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第15話

「オッチーあいつとどうなの?」

「あいつって?」


小田さんのことだろうなあ…なんでそんなに目の敵にするんだか。


「小田さん」

「ああ、小田さんのことね」


「んー、別にどうってわけでもないけど」

「オッチー同い年だし他のバイトより距離近いんじゃない?」


距離が近いと言われればそうかもしれない、いやまあ、この前みたいに2人で外食なんかしてれば誰からみても距離が近いか。


「まあそうかもしれないけどさ、あくまで友達としてだよ?」

「どうだかねー」


なにか自分なりの答えを持ってるような言い方で彼女が空を見上げる。つられて見上げたそこには冬らしい波状雲が広がっていた。これが雲ひとつない青空ならきっとロマンチックだっただろうな。


「これはこれで素朴でいいよね」


彼女も同じことを考えていただろうか?はたまた、心の声が聞こえたのだろうか?まるで彼の気持ちに答えるように呟いた。


「そうだね」


秋が終わったことを感じさせる、土の匂いを運んだ風が肌を撫でる。この匂いは、遠くに見える稲刈りが終わったような茶色い棚田からだろうか。こういう景色の中にいると、さっき少しだけ出かかった暗い話題のことなんて忘れてしまいそうだ。


「さっきの話、向こうは友達として思ってないかもよ」


…前言撤回、どうやら彼女はそんなことなかったようだ。


「そんなことを言われても、俺が友達として思っとけばそれでよくない?」

「あははは、オッチーのそういうところ良いわー」


なんだかバカにされたように感じたが気のせいだろうか。至って普通のつもりだが。


「でも多分向こうも友達くらいに思ってくれてると思うよ」


同性愛者ということも聞いたし、とは流石に言えなかった。人の秘密というのを知ってしまうと、どうにもバラしたい衝動にかられてしまう。


「どうだかねー」


さっきと同じ言葉を繰り返して今度は足元を見つめる。視線の先にはありが行列を作っている。そういえば、子供の頃にあれだけ夢中になって眺めていたアリの巣が見えなくなっていたのは一体いつからだろう。


「でもこの前ご飯行った時も普通だったし、多分そんなに意識してないよ」

「え!?行ったの!?」


一転して、視線が彼に移る。驚いたような、困惑したような、少なくとも良いようには思っていない表情で彼を見つめる。


「よう行ったねー」


ケラケラ笑いながら足をバタバタさせている。なにがそんなにおかしいのだろうか。


「なんでなんで?なんかおかしかった?」

「いやだってあいつめちゃくちゃ男嫌いだよ?」


うーん?ノリも良いし普通に仲が良いように思ってたけどな…。最近は色々な情報がいっぺんに入ってきて頭が痛くなりそうだ。

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