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86 どうしてこう人の心を読める奴が多いんだ!?




 樹海の祭壇を後にした俺達は、その後、特にトラブルもなくミトリーに着いた。何故かモンスターが1匹も襲ってこなかったが、運が良かったと思うことにする。


「多分、ララやパオが近くに居たからその匂いがムサビ―についているからだと思うのだ。」


 衝撃!?今後ムサビ―で移動すれば、樹海ではまず襲われなくなるらしい…





 今回は全員で移動する。りゅうは樹海でしばらく住むことになった。いざという時にはRCを使ってすぐに駆け付けられるし、向こうで出来た友達も相当強いので心配はいらないはずだ。








「皆さま、今日は宿はどういたしましょう?」


 また街から出てキャンピングカーに帰ってもいいが、せっかく皆揃って街に来たんだし、今回はどこかに泊まろうかな?


 この街に来た当初ではあまり考えなかったが、最近のミトリーは変わった。これは好景気もあるが、一番の要因は、俺の訓練中に仲間たちがこの街に与えた影響が大きい。


 まず最も重要な料理に関してだが、これはゴブリンシェフの田中の貢献が凄まじく、彼の料理をたまたま食べた街の料理人たちがこぞって彼に教えを乞うことになったらしい。タリアに料理サンドイッチを教えていた時に、気分転換に色々アドバイスは実技演習をしたようだ。


 その結果街の食事事情はかなり改善した。



 次にセバス達がショップで仕入れた品を街に流したらしい。主に寝具関係だ。ゲームの中のアイテムだけあって、休息効果は抜群で、飛ぶように売れたらしく、相当な利ザヤがあったようだ。俺が樹海で出した宿屋も、この利益で買うことが出来た。


 また、風呂やトイレなどの発展も、貴族宅や宿屋など、一部だが相当改善されたみたいだ。





 今までは車に帰ると言う一択だったのが、現代日本と同等レベルの水準に上がってきているので、このまま街に泊まるというのもありだな。



「前より大分マシになったからどこかで宿を取ろうかな?」



「それならば我が家においでください。ここまでお世話になったのです。そろそろおもてなしをさせて頂けないと、ご先祖様達にも礼儀知らずと怒られてしまいます。」




 そう言えば、今までトレーター家に泊まったことは無かったな…と言うよりこの街に泊まったこと自体が無かったと思う。


 フォーチャー家?あれは監禁と言うのだよ…








「皆はどう?」


「私は何も問題ありません。ヌルフィア様は如何でございますか?」


「ボクもかまわないのだ。」


「佐藤は?」


「主のいらっしゃるところに付いて行くのみです。」


「…そうか、山田は?」


「大丈夫です。」


「私は問題ないよ。ノルマ―はどうだね?」


「是非お邪魔させてください。貴族の方の家って興味があったんです。」


「田中はどう?」


「俺も大丈夫ですよ。」




「………」


「リン?どうかなさいました?」


「リーナ…ボソッ」



「~っ///」


「ボソッ///…ボソッ…」




「という訳で問題ありませんよリーナ。」


 リンがリーナに何かを呟いた後、笑顔で承諾した。何か厄介なことになりそうだな…










 という訳で、俺達は先にフォーチャー家に到着の報告をしに来た。女性陣達はリーナに付いてトレーター家に向かった。






「トーヤ様、ようこそいらっしゃいました。///」


 たまたま玄関口の近くに居たタリアが、歓迎の挨拶をした。どうやら最近タリア自らが花を育てているらしく、その作業が丁度終わったところらしい。珍しくスカートではなく、動きやすいズボンをはいている。



 俺も挨拶を返し、レオナルドに取次ぎを願う。さすがに当主代理のカリムには気軽に会えないだろうし、アポを取っていない。


 そのため、補佐で、尚且つ話しやすいレオナルドに会えるようにお願いする。まあ、会えなくても後日の約束を取ればいいだけなのだが、暫く待って欲しいということで、30分ほど待ってから面会し、帰還の報告をする。



 報告も終わって、護衛の打ち合わせをして帰ろうかとなった時、着替えの終わったタリアが見送りに来てくれた。水浴びでもしたのか、髪がしっとりしている。まだ乾いてないので結っていないが、そうしていると本当にハナとそっくりだ。


「あの…トーヤ様?そんなに見つめられると困ります…///」


 いかんいかん、少しじっと見過ぎていたようだ。さすがに失礼だな。


「ごめん、最近会った人とタリアが似てたから思わず見続けちゃったんだ。」



ぴくっ


「私と似ている?お出かけの間は女性と会っていたのですか?」


「え?ああ、たまたま会ってさ、その縁で泊まらせてもらったんだ。」


 泊まらせてもらったというか、宿は自分で出したんだけどね?うん、日本語としておかしいね。


「ほほほっ、そうですか…女性と一晩…」


 ん?なんか悪寒が…原因は…目の前の…タリア…?うひぃ!


 



 先ほどと同じはずの笑顔なのに、なぜか震えが止まらない…え?え?きちんと笑ってるよね?目にも光があるもん!?まだセーフのはずだろう?なんで?



(ご主人様、タリア様は一緒に寝たと勘違いしているのではないでしょうか?)


 セバスがフォローを入れる。なるほど!!確かにあのいい方なら一緒に寝たと取られても不思議じゃない!!俺はすぐさま弁解する。


「泊まらせてもらったと言っても、別に一緒の布団で寝たわけじゃないし、と言うより彼女の寝室?とはだいぶ離れていたし、二人きりじゃなかったから全然ふしだらな意味での寝たとは違うよ!!」



「そうですか…ちなみにその女性は奇麗でしたか?」


「え?うん、タリアと似てるって言っただろう?ものすごく美人だったよ。」


「ええっ?!そ、そうでしゅか///」


 なんか頬を押さえてクネクネしてる。


 うん、ハナは本当に美人だったな…胸もあったし。それになぜかキスもされたし///




ゾクッ



 ~っ?!あれ?なんで?タリアからまた黒いもやが出てるよ?



「トーヤ様…その方と何があったのですか?」


 何故だ?!何もしていないのにこの子が闇落ちしてる!!?



 不穏な気配を察知したセバス達は、いつの間にか玄関から外に出ているのが見えた。嘘だろ?!


「今、失礼な事とふしだらなことを考えましたね?」




 だからなんでこの娘は俺の考えを読めるの?!



 ここは36計だ!しかし、いつもと一緒だとなぜか捕まるから、今回は頭を使って離脱するぜ!!この娘は案外チョロいから、褒めて褒めて褒めまくる作戦だ!!



「あ、ああ…やパリ、タリアを近くで見ると本当に美少女だなって思ってね!本当にそのドレスが似合ってるだすよ。」




 少し緊張して、噛みまくった挙句言葉がおかしいが、このくらい褒めればタリアなら照れて隙が出来るはずだ!



「っ!…そ、そうで、って何処に行くのですか!?」



 喋っている途中だったが逃げるのは今しかないと俺の感が言っている!


「それじゃあまた今度会おう!」


 と俺はその場を無理やり離脱した。大丈夫、明日は明日の風が吹く!何とかなるはずだ。その風が俺が吹き飛ぶような暴風で無いことを祈りながら、逃げ出した。
















「トーヤ君、君には一度体に分からせる必要があるようだね。」


 逃げた先のトレーター家には、完全武装のアイギスが立ちはだかっていた。





 何で樹海よりも厄介なことばかり起きるんだよ!!



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作者の別作品もよろしくお願いします。 終末(ヘヴィな)世界をゆるふわに!
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