を横に飛び避ける。
グギャァァ!!
「なっ!?」
今までとは違い、機敏に動くキメラに動揺して、避けきれず肩に攻撃を受ける。
「ぐっ…」
“次は右だ!!”
「っ!」
痛みを感じてる間もなく、その声を信じて高く飛び、すぐに場を離れる。
次の瞬間には魔物がその場にいて、残っていれば潰れたトマトの様になっていた…
“下から来るぞ!防げ!”
「はぁぁぁ!!」
下を見るとキメラが空中まで追ってきていて、避けることが難しいため攻撃で対抗する。
「ぐっ!?」
しかし、思うように力を込めることができず、弾かれてしまう。
吹き飛ばされた先で、壁に上手く着地して顔をあげる。
“目の前来るぞ!”
「なっ!?」
(っ!なんでこんなところに!?)
そこには攻撃モーションに入る魔物の姿があった。
「ぐっ!?」
何とか体を捻ってすれすれで攻撃を避け、壁を踏み台に魔物から距離を離す。
屋根を伝いながら地面に着地してそのままキメラの方へ向かって走る。
後方を確認すると、建物を突っ切りながらこちらへと向かってくる魔物の姿が見える。
(くっそ、化け物が…)
魔物の攻撃を避けるため、建物の中へと入りながら翻弄して進む。そんな時、視界に消火器が映る。
(これだ!)
消火器を手に取り、キメラに近い位置から外へと飛び出す。
「これでも喰らえ!!」
そうして空中から消火器を投げて地面に叩きつけ、思いっきり消火器に刀をぶつける。その瞬間、破裂音と共に白い煙が辺りを包む。そんな中を走り抜け、キメラの姿を見つけて尻尾を掴む。
「はぁぁぁぁぁぁぁ!」
そして、後方へと投げ飛ばす。
これには魔物も対応できずにキメラと衝突して、身動きが取れなくなる。
「赤坂さん!」
その間に僕は煙の中を抜け、倒れる赤坂さんの元へと近づく。
「ば、ばかやろ…う」
(息も反応もあるよかった…)
「とにかく安全な場所に移動しましょう。」
そうして、赤坂さんを背負って屋上へと上がる。
ーービル:屋上ーー
(…よかった。魔物たちは気づいていないようだな…)
一先ず安全を確保できたことに安堵する。
(とにかく、理上さんたちに連絡を取らないと。)
そうして、通信機の電源をつけると、すぐに着信が流れ…
「よかった!無事だったのね!!」
と向こう側から、理上さんの喜びと焦りの混じった声が聞こえる。
「すみません、勝手なことをして…」
「うんん、そんなことは大丈夫。それよりも、近くでネオゲート発現信号が発生してるみたいだけど大丈夫!?」
「はいとは言えませんね…魔物が2体現れて、何とか安全なところに隠れているって感じです…何とか救援を頼めませんか?」
「っ…そう…それなんだけど…今、2つのドーム内でもネオゲートが発生していて、対応中だから向かうのが難しいわ…」
「そう…ですか…」
「何とか20分以内に決着をつける!すまないが、その間何とかして耐えてくれ。」
理上さんと話していると、夜桜さんも回線の中にあらわれる。
「20分ですね…わかりました。」
「理上、大和頼んだぞ。」
「うん。」
「はい。」
僕の返事を聞いて夜桜さんは回線を切る。
「私もできるだけ援護はするわ。」
「はい、何かあればすぐに教えてください。」
そう言って、魔物たちの様子を覗く。
魔物たちは僕たちを探すため、近場の建物を崩し始めている。
(っ!そういえばこの先って…!)
