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聖者達part 代表さんに質問責め-4

「…………………へ?」

私達転生者が全員開いた口が塞がらなかった。何か聞いてはいけない事を聞いてしまったように思ってしまったからだ。しかし、ガンさんは深刻そうな顔をパッと笑顔に戻していた。


「もう!!皆してそんな暗い顔しなくてもいいじゃん!!正確に言えば、この世界の人間は王族と貴族、大商人とか自称魔王にしか付かない物なの!!私は悪魔で一般市民ですよ~。」


そうガンさんが言うと、それに便乗してユンクさんも話し始めた。

「まぁ、シータ様は元王族、我々騎士団団長も貴族騎士であるために下の名前があります。テンペストだけは問題児ばかりを隔離したために、他の三騎士団と違い先代の団長がテンペストの団長を決めているのです。」

「そんでもって、ガンダレスはなんと他国の元奴隷騎士だったからな。一番の問題児だったぜ………。」

「それでも最年少でこの座に就いたわけです。実力は本物ですよ。腹ただしいですけど。」

「二人と違ってピッチピチの19歳だからね!!まさに天才ってことだよ~。」


座っているアーサーさんとベルさんも、ガンさんの実力を認めているらしい。しかし、意見が一致したことに腹をたてたのか、二人はまた「ふんっ!!」とお互いそっぽを向いていた。


「まぁ奴隷騎士って言ったって当時は人形を使わせてくれなかったからね~。だから私も弱かった!!それに奴隷騎士だから名前も無かったからね…………。当時の団長が私を奴隷から解放したときにこの名前をくれたわけ。もっとも、私以外のメンバーはさらに波瀾万丈な人生を送ってるからね~。」

ガンさんがそう言うとそれに反応してアーサーさんも相槌をうっていた。

「確かにな。赤ん坊の頃ドラゴンに食われ、その後中から竜の体を食いちぎって竜の力を手に入れた奴とか、盗賊団の元族長とか…………ある時力が目覚めて村の宝壊して追放された奴がいたっけな。」



いやいやいや、アーサーさん、奴隷から騎士になって団長になるってそれだけでも波瀾万丈と言うには充分なのにそれよりも上の人がいるんですか?ドラゴン食いちぎる赤ん坊って何者ですか?と思いたくなった。


「ま、そーゆーわけで私には他の皆とは違って下の名前は無いの!!それよりもさ、まだ自己紹介まだの人も一人いるんだからさ。速くしちゃおうよ。」

「そういえばそうだったな……………。速く自己紹介してやれ。」

ユンクさんの合図で、大柄な人がのそのそと立ち上がっていた。彼は寡黙そうな顔立ちで、鍛え上げてきた腕と脚は無駄を無くしているものの、量が多すぎてさして引き締まったようには見えなかったが、かなりの手練れだということは分かる男だった。


「我、ジーブルフリーデ公国商業ギルド隊長、ふとしと申す。商業に興味のある者は、ぜひ、我の所に………と言いたいが、一週間後にフィルアーマへ向かわねばならん。その時はこの国の商業ギルドへ来ると良い…………。」

そう言ってすぐに太さんは城の外に出てしまった。どうやらフィルアーマへ行く準備をするらしい。


「まったく…………太の野郎。本当はフィルアーマが目的じゃなくて墓参りが目的なくせによ。」

「仕方ないでしょう。彼は勇者バルデラが焼け野原にしたのですから。彼の故郷の竜葉王国りゅうはおうこくは周辺の村から魔物を産み出しし国と狂言を発された事を真に受けたバルデラの悪行の一つですからね……。」

「魔族と共存したことの無い者達は魔人族を嫌うからなぁ……。まったく、全ての魔族が人の世界を壊すって事は無いのにね。」



団長の三人が深刻そうに話していた。しかし、私達にはその王国がなぜ魔物を産みだしし国と呼ばれていたのか分からなかったので、ユンクさんに訪ねてみた。すると、ユンクさんは複雑そうな顔をしてから、少し考えた素振りを見せ、話してくれた。


「あぁ、太の故郷は漢方薬を作っていた。グリーフジリスクという竜の鱗から作る漢方薬をな。だから、このドラゴンの養殖をしていたんだ。グリーフジリスクは漢方薬を作る鱗が全て採れればそのまま外に放して卵を作ってもらってからまた帰ってきてもらったり、移動用に竜葉王国に残るグリーフジリスクもいたんだ。この漢方薬の効き目は大変良い物であってな。ジーブルフリーデでもこの漢方薬をよく取り引きしていたんだがな……。」



「そもそも、グリーフジリスクはどのようなドラゴンなのですか?」

副会長がグリーフジリスクについて聞いていた。それに答えたのはベルさんだった。

「グリーフジリスクは翼を含めた全身が葉っぱの鱗で覆われています。それを全て取ってしまわなければバランスや重さの関係で飛べないのです。そのため、人に取って貰っているのです。それを人間は薬として使う………まさに、魔族と人間の助け合いですね。」



「その漢方薬を他国に輸出していた事により生活基準が周りの村よりも高かったのです。それに嫉妬したのでしょう。隣国の国王達はバルデラに口を揃えて竜葉王国は魔物を産み出しし国であり、我々を脅して良い物を手に入れていると伝えたのです。」


すると、シータさんは途端に震え始めた。それは、ユンクさんや他の団長達も同じだった。まるで、目の前でバルデラという人の悪行を見たような…………そんな雰囲気だった。

「太はよく生き残れたかと………それも、グリーフジリスクの卵を一つ持って…………まるで奇跡だったと本人も言っていた。それほど、バルデラは凄まじかったのだ。」



そして、次のガンさんの言葉で私達はバルデラの恐ろしさを知ることになる。かなりの実力者であるはずの彼女から耳に入れたとき、私達もその恐怖が頭の中に流れ込んできた。




「バルデラは、たった一発、たった一発の炎の玉で、私達の国、ジーブルフリーデの国土の四分の一の大きさの7000㎡の中の全ての人間、全てのグリーフジリスク、全ての建築物を真っ平らな焼け野原に変えてしまったんだ。」


よほどショックだったのだろう。その言葉で、転生者の中の誰かが倒れる音がした。

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