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46 冬也の過去と共通点

冬也のトラウマと、リーナを助けようと思った真の理由…

 


「ん…!」


 扉に吸い込まれてから、気を失っていたようです。一面石畳です。そして、目の前の大きな館は石で出来ているのでしょうか?見たことのない材質です。


 ここは一体?


「リーナ!」


「リン!」


 どうやら無事にリンと合流出来たようです。


「ここは一体何処なのでしょうか?」


「恐らくここは日本…冬也君の国です。見たことのない街ですが、看板に日本語が書かれています。」


 ?!いったい何が起こったのでしょう…確かに看板に見たこともない文字が掛かれています。そして、何故か読むことが出来ます。



 コンビニ?何か売っているようですが、扉にノブがありません…


「ハッ!トーヤ様は何処に居るのですか?」


「分かりません。私もここに来てから周りを見てみましたが、冬也君の気配がまた消えてしまいました…」


「…とりあえず、探してみますか…」



 私達は歩き出そうとしました。その時、



「冬ちゃんはこっちに居るよ。」





「「?!」」


 振り返ってみると、そこには老夫婦が立っていました。


「カトレアお婆様?!」


 何とそこには、私が幼いころに亡くなったお婆様が立っていました。


「私はアリアよ?あ、あらやだ、私はカトアリアスというのよ。初めまして。」


「俺は相沢宗次だ。冬也の曽祖父になる。」


「貴女達はカトリーナちゃんにリンちゃんね?冬ちゃんが世話になってるわ。ありがとね。」


 この方が…カトアリアス様…


「あの…お爺様?あなた方は既に亡くなっているはずでは…それに冬也君は一体どうしたのですか?」



「安心してくれ、俺らはちゃんと死んでいる。」


「宗さん?全然安心できないわ。」


「うむ…俺らは今は魂のみの状態だ。そして、冬ちゃんの望みに答えてこの子の中に入った。今話せておるのは疑似的な人格という事だろう。」


「そして、冬ちゃんの能力が、他人の魂を自分に降ろす能力ちからなの。」


「かつて俺が、アリアの世界に行った時に、能力を得た。今回冬ちゃんがあの世界に行ったときにそういう能力を貰ったのだろう。」


「魂…ですか?」


「それで冬也君の気配が偶に消えたりしていたという事ですか…」


「ああ、普段は問題無かったんだ…俺の魂と、サンドーコ達と話すためにアリアの魂くらいしか冬ちゃんの中に入って居なかった…」


「それが、この2,3か月の間に急に実戦の経験をしたの…そのせいで、私たち以外の魂も冬ちゃんの中に入ってきてしまった…そして、冬ちゃん自身が暴走してしまったの…」


「幸い猛虹が止めてくれたから大事には至らなかった。だが…」


「貴女達に危害を加えてしまったのね…それで冬ちゃんのトラウマが再発してしまった…」


「トラウマ?」


「ああ、自分の所為で仲間が傷つくということだ…」


「そんな!私は冬也君を責めたりはしないのに!?」


「私もです!トーヤ様を助けたかっただけで何も恨んではいません!」


「ありがとう…でも冬ちゃんは自分を無意識に責めてしまったのね…だから意識朦朧とする中で、貴女達から逃げてしまった。」


「そして、君達がここに来たということは、ダンタリオンに会ったんだろ?冬ちゃんもさっき彼女に会って攻撃しそうだったから慌てて止めたが…彼女は元気だったか?」



「…はい、元気でした…一体彼女は何なのですか?あの方が…昔から語られるほどの凶悪な女性とはとても思えません!!」


「…?」


「それは…分からないわ」


「どういうことですか?」


「俺達がこちらに来る前は、彼女は俺達の仲間だった。」


「「?!」」


「むしろ私達が聞きたいわ。私達が去ってから、彼女は一体何をしたの?」
























…………

……………………

…………………………………


 


「そんなことが……」


 カトアリアス様は驚愕しています。


「…まぁ、分からんでもない…」


「どういうことですか?お爺様。」


「一般的に言われとるのは、彼女が『加害者』という事であろう?真実は違う、彼女は紛れもない『被害者』だ。」



 私とリンは顔を見合わせます。何が何だか全く分かりません。


「君達に伝えられることは何故かできない。言葉が全くでないのだ。だから、俺等からのお願いだ。冬ちゃんだけでなく、リオンの冤罪を晴らして彼女の名誉を救ってやってくれ。」