嫌な気がして、理上さんへ確認を取る。
「理上さん…この先もしかしたら住宅街じゃないですか?」
「っ!?調べるわ!」
カタカタと音が聞こえた後すぐに返事が返ってくる。
「…うん、大和君の言う通りこのままじゃ3分もせずに住宅街についてしまうわ…」
「っ…」
(隠れていれば、無事に時間は稼げるだろうけどこのままじゃ、住宅街にたどり着いてしまう…。ここら一帯の人たちは避難していないだろうし、被害が大きくなる前に何とかしないと…)
「理上さん、戦闘に入ったら方向がわからなくなるかもしれないから、近くなったら教えてください。」
「うん、任せて。」
そうして呼吸を整え、語りかける。
「誰だか分からないけど協力頼むよ。」
“あぁ、任せろ”
そうして、剣を取り魔物たちの元へと向かおうとした時、「待て」という声が後方から聞こえ、動きを止める。
「まだお前一人なら逃げられるだろ…逃げるんだ…」
ふらつきながら赤坂さんはそう言って、僕を睨見つける。
「それじゃあ、この先に居る人たちはどうするんですか。」
「…。」
質問に赤坂さんは答えることができない。
「このままじゃ被害が大きくなる。それを食い止めるために、僕は行きます。」
「っ…待ってくれ駄目だ!あいつにお前じゃ敵わない!!」
その声を聞かず僕はビルから降りる。
「待て…待ってくれ大和!!」
耳には赤坂さんの悲しそうな声が微か聞こえていた。
ーービル:屋上(赤坂サイド)ーー
「待ってくれ…大和…頼む…」
しかし、俺の言葉で大和の歩みを止めることはできなく、ビルの屋上に1人取り残される。
「なんでお前も、あいつも…無謀だってのに行っちまうんだ…。」
「くそ…くそ…くそぉぉぉぉ…なんでだ…なんでこうなるんだよ…俺は...あいつの死から何を学んだんだよ…」
何にもできない自分自身の情けなさに悔しさを感じ何度も地面を殴る。
「俺は無力だ...何にも出来ない...あの時だって、今も…同じことの繰り返しだ…」
気づいた時にはポロポロと涙が頬を伝って地面についていた。
「こんなことならあの時…俺が…俺が…」
そうして、もう一度血がたれている拳を地面に叩きつけようとするが、
「やめろ。」
という言葉と共に腕を誰かに掴まれる。
「っ!?」
(この声を俺は知っているでも…)
聞き覚えのあるその声に驚きながら顔をあげる。
「な…んで...なんで…おまえが...」
そこには死んだはずの親友がいた。
「...そんなことを気にしている時間はないんじゃないか?あいつ…死んじまうぞ?」
「俺には無理だよ…」
「たく…俺の知っている志度はこんなんじゃなかったんだけどな。」
「…。」
「なぁ、本当にこれでいいのか?」
「…っ。無理だ…無理なんだよ…結局、俺はおまえの死から何にも成長していない。何にも出来てないんだ…今更…」
「自分を卑下するな、おまえは頑張っているよ。」
「そんなことはない、結局大和のことを止めることも、おまえの仇を取ることもできやしなかった。」
「そんなことはない。」
「見ろ、あいつのことをしっかりとな。」
「何を...?」
「確かに大和を止める事はできなかった。けれど気づいていたか?あいつの変化に。」
「え?」
「お前は大和を適当にあしらいながらも、多くの基礎練習と体力作りをするように伝えていた。それは志度が気づいていたあいつの弱点じゃないのか?」
「…。」
「そのおかげであいつは今、こうしている間も戦い続けることが出来ている。」
「お前は心の何処かで大和に期待していたんだ。失う恐怖に怯えながらも心の何処かでな。」
ドゴーン!
「っ!?」
大和が向かった先でけたたましい音が鳴り響き、俺は覗き込む。
「本当にいいのか?このままじゃまた後悔するぞ?」
「ぐっ…」
俺は拳を握る。
「良くねぇ…良くねぇよ!でも…俺は…」
「ぐぁ!?っ!」
「っ…大和…」
キメラの攻撃を受けて大和は吹き飛ばされる。
「行って来いお前なら大丈夫だ。一歩を踏み出したお前ならな。」
「でも…」
「たく…ほらターン!」
そう言って後ろに回された後、背中を叩かれる。
「いった!お前、何を!?」
振り向こうとした所で、肩を組まれる。
「俺との約束を覚えているか?」
「…あぁ。俺の分もみんなを助けてやってくれ…だろ?」
「そうだ、それに追加させてもらう。」
「は?」
「俺の分もみんなを助けてやってくれ…そして、お前も幸せになれ。これが俺の最後の約束だ。」
「っ!?…たく、お前は好き勝手いいやがって…」
(俺は本当にダサいな...こいつにこんなことまで言わせて...最後くらいは安心させてやらねぇとな。)
そうして、俺は笑顔を浮かべる。
「はは、そう言われたら断れないじゃねぇか。わかったよ、まだ怖いけど…お前との約束を絶対に果たしてやる…今の仲間たちと一緒にな。後悔するなよ?」
「あぁ、お前たちの歩む未来を空から見ているよ。」
「…ありがとうな。」
「ふっ…お礼はあの子に言うんだな、俺はあくまで幻影だ。」
「あぁ、わかった…。」
俺の言葉を聞いて親友は笑顔を残して消えていく。
「よし…行くか。」
悲しさを感じながらも俺は、一人戦う大和の元へと向かって走りだす。
予約したつもりが下書きになってた(;∀;)
申し訳ないです!
ということで読んでいただきありがとうございました!3周年記念、4話連続投稿…ではなくなってしまいましたが、どうでしたでしょうか?ここから3章終了までまた、ゆっくりと転生師弟の復讐と合わせて投稿していこうと思います!
赤坂と大和2人はどんな未来を作っていくのだろうか…




