第21話 特別!魔法使いはレアもの?
ミストの家で一泊し、異世界に来て2日目の朝を迎えた。初日はとてつもなく盛りだくさんの内容だったが、はてさて今日はどうなることやら…。
とりあえず今日はフローベルという町へ移動し、図書館で調べものをする予定。話だけ聞いたらゆったり過ごせそうだが、ここは異世界。フローベルまでの道もどんなものかわからないし、道中どんな生き物が出没するかもわからない。
ただ、俺達には心強い仲間ができた。土地勘のないエリルでは心細かったが、ミストはここら辺の地理にも強そうだから安心だ。…別にエリルを蔑んでいるわけじゃない。
「じゃあお母さん、行ってくるね」
出発を前に、ミストがミランさんに別れの挨拶を言う。その声色はどこかさびしげ。
「行ってらっしゃい。気を付けてね。あなたの魔法で2人を護ってあげて」
「うん」
2人の姿を見て、俺は自分が別れの挨拶もできずにこの世界に来てしまったことを思い出す。父親も母親も大慌てしているかもしれない。行方不明者として捜索されているかもしれない…。……はぁ、気分が重くなる。
「ユウキ?どうかしたんですか?」
「あ…いや、なんでもない」
エリルが俺の様子を窺って来たので、すぐに気分を払拭。出発から気分重くしてたらだめだ。
ミランさんとの別れも済んで、俺達は町を後にした。今度は昨日とはまた違う道を進んでいく。…と言っても、町を抜けたらさっそく鬱蒼とした森に入るだけで景色は何ら変わりない。
景色の見どころはなさそうなので、ミストに話をしてみよう。
「ミスト」
「なに?」
…相変わらずトゲのある返し方だ。…いや、ここで気後れしていては進歩が無い。いちいち気にするのはやめよう。
「この世界では魔法が使える人は結構いるの?」
気になっていたことの1つ。ミストは平然と魔法を使ってるけど、それがこの世界でどれくらいのことなのか基準を知りたかった。
「わからない。ただ、少なくとも町では私しかいない。エリルは出逢ったことある?」
「逢ったことないです。ミストが初めてですよ!」
「そうなんだ。私もドラゴンハーフなんて本でしか見たことなかったけど」
「そうなんですか!?じゃあ私、レアものってことですか!?」
「自惚れるな」
「うぐっ…」
ミストに釘を刺され苦い表情を浮かべるエリル。…なんだよこの2人。もうすっかり仲良さげじゃないか。俺の立場は完全に劣勢だが、ここはめげずに頑張ろう…。
「ミストはどうやって魔女になったんだ?ミランさんは魔女じゃないし、代々受け継がれているわけじゃなさそうだけど」
「確かにそうですね!ミストはどうやって進化を遂げたんですか?」
「超生物みたいな言い方やめて。魔法が使えるようになったのは、水の精霊に認められたから」
また新たなワードが出てきた。水の精霊…?妖精とはまた違うのか…?どういう存在なのかわからないけど、水の精霊に認められると水の魔法が使えるようになるのか。
でも、どうやったら認められるんだ?
「私も認められたいです!」
どうやらエリルも魔法を使ってみたいようだ。彼女の場合、ドラゴンブレスという比類なき強力な技があるけども。
「無理無理。絶対無理」
…と、ミストが手を横に振って軽くあしらった。
「ひどいですー!なんでですかー!」
バカにされたエリルが両手を上げてプンスカ怒る。…にぎやかな旅になりそうだ。




