第47話 登頂!モルテナの頂
登り始めて6時間…。俺達はようやくモルテナ山の山頂に辿り着いた。
「おぉー!すばらしい眺めです!!」
山頂はさすがに草木も生い茂っておらず、360度の大パノラマが広がっている。東の方角には小さくクベスの街並みも見える。あそこから登って来たんだよな。いやぁすごい達成感。山は下から眺めるのもいいけど、上からも素晴らしいなぁ。
登頂を果たしたことで感動してしまっているが、ここに来たのは別に登頂が目的じゃない。
「遂に戻ってきた…!モルテナ山の山頂…!」
本が開いてクレアが姿を見せると、辺りを見回してそうボソッと言った。ん…?戻ってきた…?
「クレア前にも来たことあるのか?」
俺が尋ねると、クレアは慌てふためく。
「あ、いや…!そうじゃなくて…えーっと…」
妙にソワソワしてる…。怪しいな…。まだなんか隠してるな…。
そう思って、クレアに問い詰めようかと思った―――次の瞬間、辺りが夜のように真っ暗になった。
「えっ…!?暗っ…!」
な、何が起きた…!?今はまだ夕方にもなっていない。この暗さは異常だ。一体何が起きたのか…?
「どうしてここにいる……」
その時、聞き慣れない女性のようなそうでないような声が聞こえてきた。そして、暗くてよく見えないが、俺達の前に……人間ではなく、妖精の姿でもない…丸い顔の部分があって、その下に小さな手足が生えた“それ”が姿を現したのだ。
「や、闇の精霊さまっ!!」
クレアがそう叫んだ。闇の精霊!?えぇ!?闇の精霊ここにいたのぉ!?暗くてよく見えないけど…、これが精霊……。なんとも形容しがたい姿をしている。
クレアは自力でエリルの手から本ごと引き離し、闇の精霊の前に飛び出した。クレアを闇の魔女にし、歯向かった彼女を本に閉じ込めた張本人に接近している…。え…?危険すぎない?
「クレア…。おまえはフローベルの図書館の奥に閉じ込めたはずだ」
「精霊さま!!えっと…その………どうもすみませんでしたぁぁーー!!」
なんと、クレアが闇の精霊に向かって頭を地にこすり付けて土下座したのだ。え…えぇ…!?
「もう歯向かったりしません!だから許してくださいぃー!!わたしも野望に協力しますぅー!!」
クレアの必死の命乞い。ま、まさか……この山に来たかったのは…闇の精霊に謝るため…?復活の儀式は…?土下座?魔物のエネルギーいらなかった?
「ほぅ…。本当にそう思っているのだな?そうなのだな?」
「はい!!もちのろんでございますです!!このクレア金輪際嘘はつきませんっ!!」
なんか熱弁してる…。嘘つかないって今まで散々嘘言ってきたじゃんか…。
「そうか…。そこまで言うのなら…呪いを解いてやろう」
闇の精霊がそう告げると、クレアの体と本が闇に包まれる。…暗くてよく見えないけど。そして、その闇は人の大きさくらいに大きくなり―――
「ふっかぁぁぁつ!!」
クレアを縛っていた本が消え、普通の人間サイズになったクレアの姿があった。容姿こそそこまで変わらないものの、背の高さはエリルより少し小さいくらいだ。呪いから解放されたクレアは、ドヤ顔を俺達に向けている。…暗くてよく見えないけど。
「やっぱり騙してた」
ミストがクレアを睨み付ける。だが、クレアはそれを冷ややかな視線で軽くあしらう。
「騙したぁ?わたしは最初っから復活のためだって言ってたでしょ?」
「でも土下座して復活とは言ってなかったぞ」
シリアスな?場面にもかかわらず俺がツッコミを入れる。そこは触れてほしくないようで、クレアは苦い表情を浮かべる。いやでも触れないわけにはいかない。
「闇の精霊さま!呪いを解いていただいたお礼がしたいです!」
あっ!無視しやがった!なんだよ、解放された途端お調子モードかよ。
すると、クレアはにやけながら俺達を指差して言った。
「こいつらを生贄に差し上げます。ドラゴンハーフに水の魔女、…それにえーっと…よくわからん男A。おいしいですよ~~」
俺の紹介がめちゃくちゃテキトーだったのが腹立たしいが……いやいやそれより…なんかやばげ?




