その5
「・・・隊長!三時方向から魔獣が来てます!」
「あれは超級魔獣だな!よしっ!全員向かえ!こちらは俺が引き受ける!」
「待て、ジーク!あの魔獣は風魔法が弱点だ!白龍!悪いがあっちに向かってくれ!」
「よっしゃ、任せとけ!ほな、俺様あっちの任されたから行くわ!あばよ!」
「あっ!ズルいぞ、白龍!俺も行く!こいつら気持ち悪いから無理!うわっ!?ギャーーーッ!?」
「ややっ!?中々の大群でごさるな!白龍殿一人では苦戦するやも!拙者も行くでござる!白亀殿、ここは貴殿に任せたでござる!うおっ!?ギャーーーッ!?」
「あんた達!このゲテモノをあたし一人に押し付けようったって、そうはいかないのよっ!白虎!一匹ずつ燃料投下!白雀!弱火で燃焼継続!土を被せて低温蒸し焼きなら魔石も残るわよ〜!」
わたしは白亀が白雀と白虎を魔法で拘束して、対峙していたウニョウニョうぞうぞとした見た目と口からえげつない色の体液を吐いてる一般的には絶対生理的に受けつけないだろうめちゃくちゃ気持ち悪い系の神災級魔獣の群れに放り込むのを、天鵞絨草を毟りながら眺めていた。
「・・・あの、皆さん大丈夫なんでしょうか?」
「あ〜、大丈夫。大丈夫。あの人達の役目は魔獣の討伐だからね〜」
わたしは向こうの方で夜行性らしい中型のGっぽい中級魔獣を超音波で一生懸命吹っ飛ばして魔石を量産しているハムちゃん達の無事を確かめると、また一つ天鵞絨草を毟った。
こうして一晩中せっせと毟り続けた甲斐があり、わたしは夜明け前にはだだっ広い窪地の天鵞絨草を一本残らず毟り取ったのだ。
(((((((リーナ様!いちご大福美味しいです!)))))))
わたしは頬袋いっぱいにいちご大福を詰め込んでるハムちゃん達にちょっと心配になったけど、まあ、普通のハムスターじゃないし大丈夫かと、自分のいちご大福を食べた。
「・・・世の中にこんな美味しい物があったなんて」
「・・・そうよね。あたし達の国には無いわよね」
「ねぇ、魔族って生物しか食べられないんじゃなかったっけ?」
「そうですね。普通の魔族は魔力の摂取の為に生物を好んで食べますね」
「そう言う事で、一応魔族は生物しか食べられないって訳じゃないんです。それに、あたし達魔力必要無いんで、寧ろ火が通ってた方がお腹壊さない感じなんです」
「そうなんだね〜。じゃあ、昨日はご飯の時、全部生物料理しか出してなかったけど、これからは普通の料理も出して良いのかな?」
「はい!昨日の生物料理も今迄食べた事無いお料理ばかりだったし、めっちゃ美味しかったし、お腹も壊さなかったので最高でしたから!普通のお料理も是非お願いします!」
「あっ!?あの!宿泊代とかは後払いでも大丈夫ですか?」
「そうだった!あたし達って、お金持ってなかったよね!?」
わたしはオロオロと慌てだした彼女達に宿泊代とかは要らないから、彼女達が持ってるらしいこの辺り一帯の魔植物の群生地の地図を見せて欲しいとお願いしたら、近所の雑貨屋さんで普通に売ってる地図らしく、そんなので良かったらとあっさりと見せてくれた。
「・・・・・・・・・・・・なるほど。残りは後九箇所だな。リーナ、全採集頼んだぞ。ジーク、後でこの辺りに出現する魔獣の確認をしておこう」
「「・・・」」
こうして、わたしとしてはもう一箇所ぐらい全採集したら魔族の国に行きたかったのに、何故かホクホク顔の副隊長の非情な提案で地図上にある魔植物の全採集が決定したのだ。
ブチッ!ブチッ!
「・・・ぬおっ!?おいこら、危ないやろが!大人しい斬り刻まれんかい!」
ブチッ!ブチッ!
「リーナ!ハムちゃん達に待機指示出して!こいつらに超音波攻撃したら触手で弾くから、乱反射してあたし達がヤバいわ!」
ブチッ!ブチッ!
「了解。ハムちゃん達〜。そいつらは超音波攻撃したらダメらしいから、こっちおいで〜」
(((((((はい!リーナ様!)))))))
ブチッ!ブチッ!
全採集も五箇所目にもなると採集の手際も良くなり、わたしは今現在両手で歩きながらの同時採集をしてノールックで魔族の彼女達が持つ頭陀袋に投げ入れているぐらいには楽勝な感じにはなっていた。
「・・・リーナさんって本当に獣人だったんですね」
「うん、タヌキ獣人だよ〜」
今採集してる魔植物は背丈が低く小さ目のものだったので、わたしは毟りやすい様にタヌキ姿で採集してるのだ。
(リーナ様がブチッってすると見える様になるんですね!)
「そうみたいだね。この羊毛風草って軽くてフワフワだしハムちゃん達のお洋服作ったら良い感じになりそうだよね」
「あっ!それなら、あたし達にお任せ下さい!七色のお洋服作りますよ!」
「それいいね〜!ハムちゃん達!彼女達がハムちゃん達に色違いのお洋服作ってくれるって!」
わたしがハムちゃん達にそう伝えるとハムちゃん達の顔はぱあっと輝き魔族の彼女達にペコリとお辞儀したら、魔族の彼女達も皆んな笑顔でお辞儀したので、言葉が通じなくても仲良しにはなれるもんだよなと改めて思ったのだ。




