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第13話

『オッチー今日あった出来事教えてやろうか?」


『なに?また彼氏と喧嘩した?」


『またってw喧嘩せんしww』


平日の、それも夜中の1時だというのに最近の高校生は元気だな。メッセージアプリでやり取りしながら感心させられた。


『じゃあどうした?女の子の日?』


『セクハラぞ笑笑しかもわざわざ報告するわけないやん笑』


相手はもちろん(?)福宮さんだ。小心者の彼がギリギリの冗談を言える相手は彼女しかいない。


『えーじゃあもうわからん』


『今日ね、彼氏と別れた笑笑』


『あーおめでとう』


この手の話を聞くのは何回目だろうか、こういう時は決まって「おめでとう」だ。彼女は告白されればとりあえず付き合うので、必ずしも付き合っていることがイコールで好きにはならないのだ。さっきの喧嘩はしない発言からしても、喧嘩するくらいストレスが溜まるなら別れるということで間違いないだろう。


「ふふ」

「なにニヤニヤしてんの」


微笑ましいと思っていたことが表情に出ていたらしい、小田さんに指摘されて我にかえった。


「どうせまた福宮やろー」


アルバイトが終わってから小田さんとどこかに外食に行くのがすっかり習慣になってしまった。


「違う違う、木山くんだよ」


今相手している2人が犬猿の仲だということはこの前分かったので、適当な嘘で誤魔化す。木山くん、ごめん。


「ならいいけど」


なら、ということは福宮さんならダメだったという解釈でいいのだろうか。我ながらよく咄嗟にうそをついたものだ。


『遅かれ早かれそうなると思ってたよ』


『まあね』


嘘だとバレるとまずい(ような気がする)ので一旦ここで福宮さんとのメッセージを切り上げることにした。別れた話は後でゆっくり聞くことにしよう。


「今日はこれ食べて帰ろうか」

「そうやねー、毎日毎日ドライブもきついしね」

「俺の財布もきついしね」

「あはは、あれハイオクって言ってたしね」

「そうなんだよー」


福宮さんの別れ話も聞いてあげないといけないし、今日は早々に切り上げることにした。…どうせまたしょうもないことで別れたんだろうな。毎回愚痴を聞く身にもなってほしいよ。


『オッチー今なにしてるの?』


『ご飯食べてる』


『あね

1人で?』


『うん、1人だよ』


この犬猿の仲の2人をどうにかすることはできないだろうか。内臓が嫌な感じでジワリと痛んだ。

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