支払い
「今回は大量ですね♪フンフンフフフン♪」
キノは鼻歌を歌いながら成果を纏めていた。今回は成果が良かった。しかも圧倒的に短時間でこれまでにない成果を上げられたのならば仕方無いだろう。
「どうだ?品物に問題はないか?」
グランは紅茶を啜りながらキノの成果確認を待っていた。グランは朝食を食べた後、キノの家へと来ていた。品物の引き渡しと検品の為だ。」
「バッチリです!この品質にこの量なら完璧です!是非とも定期契約を結ばせて下さい!」
キノはグランの顏に迫って言った。
「お、おう?それは報酬次第だな。」
「それは大丈夫ですよ!最初に契約した通りに・・・」
「払えるのか?332本だぞ?」
「・・・・」
キノは笑顔のままでフリーズしていた。そのままダラダラと顔から汗を垂れ流している。それもそのはず、なんせ最初の契約が半ドンで9,000マルス、採取の出来高払いで一本17,000マルスの契約だ。それが332本だと総額5,644,000マルスになる。
「どうなんだ?ん?ちなみに依頼主が払えない場合はどうなるんだ?ギルドとは別に契約を個人的に交わしたから違約金10,000,000マルスかもしくは人体実験だったっけ?」
「そ、それだけは!あんな事されるくらいならいっそ!」
「今までどんな事してきたんだよ!ってか俺は実験する趣味はない!」
「ぶ、分割払いで何とか・・・」
「年利11パーセントなら呑もう。」
グランは抜かりない。そもそもこの辺はフミの教育の賜物だが。
「ぐっ!無慈悲です!」
「まぁ、今回はこちらもやり過ぎた。だからこの取ったキノコの保存処理と薬品化を頼んでいいか?その手間賃を報酬から相殺してくれ。これでいくらか楽になるだろう。」
「!!是非やらせて下さい!」
キノは目を輝かせて懇願した。
「それでいくらになる?」
「鮮度を考えると薬品化出来るのは6割ほどですかね。後はキノコの保存処理ですね。一般的には乾燥ですが私特性の保存と半々にしますね。他には食用と薬用、他に各種毒とありますがどうしますか?」
「保存食を2割、薬品を6割、各種毒物を残り2割で頼む。」
「わかりました!薬品類は希少な物から優先して作りますね。それで料金の方ですが全部でえーと・・・・・2,168,246マルスになります!」
「結構するんだな。」
「それはそうですよ!薬品化は高くなりますからね!それにこの私、キノ印謹製ですから!」
キノは無い胸を張り自慢げに告げた。
「(相場が分からんな。どうしようか。)」
「(グラン、ちょっと俺に代わってや)」
「(ん?フミか。何とかなるのか?)」
「(任せとき!)」
グランは自信満々のフミに代わる事にした。
「ちなみに期間はどれくらいかかるん?」
「そうですね、大体10日くらいでしょうか?」
「10日ね。ならキノちゃんは10日で210万近くも取るんか。ちょっと高くない?」
「え?で、ですけど・・・」
「材料支給で手間賃のみでソレはなぁ。日当21万はやりすぎちゃうか?」
「機材とか設備も・・・」
「設備言うてもなぁ、実際消耗品やキノちゃんの儲けを考えたら作業費用別で3割って所ちゃうか?」
「うっ・・・」
「そこにとっても優秀なキノちゃんの日当を5万とするで?なら10日で50万やろ?そこに最初の金額の210万の半額を実費として105万そこに利益として3割で約35万、合わせて140万。それに少し色を付けて150万って所でどない?」
「流石にそれは!」
「ちなみにキノちゃんは今回の報酬はどんだけ払えるん?分割するなら月々いくらの予定?」
「どう頑張っても80万が精一杯です・・・足らずの支払いは月々5万マルスでお願いします。」
「なら564万・・・端数は負けとくわ!これにキノちゃんの希望の支払いと相殺額の合計が290ほどやな。足らずが274万やろ?これに月払いの年利11パーセント付けたら・・・ざっと77か月で総額382万ほどになるか。年利が108万やで。それに77回払い払いなんか待てるかい!」
「ううぅ・・・」
キノは泣きそうな顔になっていた。
「そこでや!キノちゃんが150万に負けてくれたらなんと金利6パーセントで手を打とうやないか!!」
「6パーセント!」
「しかも!今なら催促無し!無期限!残りの支払いを全て今後の調合払いでOK!」
「なんですと!」
「まぁ、簡単に言うと負けてくれたら今後この価格でこっちの依頼料を支払いから引いてくれていいって事や。しかも無期限!」
「その条件でお願いしますぅ!」
キノは破顔の笑みで契約書にサインした。
「よっしゃ!これでOKやな!はい、これ契約書や。お互い良い取引が出来て何よりや。」
「えぇ!助かりました!一時はどうなる事かと思いました。」
「かまへんよ!困った時はお互い様やねんから!」
「はい!そうですね!」
キノは問題が片付いた安心からフミと談笑している。それを三人が顔を引きつらせながら見ていた。
「(えげつないわね。)」
「(本当にな!下げた値で今後仕事させる内容だぞ。しかも最初に217万近くをちゃっかり210万っていってるしな。それに無期限って・・・)」
「(うむ、払わなければどんどん金利が膨らむからな。催促がなくては支払わんだろう。依頼払いと言うが今回大量にこさえて次はいつになるやら。)」
簡単に言うとほぼ無期限のタダ働きである。一応、期限がありこちらの報酬からの相殺になる為タダではないが。
「(気づいて毎月払っても結局値引きした分元金が減らないから高くつく。あいつは悪魔か!)」
「(しかもその内容でしっかり契約書交わしてるわよ。おまけに冷静に契約書に目がいかないように世間話して気をそらさせる手の込みよう、鬼ね。)」
「(生き馬の目を抜くとはこの事か。)」
「(あいつの本職は詐欺師じゃないのか?)」
そんな三人の会話を知らずにフミとキノは今だ楽しそうにしていた。そしてその夜、冷静になった少女が契約書を読み返し森の中に少女の叫ぶ声が響いたのは言うまでもないだろう。
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