少年の考え
「あ、」
「…よう」
文化祭もそろそろ終盤。
気持ちを切り換えて見回りをしている楓の前に現れたのは昶だった。
「…見回りの相方は?
2人1組って決めたのアンタでしょ」
「人数ぴったしのはずが何でか余ったんや。
つか、その言葉そっくりそのまま返す」
「私も余ったのよ」
自然と2人並んで歩き出す。
「水森どっか回ったか?」
「2年生のクレープは中々美味しかったわ。
後1年生のカフェ」
「食いもんばっかか。
俺もそんなもんやけど。
そういた、お前んとこの企画のお化け屋敷、結構人気やったみたいやで」
「当然でしょ。
私が監修したんだもの」
「めっちゃドヤ顔やん…」
得意気な楓に、昶が吹き出した。
「…水森、この前の事やねんけど」
それを聞いて、思い浮かぶ事はたった1つ。
「…………」
「あれさ、悪いねんけど、」
なかった事にしてくれへん?
楓の足が、止まった。
「…え、」
「勢い余って言ってもたし、最近お前あからさまに俺の事避けとったやろ。
めんどいから全部なし。
…ただの犬猿に戻ろうや」
勝手な事を言っていると、自分でも分かっている。
けれど、このままでは駄目なのだ。
「…そうね。
仕方ないからなかった事にしてあげるわ、馬鹿男」
それは、始まりの合図。
「上からかいボケ女」
これで良いのだと言い聞かせながら、2人は笑い合った。
『――――本当にこれで良いの』
それだけの文章に、様々な感情が窺えた。
恐らく今まで通りに戻った2人を見て、何かしら気付いたのだろう。
「えぇねん。
アイツにフラれる事より、いつもの俺らに戻られへん事の方が何百倍も辛いからな」
『自分1人で決めて、水森さんには納得しろって?
身勝手すぎるよそんなの』
「…お前はそう言うと思ったわ」
けれど、もう決めた事だから。
「すまんな、真」
不器用に口元を歪めてみせた。




