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方向音痴の半竜娘は旅がしたい  作者: 揚げパン大陸
第1章 魔物問題を解決しよう
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第51話 一瞬!予想だにしていなかったこと

 山を下りた俺達はクベスの町に戻った。昨日と同じ宿に入り、部屋に入ると俺はベッドにダイブした。

 疲れたなぁ~~……。とりあえず、当初の目的である魔物をなんとかするというのは達成できたのかな。根源であった闇の精霊もいなくなったし…。

 そういや、クレアは闇の魔女じゃなくなったって言ってたな。精霊がいなくなったから、闇の魔法というのも使えなくなったらしい。今まで使えたものが使えなくなるのは、それはそれで寂しい気もするが、本人はそれほど気にしていないようだ。

 寝っ転がったものの…う~ん……落ち着かないな…。

 ――ということで、俺はミストの部屋に向かうことにした。彼女の部屋のドアの前に立ち、コンコンとドアを叩く。


「ミストー。入っていい?」


「いいよ」


 返事がすぐ返ってきた。意外とあっさり承諾が下りたので、早速ドアを開けると―――

 絶賛着替え中だった。ミストはベッドに腰掛けて今まさにブラウスを脱ごうとしていた。


 バタンッ!


 俺は光の速さでドアを閉める。あ、危なかった…。


「びっくりした?」


「したに決まってるだろ!」


 おかしそうに笑うミスト。こっちは寿命が縮まるくらいびっくりしたっていうのに…。仕方ないので外でミストが着替えるのを待つことにする。少しするとミストが声をかけてきた。


「今度こそいいよ」


「ほんとに?」


「ほんと。もう寝間着に着替えたから」


 俺は恐る恐るドアを開けてみる。…と、寝間着姿のミストがおかしそうに見ていた。


「逆に覗きっぽい」


「ひどすぎだろ」


 なんだよ。俺を弄り倒しやがって…。まぁ元気そうだし…いいか。最初ためらったけど、ミストに良いからと言われたので、ベッドに腰掛ける。


「聞きたいことがあってさ…」


 ボソッと話を切りだす俺に、ミストは小首を傾げて顔を向ける。その表情はとても柔らかくて、とてもじゃないが直視できなかった。


「どうして俺の拳銃のこと知ってたんだ?確か見せてなかったはずだけど…」


「さぁ…なんででしょ~…」


 ミストはいじわるそうにはぐらかす。そこは素直に教えてくれよ。……っていうか、ほんとに見せたことないよな?……うん。確かに見せたことない。昨日見た夢でも、ミストに初めて拳銃を見せてたし。……夢?


「質問を変えよう。昨日はどんな夢を見た?」


「変わりすぎ」


 ミストはやや不満げな表情を浮かべる。だったら素直に答えりゃいいのに。


「えっと……、ユウキと2人で氷のいかだで川を上ってたかな…」


「それでそれで…?」


「途中で魔物の鳥に襲われて…、私の魔法でも倒せなくて、その時ユウキが拳銃で撃って倒してくれた」


 ………まじかよ。


「ってことは、俺とおんなじ夢を見たのか!?」


 俺は驚愕する。昨日の真夜中に夢でうなされた後、ミストに夢の内容を話したけど、鳥に襲われて拳銃で撃ったことまでは伝えてない。なのに、彼女が話した内容は、俺の見た夢まんまだ。

 ……え?ちょっと待て……。その夢は一体どこまで(・・・・)見たんだ…?

 だんだんと冷や汗を垂らす俺に、ミストはクスッと笑みを浮かべると、立ち上がって窓辺に移動し、窓越しに外を眺める。

 とりあえず……謎は解けた…とは言い難いけど……もう寝よう。


「邪魔して悪かったな。おやすみ」


 俺は立ち上がって部屋を出ようとした――――その時


「待って」


 突然後ろから声をかけられたかと思ったら――直後、背後から両腕を回され、背中に温もりを感じた。そして……2つの柔らかい感触まで…。


「ミ、ミ、ミストッ…!??」


 気が動転しまくってこの場で失神してしまいそう…。顔は熱いし、手汗は一瞬でびっしょりだ…。彼女は両腕を回して完全に密着していた。

 …そしてあろうことか、彼女は背伸びをし、俺の頬に……!


「おやすみ」


「なぁぁぁ!!」


「しぃーー!静かに!周りに聞こえちゃうでしょ!」


「せめて…ちょっと離れてください…!」


 居たたまれない俺はミストに懇願する。その間もずっとミストの胸が当たり続けている…。

 …と、ようやく彼女は体を離した。


「ごめん…。嫌だった…?」


 一転、ミストが申し訳なさそうに訊いてきたので、俺はすかさず首を横に振る。


「いや全然っ…!ただ…きゅ、急すぎて…」


「ごめん…。思わず体が動いちゃって…」


 ミストも顔を真っ赤にして恥ずかしそうにボソッと言う。あーやばい……天使だ…。


「こ、今度は……俺から…その…うん…!」


 テンパってよくわからない言葉を捨て台詞のように言って、俺はミストの部屋を後にした。そして自分の部屋に戻り、そのままベッドに頭からダイブして眠りについた。


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