78 これは逃走では無く偵察と言うのだよ…
今日も終わった。リーナのあの事件に関する不安を忘れるように皆で買い物に出かけた。何故か俺はリン達と同行することになったが、やはり女の子だけあって買い物が好きらしく、皆でワイワイやっていた。俺は疎外感でただの置物のようになっていたけどね。
そして普通に買い物が終わって今日も一日ご苦労さまってところさ…特に何の事件も起こらず、平和な一日だったよ…
「ねぇ!冬也君この下着どうですか?冬也君は好きですか?」
ハイ嘘です。まだ買い物は終わっていません。今リンさん達にランジェリーショップに無理矢理連行されています。さながら気分は酢豚にあるパイナップルさ…周りの「何で居んのお前?」みたいな目が心に刺さる…
半年前ならまだよかった…身長もリーナと一緒くらいで十分子供っていう目で見られたからだ。でも今はリンのおでこぐらいの高さだから、何このエロガキって目で見られてる…
お姉さん方っ、違うんです!無理やり連れて来られたんです。でも抵抗しても女子力(物理)には抗えなかったんです!!
リンも当初の人見知りっぷりが無くなっている。召喚当時は大体俺の後ろに居たのに今はこんな有様さ…
君って「恥ずかしがり屋の女王様」じゃなかったの?!
ピコンッ
「ん?スマフォが急に…」
何故か目の前にスクリーンが現れる。
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闇に飲まれし竜女王 リンドブルム ☆8 (竜王族)Lv36
HP660→810→610→2360
MP590→740→540→2290
攻330→405→205→905
防300→375→175→875
魔攻580→730→530→2280
魔防570→720→520→2270
素早さ310→385→185→885
器用さ320→395→195→895
賢さ80→95
ラック5→25
鞭打ち
火魔法
緊縛術
回復魔法
陛下への愛
だって私が奥さんだもの!
私の料理は如何?
旦那様を捕縛術♡
結婚しましょ!New:離れ離れになっていた愛する者と結ばれる運命になる。(ラック+20)
竜人化New:竜人に変化し、力を解放する。(全てのステータス+100、+『アビリティ 飛行』)
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「イ゛ェアアアア!!?」
進化してるうううううっ!!?
見たくなかったのにスマフォが気を聞かせてリンのステータスを表示した。不意打ちだったので、思わず呪われそうな叫び声をあげてしまった。
「きゃっ?!」
「「「?!!」」」
「「「「「「「「「っ!!!?」」」」」」」」」
しまった!周りからは急に叫びだしたヤバい奴って目で見られている!!と言うかリーナ達もドン引きだ!!
でも俺の気持ちも分かって頂きたい!進化しただけではなく何そのスキル!?結ばれる運命って!!あ、そこのお嬢さん、警備員を呼ぼうとするのは止めて下さい。
そのように非常に居心地の悪い買い物が多々あり、精神がゴリゴリ削れながらも時間は過ぎ、そろそろ帰ろうかと言うことになった。
今すぐ帰ろう!!まさかリンだけでは無くリーナはフィアまでもがどれが良い?なんて聞いてくるもんだから…今が若返った体じゃなく元の体なら…どうやっても良い訳が立たんな…
ブーブー
ん?この音はヘルクからの念話だな、何か問題があったのか?
(御大、至急報告することがある。)
(何があった?)
(まずはゴルディアスが傘下に入った。が、不審な者がこちらの様子を窺っていたので攻撃を仕掛けた。どうやら名うての殺し屋だったらしい。ターゲットはゴルディアスのボス・イズミナだ。)
(それで?)
(ああ、被害は軽微、イズミナが多少重傷を負ったくらいだが、無事に撃退できた。しかし、あれは俺らと同等の強さだったぞ…)
なに?
(俺の『加減の突き』抜きの殴りでも、防御してみせた。)
ヘルクの加減抜き?ある程度の実力者でもバラバラになる威力だぞ!とても人間には耐えられない…
(そいつは人間か?)
(いや、肌の色が違ったし、何より腕にウロコがあった。)
人と違う…獣人系…魔族…
(それと、アウゲイアースが壊滅寸前のようだぞ?総帥と幹部含む上層部30人が消されたようだ。)
(……そっちには、応援が必要そうだな…)
(ああ、正直アラクニールだけじゃぁ心もとない…)
アラクニールとは、訓練施設で出てくるモンスターで、金属で出来た体と蜘蛛の糸、そして、何処でも足場にしてくる厄介なやつだ。召喚スキルを持つヘルクには、こいつらと契約して貰っている。その実力は恐らく素のアイギスと同等くらいにはなるはずだ。
(九錠院、ヘルクに協力してやって欲しい。)
(畏まりました。すぐに移動します。)
そして、彼は静かにこの場を離れ、ヘルクの元に行く。
(御大、感謝する。それと情報収集に、ケットシーにも協力して貰っている。そして、孤児たちも含めた分の物資が欲しい。)
(了解、ホテルの部屋に、今日の夜にでも用意して、アイテムバックに入れておいておく。)
(こちらも、何かわかり次第連絡する。)
さて、
「フィア…」
「…分かっているのだ。ここは僕に任せて。」
「冬也君、何処かに行くんですか?」
「ああ、少し野暮用が…」
「トーヤ様…何か気に障る事でもしてしまったのでしょうか…」
リンとリーナが少し寂しそうにそう言う。
「違うって!少し用があるだけだよ!!」
先ほどからこちらを見ている者がいる。こっちはフィアに任せて俺は彼女達と別れ、こちらを窺っている者に接触するために移動する。もしかすると、昨日のリーナの部屋に入った奴らと関連があるのかも…
そして、俺は路地裏に入って近づこうとしたが…
「よう!探し人は俺かい?」
俺が路地裏に移動してから死角を利用して近づくつもりだったが。まさかバレてるとは思わなかった。俺は動揺を隠し、きわめて平坦な声で、奴に問う。
「何でこっちを見てたの?」
「仕事のついでに面白そうな奴を見つけてな。」
そう言って彼は何でもないことのように言うが、
「で?俺らを何時間も監視した意味は?」
「悪いが無い。ただ面白そうだったから仕事の合間にな…」
そうはいっているが、奴は何気に武器を取ろうとしている。こちら警戒を強めて…
「ばぁぁ!」
いともたやすく間合いに入ってきた。




