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現代冒険者のすゝめ ~高校受験に落ちた僕、冒険者になってみた!~  作者: あっかんべー
第4部:異世界《アルカディア》

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第100話 閑話 竜ケ崎マサトの誓い 後

※竜ケ崎マサト視点


走り続け偶然にも、同門の大人を見つけることが出来たんだ。


もちろん、叫んださ。

助けてくれっ!、と叫んだんだよ。

これで、友人を助けることができると思ったから。


大人の人は急いで駆けつけてくれたよ。

俺も走って追従したさ。


戻ってこれた――


そう思ったときには…遅すぎたんだ…。

そこに、友人はいなかっただよ。

残っていたのは、魔物の残骸と、あまりにも少ない何かだけ…いや、言い訳はやめよう…。


……そう現場には、あいつの腕一本を残し何も残っていなかったんだ…。


「……っ、あ、あ、あぁ。」


大人が、マサトの目を塞いだ。


「見るな。」


低い声だった。

その声を今でも夢に見るくらいには覚えている。


「見なくていい。」


「……でも、あいつが。」


「見なくていいんだ。」


大人の手が、俺の顔を覆っていた。

でも、俺にはすぐに分かった。

分かってしまっているんだ、こんなこと子供の俺でも理解できてしまうんだ。


「……っ、あ、あ、」


声が出なかった。


「……俺が、一緒に戦っていれば――」


「……お前は、正しいことをしたんだ。」


「俺の方が、強かったのに。道場では、俺の方が強かったのに。」


「……。」


「何が才能があるだっ! 何が強いだっ! 肝心な時に全く動けないやつのどこに才能があるんだっ!」


誰も、答えなかった。


「……あいつを、見捨てたんだ。」


「見捨ててない。お前は正しい判断をしたんだっ。」


「見捨てたんだっ! 俺の方が強かったのに、動けなかった、逃げた、見捨てたんだっ!」


大人の手が、マサトの肩を掴んだ。

でも、俺の声は止まらなかった。


「……何が"友達"だっ! 自分を助けてくれた奴を見捨てるような奴が、友達なんて言葉を使っていいはずがないだろっ!」


その時分かったんだ……。

なんで、突然足が動くようになったのかを。

あの場から逃げれる環境になったから俺は動けるようになったのだと。


俺は…俺は、"友達"を逃げる口実にしたとんでもない卑怯者のクズ野郎なんだ、と。


その後からだ……。

誰もが俺のことを卑怯者だと思っているんじゃないか?と疑心暗鬼になってしまったのは。


……それから、狂ったように稽古した。

心の隙間を埋めるかのように訓練に励んだんだ。


今度こそ同じ状況になったら"友達"の為に命を張ることができるように、と。



草原の風が、揺れた。

気づいくと、俺の手が、震えていた。

どうやら、後悔の念が漏れていたようだ…。

皆が心配そうに俺の様子をうかがっていた。


情けない…いや、誰かに俺は罰して欲しかったのかもしれないな…。


「……竜ケ崎君。」


佐藤さんが声を掛けてくる。

振り返らなかった、いや、振り返れなかったんだ。

こんな情けない姿を誰にも見せたくなかったから。


「……昔の話だ。」


「……さっきから、手が震えていますよ?」


「……続きを聞いちゃあくないか?情けない卑怯者の戯言を。」


「……分かりました、後悔が無いようにすべて吐き出してください。」


「……あれから、狂ったように稽古したんだよ、俺。」


俺は、前を向いたまま言う。


「血を吐くくらいやったさ。理由は一つだ。次に本当の"友達"ができた時に、今度こそ見捨てない自分になりたかった。それだけのために、ずっとやってきたんだ。」


「……。」


「アルトは、俺が初めて本当に友達だと思えた奴だ。ナユタも同じだ。」


俺は、草原の先を見た。


「あいつらが今、知らない場所で一人でいる。俺がここで立ち止まっていたら、また同じことになるかもしれない。また、見捨てることになるかもしれないだろ?それだけは、嫌なんだ…。」


神崎さんが、静かに言った。


「……闇雲に動いても、見つけられない可能性の方が高いです。」


「……分かっています。」


「動くなら、方向を決めてから動く必要があります。」


「……分かってはいるんですっ!」


「分かっているなら――」


「……分かっていても、じっとしていたら頭がおかしくなりそうなんですよ。」


俺は、拳を強く握った。

顔もきっと酷く歪んでしまっているだろう。

だけど、神崎さんの言葉も分かっているんだ……。


「……でしたら何か、何か情報を集める方法はないですか?今すぐ動ける方法は。」


佐藤さんが、少し考えているようだ。

残念なことに、そう言ったことを考えることが苦手な俺は人を頼ることしかできない。


「……まず、現在地を把握します。この草原がどこなのかが分かれば、ある程度の方向が見えてくる可能性があります。」


「どうやって。」


「魔力探知で、周囲の構造を読みます。少し時間をください。」


「……急いでくれ。」


「はい。」


佐藤さんが、目を閉じ集中を始める。

探知を待っている間に神崎さんが、俺の隣に来た。


「……竜ケ崎さん。」


「……なんですか。」


「……あなたが動こうとする理由が、昔のことだけじゃないのは、聞いていて分かりました。」


「……それがどうしたんですか、それが分かったところで何か状況は変わるんですか?」


「田中さんは、あなたのことを信頼していました。あなたが助けに来ると、今も信じているはずです。」


俺は、何も言えなかった。


「……その信頼に、応えましょうよ。焦って一人で動くのではなく、全員で動いて、必ず見つけましょう?」


「……はい。」


「……私も、父を探すために来ました。一緒に動きましょう。」


佐藤さんが、目を開けた。


「……分かりました。東の方角に、建造物の気配があります。集落か、街がある可能性があります。」


「そっちに行くのか?」


「はい。情報が集まれば、田中さんたちの居場所を絞り込める可能性がありますから。」


「……分かった、行こう。」


俺が、先に歩き出した。

頭の中に、あの日の記憶がまだ鮮明に残っている。


消してはいけない俺の戒めの記憶だから。

でも、今の俺の足は、その記憶トラウマに引っ張られて動いているのではない"友達"の為に動いているんだ、そう信じてアルトたちを探し始めるのだった。


今の俺は"友達"の為に動けているのかな、"ユウト"……。

――また、いつか会えるといいな、竜ヶ崎…。

――いつか、会いに行けばいいじゃないか?

――今は、まだその時じゃないよ。

  あのクズ野郎がを消してからじゃないと、ね。

――……。



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