「貴女に私の力を渡します。二人をお願いね、カトリーナ。」


「あの青い屋根の建物の横に俺らの家がある。そこに冬ちゃんはいる。どうか…ずっとあの子の味方であって欲しい。」


「二人とも、私達は応援しています。」



 そして、カトアリアス様達は丸い光になり、その一部が私の胸に吸い込まれます。そして、先ほど仰られた家の方向に飛んでいきます。


「リン、追いましょう。」


「ええ…冬也君…」

































 そして家に着きます。此処がトーヤ様の家…すると周りの景色が揺れます。


「何?ノイズがはしっている?」


 リンがそう言っていますがこの揺れの事でしょうか?暫くすると収まります。


「………家の中に入りましょう。」


「そうですね。」



 そして、扉を開け中に入ります。


「あ、日本ではこの玄関で靴を脱ぎます。なので脱いでくださいね。」


「あ、分かりました。」


 そして、私達は上がり込みます。なにこれ、見たこと無い魔道具がいっぱい…


「ここが冬也君の部屋みたいです。入りましょう。」


 リンに続きます。すると、大きな黒い四角い額縁がありました。その隣には、ベッドがあり、少し離れたところにも少し小さい額縁と机がありました。


「冬也君が居ませんね…あるのはテレビとパソコン、そして、ベッド…」


 いったい何をする魔道具なのでしょう…全く想像できません…



ジーーーーーーーブンッ!


「「!?」」


 


 すると大きい方の額縁が光を放ちました。


「一体これは…」


 すると、その中に冬也君と数人の男女が寝ている老人二人を囲んで居ました。男の人たちは冬也君に似ている?皆黒い服を着ている。


「葬式みたいですね。」


 確かに皆悲しんでいる。ということは、宗次様とカトアリアス様?そして、泣いているトーヤ様の背中を撫でている女性…あの方は?そして、場面は変わります。


 皆家に居ますが、葬式はもう終わっているようです。そして、先ほど背中を撫でていた女性を見ているトーヤ様を見ていると、


「トーヤ様は…あの女性に恋していたのでしょうか?」


「恐らく…あの目はそうだと思います…」


 まるでマリアス様を見ていた自分と同じような…そしてまた場面が変わります。



 一人で廊下を歩いているトーヤ様、ある部屋の前で止まります。部屋の中にはトーヤ様とよく似た人…お兄様でしょうか?と、先ほどの女性が二人でいます。そして、お兄様が何か言った後、二人はお互いを抱きしめ合います。


 トーヤ様は呆然とし、直ぐに足早にご自身の部屋に戻りました。


 場面はまた変わり、日々のトーヤ様が映っています。明らかに様子がおかしいです。いつの間にか手を怪我していたようで、包帯を巻いています。目も眼帯を付けており、大怪我を負った様子です。


「トーヤ様!?いったい何が起こったのです!!?」


「リーナ…あれは…中二病というものです…」


「チュウニ病?!それはあのような大怪我を負ってしまうものなのですか?!」


「いえ…そうではなく…精神的に不安定になるというか…」


「不安定…まさか…自死しようとした?!そんなに、追い詰められていたというのですか?!…好きな方が他の人と結ばれて…」


 なんという事でしょう…トーヤ様も私と同じように恋に敗れたという事ですか…それであんな…


「リーナ、このことを知っているということは、決してトーヤ様に伝えてはいけませんよ…ホントに死んじゃうかもしれないし(ボソッ)」


 心得ています。誰にも触れられたくない傷はあるでしょう。再度場面が変わります。



「これは…女性から手紙を受け取っていますね…」


 恥ずかしそうな様子を見せていた女性はすぐにその場から離れました。トーヤ様も顔を赤らめて、何処か落ち着きのない様子です。


「あれは…恋文でしょうか?」


 時は過ぎ、建物の裏の人気のないところにトーヤ様は向かいます。するとそこには数人の男性が待っていました。そして、あの女性が大笑いしています。



「まさか、罠!?恋文を利用して!!なんと卑劣な!!!」


 そして、彼らはトーヤ様を囲み、一人があの方を蹴りました。そして、そこからトーヤ様は、周りの男たちを制圧します。


「トーヤ様はこのころからお強いのですね。」


 しかし、そこからはあまりにも理不尽な様子が映っていました。手紙を渡した女性が、大人を連れてきました。そして後日…事情聴取をしているのでしょう。しかし、相手の男達は皆口を揃えてトーヤ様が悪いと言います。あの女性もです。トーヤ様は必死に呼び出されたと訴え、証拠の手紙を見せました。


 そして、相手の男性は手紙を受け取り、後日、トーヤ様に謹慎を命じました。トーヤ様は手紙を見ただろうと訴えますが、そんなものは無かったとその男は言い放ちます。


「冬也君…嵌められたのね…」


 冤罪…複数人の悪意ある者達により、トーヤ様は自宅で謹慎していました。そして、そこにトーヤ様より少し小さい女の子が現れます。


(あんたの所為でお兄ちゃんは!!)


