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ゴスロリ貧乏貴族は天才発明家(男の娘)!? ~働きたくないので魔道具を作ったら、いつの間にか国家経済を支配していました~  作者: 星島新吾
第一章:黄金郷編

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おバカ貴族と時間稼ぎ

2025/11/27 大幅修正

 それは何気ないカサルの一言だった。


「そう言えばお前、脱出してからずっとこの街に潜伏していたのか? よくバレなかったものだ」


 カサルの問いかけに、マリエは小首を傾げる。


「えー、確かにねー。でもぉー、皆愚鈍だしぃ……仕方ないのかなぁ。───それよりもさ、私に似合うメイク、見つかった?」


「ん? ……まだだ。マリエが肌のキメや骨格を詳しく触らせてくれたら、すぐに見つけられるんだが……」


「アハハハハ! えっち!」


 マリエは笑って返事をしたつもりのようだったが、その瞳は笑っていなかった。


「何なら自分で見つけるか? ある程度のパターンを描いてやるから、異端核に合ったメイクをして、サンプルと顔合わせをしてみるがいい」


「わぁ、それアリだね! ねえねえ、なんで皆こんな簡単なこと思いつかないんだろうね?」


 彼女は自身の腕時計に目をやりながら、そんなことを訊く。


「発明というのは、得てしてそういうものだ。そもそも、禁忌である解剖をしなければ『異端核が生きている』という前提に辿り着かない。よって、『異端核を相手にメイクをする』などという発想に至ることもないワケだ」


「偶然に発見する人がいてもおかしくないと思うんだけどなぁ」


「化粧は令嬢の特権だ。それも異端核が反応するほどに顔を変えるというのは金がかかる……。もっと安価な化粧品が世に出回れば、そう言った現象が見つかる日が日常に来るかも知れん」


「カサルちゃんがそうするんじゃないの?」


「………カサル様と呼ばんか!」


 カサルは青筋を浮かべて訂正を求めた。

 学園の女どもにはこぞって言われるその呼び名。向こうでは数の暴力に屈するしかなかったが、ここは一対一。訂正させるなら今しかない。


「……カサルちゃん様?」


 マリエの言葉に、カサルはあんぐりと口を開けた。


 馬鹿にされるのには慣れているが、まさかこんな変化球で来られるとは思いもしなかったのである。


「……(オレ)に敬意はないのか……? (オレ)は貴族だぞ……」


「国で一番貧乏な貴族様だよね?」


 マリエはそう言って口を押えて笑った。彼女は本当に馬鹿なのか、あるいは人を刺す時だけ知能が跳ね上がるのか。どちらにせよ、カサルは一つの事実に感づいた。


「お前……(オレ)について調べたのか」


「ちょっとだけね。好きなモノは踊り子と堆肥、嫌いなモノはおっきいおっぱいと勉強。落馬してからとっても頭の悪くなった元神童、カサル・ヴェズィラーザム。……ヴェズィラーザム家は神童育成として脚光を浴びるも、後に失敗。社会的地位は失墜。貴族ランキングでは影響力、資産、生産力、どれをとっても星はゼロ。名実ともに没落貴族最有力候補。……だよね、カサルちゃん様?」


「ハハッ、言ってくれるではないか。貴様、死にたいらしいな」


「アハッ、図星突かれて怒っちゃった?」


「……チッ。まあ大体その通りだ。一つ訂正するならば、(オレ)が生まれたことで一時的に上がっていた地位が元に戻ったというだけのこと。ウチは元々貧乏で、これと言った産業もない。あるのは広い領地と農業に適さない荒れた大地だけだ」


「でも変だよねぇ。ここってそんなに貧乏なのに、ほとんど餓死者がいないんだよ。お腹が減らない人たちばかりなのかなぁ?」


「……」


 カサルは黙った。マリエの視線が、工房の入り口である巨大な工場区画に向けられていたからだ。

 工場で作られている食料がどこに消えているのか、彼女には見当がついているようだった。


「私、調べていても分からなかったんだ。自分を偽ってまで、家を没落させたのって意味があったの? 皆を不幸にしてまで何がしたかったの? ふーしぎーだなぁー」


 マリエの問いに、カサルは表情を硬くする。


「あの頃の(オレ)ではどうしようもない問題もあったのだ。それについては今後一切触れることは許さん」


 マリエはそんなぷりぷり怒っているカサルを見て、笑みを浮かべながら腕時計に目をやった。


「ねえねえ、天才のカサルちゃんに最後の質問なんだけどさ。私がここに来た理由って何だと思う?」


「は? 異端核を取り返しに来たのではないのか?」


「違うよー。異端核”も”、取り返しに来たけどぉー。私が本当に欲しかったのは……キ・ミ!」


 言葉と共に、マリエがカサルの体に飛びついた。


 柔らかい感触と、女性特有の甘い匂いがカサルを包み込む。


「がッ……!?」


 瞬間、カサルの全身に鳥肌が立ち、呼吸が止まった。

 彼女は知っていたのだ。カサルが重度の母性アレルギーを持っていることを。


「や、止めろ……! (オレ)に触れるな……! クソッタレ……息が……!」


 拒絶反応で力が入らないカサルの口元に、マリエはそっとハンカチを押し当てた。

 ツンとした薬品の臭いが鼻腔を突く。


「ごめんねー。ちょっとおねんねしてて欲しいな」


「貴さ、ま……」


 カサルの視界がぐにゃりと歪む。


 薄れゆく意識の中で最後に見たのは、無邪気さと冷徹さが同居した、魔女のようなマリエの笑顔だった。


最強の魔法使い攫われちゃった。



ではまた(^_^)ノシ












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