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方向音痴の半竜娘は旅がしたい  作者: 揚げパン大陸
第1章 魔物問題を解決しよう
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第48話 対決!水VS闇

 まさかのクレアによる生贄発言。どうやら何から何まで俺達は騙されていたようだ。


「闇の精霊に許されても…私達を騙した代償は大きいから」


 ミストが前に出て、きつくクレアを睨み付ける。ミストは見るからに怒り心頭だ。完全に戦闘態勢に入っている。一方、エリルはまだ状況が呑み込めていないようでオドオドしている。

 一触即発の状態だが、クレアは舐めきった表情で人差し指を向けてきた。


「かかってきなさいってぇ~~」


 宣戦布告を受けたミストは水筒を取り出して蓋を開けた。――次の瞬間


 バシャアアアア!!


 水筒の中に入っていた水が勢いよく飛び出し、クレアに突撃した……が、それは阻止された。

 クレアの前に、オオカミのような動物が飛び出しておとりになったのだ。魔物だ!魔物を呼び寄せたんだ!

 だが、激しい水流を受けて魔物は一発ノックアウト。おとりもいなくなってクレアは丸裸……とはならなかった。


 ガルルルゥゥ…!!


 唸り声が聞こえたので、周りを見回すと…いつの間にか無数の魔物に取り囲まれていた。ようやく目が暗闇に慣れてきて、魔物の姿を確かに視認できる。軽く10体以上はいる…。やばいなこれ…。


「この山登ってる最中、一度も魔物に遭遇しなかったでしょ~?あれ、別にこの山に魔物がいないわけじゃなかったんだよぉ~~。わたしが敢えて遭遇させなかったの。ここに集めるために」


 またしてもクレアのドヤ顔が炸裂する。チラッとミストに目を向けると、彼女は静かに怒りの炎を燃え上がらせていた…。いや、だけど…この数はさすがにあの水筒の水だけじゃきついんじゃないか…?

 …いやいや、なに俺は傍観してるんだ。俺にだって戦う術があるじゃないか。

 俺がそう思って銃を取り出そうとする……と、ミストに止められた。


「まだ。これくらいなら私の魔法でいける。ユウキのはまだ」


 ミストは俺の顔を見てささやく。そう言われて俺は銃を戻したが………、あれ……?俺…まだミストにこの銃を見せてないよな…?


「さぁ、この数の魔物…一斉に襲い掛かったらどう?あ、でも食い殺すまではしないから。だって生贄だもん~~」


 クレアは完全に調子に乗っていた。そして次の瞬間、魔物が唸り声と共に一斉に襲い掛かってきた。


 バシャアアアアア!!!


「なっ!?」


 クレアはもちろん俺も驚愕した。魔物たちの地面から一斉に水が噴きだしたのだ。水は勢いよく噴き上がり、数十体もの魔物を軽々と遠くへ吹っ飛ばしてしまった。


「えっ!?えっ!?まさか全滅っ!?」


 落下していく魔物たちを見て、余裕かましていたクレアが焦りを見せる。それにしても、これだけの水…一体どこから。


「この山には沢がたくさんある。沢が多いってことは湧水が多いってこと。つまり地下水が豊富な証拠。これだけ豊富なら、いくら山頂でも水を集めることは難しくない」


 地の利を生かしたミストの戦術、さすがとしか言いようがない。ミストは山を登っている最中も、辺りをよく観察していたのだ。

 今度こそ…クレアは丸裸だ。こうなれば、圧倒的にこちらが有利だろう。

 噴き出したことで大量に現れた水を、ミストは自在に操りながらクレアに威圧をかける。容赦のないミストの姿に、さすがのクレアも冷や汗を垂らした。


「さ、さすがは…水の魔女っ…!強力な魔法に惚れ惚れしちゃったぁ~!」


 苦し紛れのべた褒め。そんなペラッペラな欺きにミストが騙されるわけもなく、彼女は右手をかざし、クレアに向かって水を噴射する。


 バシャアアア!!


「わああぁぁ!!」


 ものすごい水圧の攻撃に、クレアは数秒と耐えることもできず、呆気なく吹っ飛ばされ、山の下方へと落下していった。


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