モーニング
【天神橋筋商店街】
モーニングを頼もうと語迷子は喫茶店に赴く。
フェンリルはリュックの中でじっとしていてもらおうか。
ホットサンドか、パンケーキか値段が同じで悩んだが、ホットサンドを頼んだ。
隣のテーブルの人がパンケーキを頼んでいた。
届いたパンケーキを見て、うーむ、あちらの方が美味しそうだ。
天満にまで母を探してここまできた。
オスシの頼みで、というかお礼に、天神橋筋商店街の機械がパワーダウンする異変を調べている。
ナハト王の兵士も客として何名か店内にいた。
「京都の柳生がラタトスクス工業の部隊に制圧されたんだって。」
「大阪城は久我幻魔の部隊がもう少しで到達しそうなんだろ、UDAも生駒山を越えたらしい。結構やばいんじゃないか。」
「こちらの戦力は大連を制圧するくらいはあるんだ。それに華山道士連もいるから、すぐには負けないだろうが。」
天満から大阪城は目と鼻の先である。
伊賀から淀川まで支配地域にしていたナハト王の勢力も大分弱ったものだ。
談迷子はあまり興味がないようだ。
昨日調べた調査結果を夢中でマッピングしている。
だから、乱入者にも、夢中になっていたから気づかなかったのだ。
喫茶店に何名かのマスクをした男たち?2名が乱入してきた。
「動くな!ナハト王に粛清を!ナハト王に媚びて金を稼ぐ悪事を許してはならない」
そう言い、拳銃をマスターに向けた。
談迷子は一応、フェンリルをリュックの中で戦闘態勢モードにしている。
自分が介入するにはまだ早い。地域の事情や、ご近所付き合いがどうなのかを知らないと余計に問題を大きくするからだ。
「稼いだ金を出せ!いますぐ。」
マスターは売上が入った電子マネー口座を見せて、乱入者に提示する。
乱入者は頷いて、金を手元の端末に移動した。
弾丸でマスターの足を撃ち抜く。
そのあとは観客に銃を向けた。
そこからの談迷子の反応は非常に早かった。
一人の手に弾丸を撃ち込んで、もう一人には肩に撃ち込んだ。一瞬である。発射音は人間には同時に聞こえるほどである。
無差別に攻撃が始まると感じさせなければ談迷子は何もしなかっただろう。
何もしないリスクが自分が行動し、ミスをするリスクを超えたのだ。
肩に弾丸を受けた男は痛がりながら、談迷子に拳銃を向けるも、拳銃自体を銃撃され、二発三発と拳銃がお手玉のように空を舞う。
追撃で、もう一発弾丸を談迷子は撃ち込むが、その弾丸は宙で燃えるように消えた。
「燃え消えた?」
その男は、少しふらついたようだ。
しかし、立ち直りナイフで談迷子を切付けた。
しかし、久我流に接近戦はどうだろうか。
もはや、技とは言えないゲンコツを頭にお見舞いし、男は頭をテーブルに突っ込む。
失神したかと思うと男は全身から発火しはじめた。
もう一人が、声をかけ、早く店から逃げるように促した。
批判の対象にしていた、ナハト王の兵士たちには目もくれず、彼らは去っていった。
談迷子はうまくモーニングを避けて攻撃していたので、朝食を続ける。
談迷子はマスターに聞いた。
「なんです?あれは」
「地域の半グレだよ、警察がうまく機能していないからああいうのが生まれる。」
「自警団は?」
ラジャや、植田のような自警団の組織が各地にはある。
犯罪がグレーになり、警察が踏み込みにくい領域が増えたから、地域のルールで自治をする形が普通なのである。
「やつら、変な技を持っていてな。自警団も手を出せないようだ。まるで魔法みたいな技を使うんだ。」
談迷子も、魔法使いという言葉は聞いたことがある。
確かに今の火をつける技は、SASの魔法使いの技に似ている。
それも異変といえば、異変かも、後で調査してみようかな。
天満のマスクの二人の強盗たちを談迷子はアーカイブした。
マスターはお礼を言ったが、きっと仲間を連れてここに復讐に来るから、店を閉める、早く帰って欲しい、代金はいらないからと伝えた。
それを聞くと、すでにフェンリルに二人組の後を追わせていたが、マスターの金を取り返すのはやめておくことにした。
フェンリルに戻ってくるように伝えて、喫茶店を出たのだ。
談迷子の調査は続いていく。
天神橋筋商店街は黒門市場まで繋がっているとして、ゆうに2000件は店舗がある。
その中でも、パワーダウンをしているのは北側に限られたので、あと200件程度の調査でいいだろう。
調査を続けると、ややムラがあるが、大阪天満宮を中心に問題が広がっているようだ。
その日の半日は調査を続けた。
その間に多分、先程の半グレの仲間の襲撃が何度かあった。
拳銃ではなく、刃物と素手で襲ってくる。談迷子にすると、そんなやつらは勿論敵ではない。
何度か返り討ちにした。それにしてもしつこく何度も襲ってくる。
昼に中華料理を食べていた時に襲われて、焼飯が吹き飛んだ。流石に温厚で知られる談迷子も限界である。
怒りを抑えながらも、瞬く間に制圧しその場に押さえつける。
仲間をやられた腹いせや、プライドの問題としても、あまりにもしつこすぎるぞ。
一人をふんじばって、事情を聞くことにした。




