「好きでした」
まだ登校する生徒も少ない朝の早い時間。
屋上には人影が2つ。
「おはよう。
こんな時間に呼び出してごめんね、草田君」
「おはよう水森さん。
気にしないで。
早く来て図書室で勉強しようと思ってたから」
微笑む真。
少し固い表情で、楓は口を開いた。
「好きでした。
ずっとずっと前から、草田君の事が」
漸く言えた。
けれど、これで終わりじゃない。
寧ろ、全ての始まりだ。
「…それは、僕の都合の良いようにとっても良いのかな」
真は、穏やかな笑みを崩さない。
「…何度も草田君の優しい言葉に救われた。
こんな私でも、草田君は他の子たちと変わらず接してくれたから。
でも、アイツといると本当の私が出せて、凄く居心地が良いの。
迷惑な話だよね。
勝手に好きになられて、勝手に巻き込まれて。
自分でも最低な事してるなって思うよ。
だから、せめて草田君の気の済むように振ってください」
「…ホント、2人共僕の想像を簡単に超えてくるなあ…」
クスクスと、楽しげに笑った。
「水森さん、好きになってくれてありがとう。
だけどごめん。
君の想いには応えられない。
僕以上に水森さんを幸せにしてくれる人がきっといるから」
少しの間沈黙して、楓はホッと息をつく。
「ごめんね変な事頼んじゃって…
振る方も嫌だったでしょ?」
「滅多に体験出来ない事させてもらったから謝らなくて良いよ。
でもそうだな…
少しだけ傷付いたかも」
「え!?」
ど、どうしよう!?と慌てる楓に、また笑った。
「1つだけお願い、聞いてくれる?」
「も、勿論!!
私に出来る事なら!!」
「アハハ、水森さんしか出来ないよ。
名前で呼んでほしいんだ」
「名…前…?
そ、そんなので良いの…?」
「そんなのって酷いなあ。
水森さんは僕ともっと仲良くなりたくない?」
「なりたいに決まってるよ!!」
「なら決まり。
よろしくね、楓」
「え、あ、うん!!
よろしく真君!!」
振って振られた2人は数分後、名前で呼び合う友人に。
「アイツのとこ、行くんでしょ?」
「うん。
どうしても、伝えなきゃいけない事があるから」
「楓ならきっと大丈夫。
僕も応援してるよ」
真の言葉に漸く楓も安心したように笑った。




