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ゼロの魔女騎士《ウィッチナイト》  作者: 鴨志田千紘
第3章 学園の魔女
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誰も教えてはくれない

続きはカクヨム(https://kakuyomu.jp/works/1177354054887291624)の方で先行して掲載されております。

興味のある方は是非そちらでも読んでみてください。

感想、レビューなどもお待ちしております!


「どうして夜中に出歩いたりしたの!」


 仄暗いリビングに愛梨彩の怒号が木霊する。それはまるで子供を叱る母親のようで……背筋がゾッとした。


「えっと、それはだね……」

「太刀川くんは黙ってて!」

「あ、はい」


 僕は正座したまま萎縮した。どうやら愛梨彩は怒り心頭のようだ。そしてその矛先は……隣の桐生さんに向いていた。

 愛梨彩の目が桐生さんを射抜く。桐生さんはたまらず、うつむいて目を逸らした。


「お菓子……なくなっちゃったから」


 ようやく発した言葉には力がこもっていなかった。完全に怯えていた。


「あなたがまともにご飯を食べれないのはわかります。けど、だからって夜中に出ることはないでしょう? 夜は魔女たちの時間よ。出歩けば襲われるのは自明の理でしょうに」


 桐生さんは押し黙ったまま。険悪なムードが続く。この空気……耐え切れそうにない。


「一応今回は助かったわけだしさ。説教はこれくらいで——」

「あなたはどっちの味方なの! 下手したら太刀川くんがやられていたのよ!? 今はしっかり叱らせてもらうから」


 愛梨彩が有無を言わさず僕を睨みつける。「それは……面目ないです」と平謝りせざるを得なかった。

 確かに彼女の言うことは最もだ。あと一歩遅かったら僕はやられていただろう。今回は運がよかっただけだ。次に同じことが起きないように努めるためには……必要な説教というわけか。


「桐生さん、あなたは狙われているの。それをちゃんと自覚して。今後は軽率な行動は取らないように。外に出る時は誰かに伝えてからにしてちょうだい。わかったかしら?」

「……はい」


 桐生さんの返事を聞いた愛梨彩が嘆息を漏らした。言いたいことは一通り言い終えたらしい。


「今日はもう遅いから寝なさい。お菓子の方は明日私が調達しておくわ。じゃ、おやすみなさい」


 愛梨彩はスタスタと部屋を後にする。リビングに残されたのは桐生さんと僕だけ。


「ごめんね、太刀川くん。太刀川くんは私を守ってくれたのに……巻き添えで説教されて」

「いや、僕は平気だよ。こういう扱いは割と慣れてる方だし」


 隣の彼女は再びうな垂れてしまった。相当説教が堪えたようだ。愛梨彩は自分にも相手にも厳しいところがあるからなぁ……思いやりゆえの厳しさなのだろう。


「愛梨彩はほら、野良の魔女を仕切る立場だからさ。ああいう人を諌める役を買って出ただけだよ。嫌味を言っているわけじゃないんだ」


 今の僕にできることは愛梨彩のフォローをすることだった。相棒の僕にはわかる……桐生さんのためを思って言ったのだと。けどあんなキツい言い方じゃ誤解されてしまうだろうに。


「本当に……そうなのかな。九条さん、私が大事って言うより……渡したくないから責めてるって気する」


 ——「渡したくないから」。


 『桐生さんを教会に渡したくないから』という意味での発言なのだろうが、嫌が応にも別の意味に聞こえてしまう。『僕を渡したくないから』と。


 ——「嫉妬できるようになっただけマシか」。


 思い起こされるのはフィーラの言葉。

 愛梨彩が純粋に今回の件だけを叱っていたのか。はたまた嫉妬が含まれていたのか。正直……愛梨彩の気持ちは僕にはわからない。

 とにかく愛梨彩が嫉妬して僕を渡したくないなんて自惚れは一回棚に置いておく。


「そんなことないよ。本当に難儀な性格だからさ、彼女。誤解しないであげてよ」


 第一、八つ当たりするとしたらきっと僕にだ。どんなに嫉妬していても愛梨彩は桐生さんに当たるような人間じゃない。そんなありのままの姿をぶつけはしないはずだ。

 桐生さんは閉口したままだった。理解してくれた……とは思えないが、伝えたいことは伝えた。


「じゃ、もう寝よっか。早く寝ないとまた愛梨彩にお説教されそうだし」


 立ち上がり、「おやすみ」と言ってリビングを後にしようとする。僕にできることはちゃんとやった。ちゃんとやったけど——去り際に確かに聞こえてしまった。


「太刀川くんは女の子の気持ち、わかってないよ」


 部屋の扉を閉め、自室へと足を進めた。聞こえていたのに、聞こえていないフリをしてしまった。


「わかってない……か」


 重く突き刺さる言葉。じゃあ、僕は誰になんと声をかければよかったのだろうか? 僕の行動は無神経だったのかな。

 その答えを……誰も教えてはくれない。


続きはカクヨム(https://kakuyomu.jp/works/1177354054887291624)の方で先行して掲載されております。

興味のある方は是非そちらでも読んでみてください。

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