そして現実へ・・・
ぐっ・・・・・・夢であった事なのに身体に著しく負荷が現実の方でもかかったようで、凄く身体が重たい。って事は・・・・・・。
足下を見たが、夢の中でのような義足は取り付けていない。それ以前に足がなくなっているわけでもない。そうなると、どうして夢の中では足がなくなっていたんだろうか?夢って現実で起きたことを整理するために行うことな筈なのに、何で現実で起きていないことが起きたんだろうか・・・。
ドンガラガッシャャアアア!!!!!
のわっ!?金属音が重なったような感じだけど何なんだ?というかそのあと音が全然聞こえない。この場所で金属音を出せるところはシラヌイの所だろうが、シラヌイがそんな場所にいるはずがない。寝ている間にその部屋に入れさせて貰ったとかなら考えられるが、自分から音を鳴らすような事をするとは思えないし・・・・・・。
「——————ガハッ!?」
この声シラヌイか?床に落ちてその衝撃出た声としては小さ過ぎる。他に誰かいるのかもしれない。
目の前の柱を曲がってみると、手術室の扉が開いていて、中には倒れた白衣を着た人と床には金属の道具、そして拳銃が落ちていた。イサリビが何かされたからそれにシラヌイは反応して中に入って医者に攻撃したのか・・・?だが、それならシラヌイの悲鳴に似たような声は聞こえない筈だ。不安だな、中に入ったら即座にシラヌイに声を掛けよう。
入口から見える手術台には誰もいない。わざわざ偽の台を設置する必要はないと思うが・・・イサリビも含めてここからでは見えない左右のどちらかにいるのだろうか?
まずは左を見るが誰もいない。消去法でいるのは右側だ。振り向くとそこには、床に力なく倒れ込むイサリビと顔全体を黒いマスクで隠している男に首を絞められているシラヌイがいた。シラヌイたちはテロリストだったから、保護しに来たのか?それなら何故イサリビがあんな状態で放置されているんだ?
多分シラヌイが首を絞められているのは、イサリビの対応に対して腹が立ったからそれに対して批判してなったのかもしれない。
ここは引いた方がいいのか・・・?いいや引いてはいけない。仲間同士で殺しあっているのなら尚更だ。普通なら見殺しにしてでも逃げた方がいいのは確実だ。けど友軍を、仲間を殺そうとしているやつは許せない。
それ以前にシラヌイには日常を見せるといったんだ。それにあの時みたいに周りが遅くなる状態に何とかする事が出来れば、俺でもテロリストたちの土俵の上にギリギリ乗れるはずだ。そうしなければ俺が死ぬ。意識してなかったとは言え向こうからすれば敵に変わりがない。逃してもらえる訳がない。
なんとか隙を見つけれれば・・・。うっ———?小さいが左胸に衝撃が走る。痛みとかはなく、ただただ身体全身に力が入らなくなって、床に伏せてしまった。何が・・・?
「キュウ・・・!ぐっっが」
何かマズイ事でもあったのか?そんなシラヌイが驚くような事でもあったのか?自分の身体を確認したい。けど出来ない。怖くてとかじゃなくて首を、目を動かす事さえ今の俺には出来ない。
ギギギ・・・・・・とシラヌイから音が聞こえる。首を絞められている音なのか?だとしたらかなりマズイ音だ。
力は入らない。でも、それでも。何とか動いてくれ。一度ぐらい友人を救いたい。だから動け・・・!今だけでもいい!
足が震える。自身はないが動かせるのならそれでいい。シラヌイの首絞めが一瞬でも緩めば御の字だ。
「・・・・・・?」
あの状態で立てる訳がないと思ったのか、先程とは違いしっかりとこちらを見ていた。よし、それで充分だ。
こちらの狙いが分かったのかどうかは知らないが、シラヌイもその僅かな隙を見逃さなかった。首を絞めている左腕の肘に目掛けてぶら下がり、その勢いのまま腕を逆方向へと曲げる。
折れなくとも流石に痛みは感じたようで、シラヌイを放してしまった。俺もそこに便乗する為に身体を、足を思いっきり動かす。
細かいことは今の身体では出来なかったが、逆にそれが男を押し倒すことに繋がった。
「シラヌイ!」
「・・・くっ。分かっている!退がれキュウ!」
これが最後だとばかりに俺は腹部に一撃を加えてから横に転がり、その俺の行動が終わる時には男を排除していた。




