45 過去を見つめるキッカケ
猛攻のじっちゃんとやり合った。いや、俺は必死だったが、軽くあしらわれた。そして、決して敵わないと悟った俺はその場から離脱した。なんでだ?皆から離れる必要はないはずなのに…
もうどれくらい走ったか…1時間?1日?1週間?もう時間の感覚もない…それになんだ…何かが体にまとわりついている気がする。いつもの自分じゃなくなる様な…そんな気持ち悪さをいつからか感じている。
たまにモンスターが襲ってくる。こいつらは住人じゃないようだ。銃を取り出し、派手に撃ちまくる…じっちゃん達は追ってこない?
もう何体のモンスターを屠ったか…またレベルが上がったようだ。でも今見ようとは思えない…大分樹海の奥まで来たようだ。周りの様子も変わってきた…
「あれは何だ?」
前方に何か建物?が見える。俺はそこに向かう…
「家?でも、大分昔に打ち捨てられたような…埃だらけだ。」
かなり古い建物だ。ここに祭壇があるのか?いや、ただの家だ…中は埃だらけ、部屋の数は5つ…
「こっちは寝室か…ベッドと化粧台だけある。ここは今でも普通に寝れそうだな?…奥の部屋は…何だ此処は?」
何もない部屋だ。床は所々変色しているようだ…寝室といいなんか変な感じだ。
「柵も何もない建物がこんな所に有ったら、モンスターに荒らされて崩れていそうなものだが…」
俺は別の部屋に移動した。そこにはいくつかの本があった。
「日記?」
俺はその本を開き、中を見た。
(もう何年経ったのか…あの子達…………………、ごめんね、…母……許して………
元気で……るかしら?……会いたい…………帰りたい。もう直ぐ……………………
憎い………人間達……………、愛おしい……………もう一度…………………………
リ……………ク……………せにね。……………………ベルディ………………あなた
…………………………………………………………………………………………………
これを読んだあなたへ、私の愛おしい子供達をどうか助けてください。 ×××)
何だこれは?読めるけど、途中で読めなくなる。ベルディ?誰だ?辛うじて意味を読むことが出来る部分を繋ぐと、誰かの母親がこの家に住んでいたようだ。隔離されていたのか?愛する家族に会えないことの恨みと、家族に対する愛情を読み取ることが出来る。
「しかし、なんでこの樹海に?」
チャリン
「ん?鍵?」
そこには鍵があった。本に挟んでいたようだ。この大きさの鍵というと…
「寝室にあった化粧台か」
俺は埃だらけのリビングを通り、寝室に向かった。そして、鍵の掛かった引き出しを開ける。そこにあったのは、
「指輪?内側に何か書いてある。×××・フォーチャー…フォーチャー?!」
ここに居たのはフォーチャー家の人間ってことか?残念ながら、名前は読めない。スキルを使っても…
フォーチャー家にも住人達の血が流れている?分からん、じっちゃんに聞いてみるか…
「ん?」
何か気配がした。こんな所に?リン達か?俺はリビングに戻る。
「変わったところはない…幽霊とか勘弁してくれよ?」
とりあえず、この家に有ったものはマジックボックスの中に入れる。他に気になるものは…一つだけ建付けの悪い扉のせいで、入れなかった部屋がある。壊すのもなんだか忍びない、また今度来ることがあればその時に調べるか。
「一応拠点登録しておくか…」
俺はこの家を登録してから外に出た。すっかり日は落ちているみたいだ。
くっ、また何かがまとわりついてくる…ふと、建物の横に何か見えた。
「なんだ?」
そこには、ドレスを着た女性が立っていた。
「はぁ?!」
(あぁ…貴方、それはダメよ)
女がこちらに向かってくる。
「くッ!!」
俺は銃を向け、引き金を引く。が、
「弾が出ない!!?ジャムったのか?!」
俺は銃剣のみで立ち向かう。が、すり抜けた?!