 トーヤ様は慌てて近所の家に駆けこみます。そこには顔を殴られたのか、痛々しい様子の男性が居ました。その男性はトーヤ様に何でもないと言いますが、明らかに嘘です。


 そして、トーヤ様は行動します。そして、情報収集の結果、あの呼び出した者達が、トーヤ様に手を出せない代わりにご友人を害したというのが真相だったようです。そして、やはりあの教師と呼ばれた男が彼らに罪は無いとしたようです。


 そこからのトーヤ様は非情でした。まず、あの時の男達を街で待ち伏せしていました。人気のないところです。奴らはいつも群れているのか、一気に殲滅するつもりのようです。


 そして、トーヤ様が隠れているところを通りかかった彼らは、声を出す間もなく喉を潰され、路地に連れ込まれます。


 彼らの衣服をはぎ、裸にした後、彼らの下着を口に入れ、口に何かを張り、塞ぎます。彼らの荷物を没収した後、トーヤ様は彼ら容赦なく痛めつけます。中には腕の関節を何度も外されたり嵌められたりして、赤黒くなっている者もいます。


 痛みに泣き喚いているようですが、口が塞がっているので声が出せない様子です。そして、


(二度と俺と関わるな、何処まで追いかけても次は必ず殺す)


と、彼らに言い、その場を後にします。彼らの荷物を持って…


 そして、いつもトーヤ様が持っている板を使って、呼び出した女性と、あの場に居た一人の男を呼び出したようです。姉弟なのでしょうか?


 そして同じように二人を制圧し、女性を痛めつけます。特におなか辺りは変色しています。そして、気絶した男性の方は、近くにあった階段の上に運び、手すりにもたれ掛けさせます。


 女性は困惑顔でしたが、男性が目を覚ました次の瞬間、階段から転げ落ちました。手足が、妙な方向に曲がっています。


 その女性にも、同じことを言い、誰かを呼ばせたようです。女性は顔からいろいろなモノを流しながら、助命していました。あの様子では、二度と姿を現さないでしょう。


 そして、次の日、教師に襲撃を掛けました。気絶した男に、酒を無理やり飲ませ、放置しました。そして、男性は目を覚ましましたが、酩酊しているのか、フラフラとした様子で大きな道に出て、大きな箱とぶつかりました。



 その出来事は強烈でしたが、私も同じようなことを経験しています…喪失、冤罪、復讐…






 その後、トーヤ様は部屋から出なかったようです。トーヤ様の元に何人かの大人が訪ねてきましたが、お兄様が、ずっと部屋に居た。ご飯を持って行ったときに会っているので間違いない。と言い、彼らは帰っていきました。



 それから、ケガの治ったご友人たちが辛抱強くトーヤ様の元に通い、徐々に外に出るようになります。小さいほうの額縁に向かって何かしていたり、あの板に向かって何かしていたりしました。以前見せられた女性の絵に夢中になっている様子も映っていました。



 最初はただの異常者だと思っていましたが、あのようなことがあり、ごく近しい者達以外は信用できないようになったのでしょう…ならば、生身の女性よりも、手も出さない、周りも傷つけない絵の中の女性に夢中になるのも、理解はできないですが、想像できます。


「今回の件で冬也君は、自分を責めている…私達が思っている以上に…」


「……」



 また場面が変わります。これは…ホーリー様と会った時?その時のトーヤ様の心情が私達にも理解出来ました。あの方は私の境遇と自身を重ねたようです。そして、夢だと思ってはいても、心の奥底では報酬を度外視して、ただ、私を助けようとしてくれたようです…



「……………」


 何故私を助けてくれるのか…何も渡せない私に…その決意の一端を垣間見ることが出来ました。トーヤ様は…見返りを求めず純粋に私を…そう思うと自然と涙が出ました。


「リーナ…」


「私は、あの方に恩を返したい…これほど…傷付いているのに…私達のために頑張って…こんなことに…」



 そして、その額縁が光り、ベッドに向かいます。そちらの方を見ていると、トーヤ様が眠っていました。


「冬也君!」

「トーヤ様…」


 眠っている彼を抱きしめます。


「帰ってきてください。私は決してあなたを責めたりしません。あなたが…ただただ純粋に手を差し伸べてくれたように…私はずっとあなたの味方です。だからお願い、帰ってきて。」


「冬也君、自分を責めないで。貴方は全く悪くない。だから…」



 私とリンは、上手く口には出せませんが、彼に対してありったけの思いを込めてそう願います。















 いつまでそうしていたでしょう。彼の瞼が動きます。


「う~ん、リン?リーナ?」



 はい、そうですよ。私の救世主ヒーローさん。





もう少しで第2章も終わり。

そして、今章の重い展開も終わり。

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作者の別作品もよろしくお願いします。 終末(ヘヴィな)世界をゆるふわに!
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