表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家族"愛"たくさん貰いました  作者: 紅葉
第一章 秘密
8/17

七話 秘密


自室で寝ていると、怒りと焦燥感が入り混じった声が私の部屋まで聞こえてくる。

「ぇ!どうするの…」


「ランドル!お願いだから!」

怒りより悲しみが多く入り混じった声で叫んでいた

合間には机をドン!と叩く音、成人した男の慟哭など、女の悲観な声


なになに?

どういうこと


私は気になり、寝台から降りる。

そろそろと移動して、光が漏れ出る部屋に向かいそっと除いてみる


そこには、ミカリアとランドルが椅子に座っていた。

対面には机が一つとカップが2つ置かれていた


「やっぱりアリアを神殿に預けないか...」

「ランドル!ちょっと待って!どうして?10歳までは育てようと言ったじゃない!魔力が授かればずっと一緒に暮らしていけるのよ!」

「もう、アリアが魔力なしだということに気づいている人いる以上...。それでまたミカリアが体を壊したらどうするつもりだ。」

ミカリアは、手で口を押え、堪えきれないような声でつぶやいた


「まって...私は大丈夫よ...」


「それは、俺が決める。もう見たくないんだ...」


「...それで神殿に預けるの?」


「ああ。白状だと思われてもいい、だけどまた前と同じにはしたくない、なりたくない...と思ってる」


ミカリアは、苦虫を噛み潰したような表情に変わった


「でも、預けたからといって周囲の私達を見る目は、お布施は?」


ミカリアは、それでも食い下がらない


何とか私を預けない方向に持ち込みたいようだ

「周囲の私達を見る目は変わることはないと思うが、緩和ははされると思う。それとお布施は、ここにある」


そう言ってランドルは、革袋を一つ机の上に置いた


じゃりと音がなって、革紐が解けたのか中から一枚銀色のコインが転がり机の上でくるくると回ってパタンと倒れた



それでもミカリアは、抵抗した


「それでも後1年よ」

「一年でもだ!」


ランドルはそれから、ミカリアを諭すように言葉を重ねる


「ミカリア考えてみてくれ、アリアを神殿に預けること。それはおかしいのか?神殿がどういったものなのかも知らないが...金をもっている人は皆やっていることだ。やらざるをお得ない人達だ。それは俺達も含まれている」


さらに言葉を重ねる


「...なあミカリア、耐えられるのか?」

耐えられる?


「わからないわよ!だけどね…あの娘は私達の娘なのよ」


ミカリアは、涙をぽろぽろと流し感情のまま吐露する


「俺は...耐えられない...最初は、魔力のない子供でも5歳まで育てれば、もう一度神儀を受けられる。それまで待てばいいと思っていた、だけど...」


ランドルはそこで口を紡ぐ


ミカリアはそれでも説得を諦めず、今度は優しい声色でランドルに問いかける

「ねえ、ランドル、アリアは生れてどうだった…?嬉しかったでしょ?だからもうすこしだけ...ねっ?」


「...........ああ......そうだな。もう少しだけ」


ランドルは、納得のいかない表情でミカリアを見る


「アリアには、教えるのか?自分に魔力がないことを、国民としてこの町から...いやこの国から受け入れられていないことを」


「まだ、教えないわ。多分耐えられないもの、それにあの子みたいな表情をされたら私はどうしたらいいかわからなくる」

 

あの子?って誰のこと?


「…そうだな」


それから二人の会話は、体内時計で1時間程経っていた


ああ…そうなんだ

私ってランドルやミカリアにとって厄介者なんだ


うすうすは気づいてたけど...


この世界は、魔力を使うことが当たり前で、使えない人間は、忌避する対象らしい


扱いとしてはかなり酷く、魔力が無ければ町の人間から差別的な扱いをされ、その子供を産んだ両親も同罪ということになるらしい。道を歩けば、ヒソヒソと囁かれ、噂され、貶される。

欲しくもない注目に常に晒される、完全な村八分状態らしい



両親は世間から私を隠して、対外的には、(娘は虚弱体質で外に出せない。)となっている。のだが

私が外に出て魔力が使えない事が露呈してしまい、ランドルやミカリアは今風当たりがかなり悪い


ランドルやミカリアはそんな事にならないために、私が外に出ることを禁止して、魔石に触れないように、私の手が届かない場所に置いた


私に魔力がない事を隠していたのだって、私に負い目を掛けないためだ


私に現実を見せれば、初めから言い聞かせる手間も時間も省けてただろう


ただ「お前には魔力がないので、魔石に触るなよ」とか、実際に外に出して、私の現在の立ち位置を見せればいいだけだ。



なのに、二人は精神を限界まで疲弊させても最後まで隠そうとしている

その事が正直ショックだった


言ってほしいけれど、私が口出ししていいのか分からない


私が5歳になると、魔力のない子どもを、一ヵ所に集めて魔力を授かる儀式みたいなものを行うらしい


本来は、私が魔力を5歳または、10歳に授かれば、町の人に「娘の病気が治った」とか言えば、溝を作らず溶け込むことはできるだろう

町の人と関わってこなかった弊害と常識の擦り合わせは大変だろうが、ギスギスした空気になるよりマシだろう


授からなければ(娘が亡くなった)事にしてこっそり神殿に預けることだったらしい


この町の葬式は、どういうふうに行われるのか分からない

身内だけでやるのかな?

そんな呑気な事を考えてる暇なんてないのに...


偶にだけどランドルがげっそりと疲れた顔で帰ってきたり、買ってくる服が継ぎ接ぎだらけだったり、食事の質がいつもより落ちている気がすることもあった


食事だってそうだ。

ジャガイモのようなものと、ミンマという野菜それと、ポグというお肉のスープ我が家ではよく食べられていたのが、お肉が無かったり、使われる野菜の質が落ちたりしていた


あの時は「今日は良い野菜がなかったのよ」と言っていた

私は気になりはしたが、聞けなかった


私は両親のそんな話を聞いて凄く落ち込んだというより、どうすればいいか分からなくなった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