(大丈夫、落ち着いて…)
するとその女性は俺を抱きしめる。不思議と安心する。
(このまま休みなさい。)
すると今までの疲れが出たのか、俺はすぐに眠りに落ちた。
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今は私とリンだけでトーヤ様を追っています。恐らくあの方がやったのでしょう。モンスターの死骸が道しるべのように樹海の奥へ続いています。
「冬也君が倒してくれたおかげで私達は襲われませんけど、彼は一体どこまで行ったのでしょう。」
もう3時間は追い続けていますが、未だに追いつくことが出来ません。
「今はただただあの方を追うだけです。」
しかし、私もリンもそろそろ体力の限界に近づいてきました。このままですと、ますますあの方との距離が開いてしまいます。
「?!止まってくださいリーナ!!」
「!!」
……………
「様子が変です。音が一切なくなりました…それにモンスターの死骸も無くなっています。」
確かに…風の音すらしなくなりました。それに樹海の雰囲気も変わっています。
「!」
右手の方で何か気配がしました。
「リン、向こうに何かあるようです。」
「え?」
何かを感じます。危険な気配ではないので、行ってみるべきですね…
「………!?冬也君の気配がします!」
「?!」
「今感じることが出来ました。正気に戻っているようです。今の内に行きましょう!!」
そして再び駆け出します。
しばらく進むと、この樹海には似つかわしくない建物が現れます。
「あれは…あの子に冬也君の気配があります!」
「リン!何か変です。樹海にこんな建物があるなんて…」
「でも危険な気配はしません。行ってみましょう。」
そして、私達はその建物に足を踏み入れます。
玄関から入ると、少ししたところで、リビングに繋がっています。かなり埃が積もっています。一体何年放置されたのでしょうか?部屋の数は4つ。しかし、
「4つの部屋は扉が外れていますね、中も埃だらけです。」
「?何を仰っているのですリーナ?扉はきちんと閉まっているではありませんか。」
「え?扉は外れていますよね?中もほら…埃だらけで…」
「いいえ…私には扉がきちんと閉まっているように見えるのですが…違うものが見えている?」
お互いに嚙み合わない会話をしており、困惑しています。
「とりあえず、その扉を私は開けてみます。冬也君の気配がこの家に入ってからしているので、間違いなくどこかの部屋にいるはずです。」
「分かりました。」
この場はリンに任せます。私は周囲を警戒しながらリンの言う扉の前に進みました。
「開けます。」
ギィ…
そして、リンは部屋の中に入り…
「え?何故!?」
彼女は消えました。
「リン!リン!!」
私はすぐさま部屋の中に踏み込みます。どうして?何故何もないの?
(貴女はそのままでは入れないわ、アリア)
「?!」
背後からそう話しかけられ、その場を飛び退きます。
「誰!?」
(どうしたのアリア?あら?何故小さくなっているの?……?)
するとそこにはお母様と同年代の女性が立っていました。
「私の名はカトリーナです。アリアという名の方ではありません。」
(あら、そうなの?…もしかして、トレーター家の子孫?)
?!トレーター家を知っている?アリア…まさか、カトアリアス様?
「あなたの言うアリアという方は、カトアリアス様の事でしょうか?」
(そうそう、いつもアリアと呼んでいたから忘れていたわ、それにしても…アリアとあなたは似ているわね?フフフ)
と、その女性は微笑みます。害意は…無いようですね…
「初めまして、カトリーナ・フォーチャー・トレーターと申します。この家の方でしょうか?無断で入り込んでしまい、申し訳ありませんでした。」
私は挨拶と、不法侵入についてお詫びしました。
(フォーチャー!?あなたもフォーチャー家の者なの?!)
その女性は泣きそうになりながら驚いています。
「数代前の当主に、フォーチャー家の女性が嫁いだという話を聞いています。それ以降、トレーター家はミドルネームにフォーチャーの名を入れることを許されています。」
(そうなのね…貴女は…私の子孫なのね…)
!?ということはこの方はフォーチャー家の方なのでしょうか?
(そうね、自己紹介がまだだったわ…初めまして、リオン・フォーチャーと申します。)
その姿は洗礼されており、見ほれるほど奇麗なカーテシーでした。
「…!?お止めください!フォーチャー家の方が私などにそのような!」
(あら?今はそのような風習なの?あの時は、誰に対してもこのような挨拶の仕方だったのだけど…)
本来カーテシーは女性が行う目上の方に対する挨拶です。侯爵家の方が、男爵家の娘にしていい所作ではありません。
(ああ、そういう事なのね。気にしないで、私はフォーチャーを名乗ってはいるけれども、侯爵家の人間ではないのよ?身分的には平民よ。)
「どういうことなのでしょう?」
(私は…人間が嫌いなの…やむお得ずフォーチャー家に身を寄せたけどもね…)
何やら深い事情がありそうです。
(そうそう、貴女はあの子たちを探しているのよね?)
「!はい、トーヤ様とリンは何処へ行ったのでしょうか?」
(あの子達はそこ寝室にいるわ。)
そう言われ、改めて部屋を見渡す。やはり何もありません。
(一度その部屋から出て、貴女に私の力を分けるわ。それで行けるはず)
「力?」
(本当に、少しでも私の血が流れているのならば、その扉を開けるはず。この世界のもの達には開けない仕組みになっているから…)
そして、リオン様は私の額にキスをしました。!?何かが流れ込んできます。そして目の前に扉が現れました。
(さあ、その扉を通って冬也君を助けてあげなさい、貴女の連れも先で待っているわ、無事に彼を連れ帰ったら、もう少しお話ししましょう。)
「はい、分かりました。」
そして扉に手をかけ、
「その前に、失礼ですがリオン様は一体…?」
(そうね、かつては「ダンタリオン」と呼ばれていたわ)
「え?」
聞き返そうとしましたが、私は扉の中へ吸い込まれていきました。
山田「何か想像していた性格と違うんですけど…社長、この人が悪者だと決めつけてませんでしたか?」
冬也「…いや、違うし、ただの仮説だから(震え声)」




