38 不動産を探すところから
午前中からシディを伴い不動産屋に向かう一般市街地の中では中堅クラスで
シディのおすすめらしい
「いらっしゃいませ 賃貸ですか?」
愛想の良いカウンター社員さんは仕事が出来そうな美人営業さんだ
良かった 私が黒髪外国人だからって差別する人じゃなさそう
「はい 一般市街西地区でひとりで住める所を探していまして」
その後希望条件を出して良さそうな家を提案してもらった 空き物件の内覧も2件ほどさせてもらえたが うーん なんかしっくりこない
王宮保証が付いているせいか豪華なのよね...シディも使いにくい間取りとかを指摘してくれるし
一旦不動産事務所まで戻ってから 店内の貼り紙を眺めてみた
ふと気になった一枚の古めの募集物件
金額といい 場所といい 何でこの物件が余ってるのだろう?
「あの すみません この物件が気になるのですが」
美人営業さんは
「ああ それは少しケチが付いた物件でして なかなか借り手がいないんですよ」
シディが
「何か問題が?」
「はい この間取りなんですが玄関口左手側と右手側は別々の人が住むことができるようになってまして」
別にいいんだけど そんなに大きい敷地ではないみたいだし
「家主の男性が 別々に奥様と恋人を住まわせていたようなのです」
おおお 豪胆な
「私も何度か仲裁に入ったのですが かなり何回も大立ち回りしてらして
人死には至りませんでしたが結局奥様も恋人も旦那さんを見限ったという」
シディが
「外聞の悪い物件になったという事ですね」
「そうなんです 縁起が悪いというか
だから金額も控えめにしてるんですけれど なかなか」
「いや この家見せてください」
「「っは?」」
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門の前 人通り多くなく
馬車横付けできる
庭 小さいけど陽当たり良し
古い家 所によって痛みあり
馬小屋付き
動力の魔石さえあれば生活の必需設備は揃ってる
まぁ母屋と離れが廊下で続いてるから行き来するなら面倒だけど
母屋と言っても本当に小ぶりで
私の感覚では2LDKで贅沢に充分住める
離れは1DKでトイレと小さなシャワー室付きかな
なぜこの物件が気になったかというと
王宮の監視?護衛?が付いているのではないかという疑念が発端
最近 警備隊に居た時でもなんか隠れて馬車がいるなぁとは思っていたのよ
それが仕事なのでしょうが 冬とかは無理があるでしょう こっちがいたたまれないです
なので 必要なら離れを待機場にしてもらえればという思惑です
まぁそうは言っても王宮と警備隊からの等距離にあって場所も悪くない
「気に入りました ここを貸してください」
美人営業さんは複雑な顔をして
「そうですか...家が思っているより傷んでますのでその分も少し金額交渉致しますね」
シディは
「ムギは普通の所を選ばないかもとは思ってたけどねーまあ あの離れのこと以外は悪くないと思うわ」
さて 家賃的にはだいぶ下がったので 私の収入でも出せる範囲になった
前回の調査遠征のインセンティブがまとめていただけたので半年分を一気に支払っておいた
っふ 王宮には新たな負担をかけさせないでやれたぜ
払ってくれると言ってるけど 若干プライドがね
とはいえ保証をしてもらえるのでどっこいどっこいでしょうかね
インセンティブ:ボーナスとは違って臨時にもらえる定期給与とは別にもらえる給金ですかね
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