稽古
ユニーク50突破しました!みなさんありがとうございます!
グランが唱えると噴火と呼ぶに相応しい炎が掌から噴き出した。
「うおっ!」
「なっ!」
「何やコレ!」
三人はしばし驚愕し呆然としたが、アマンが止めに入った。
「ちょっと!ストップ!やめなさい!」
「どうやって止めるんだよ!」
「普段の状態をイメージするのよ!」
止め方がわからないグランは狼狽する。
「やっと止まった。」
どうにかして収まった事に安堵する三人だが。
「これは訓練がいるわね。あんなの頻繁に出されたらたまんないもの。現実世界なら大惨事ね。」
「うむ、流石にこれは、な。」
冷静な重久も冷や汗を浮かべながら同意する。
「俺が魔法を使えるなんて。」
グランは起きた事よりも魔法が使えた事の方が衝撃が大きいらしい。
「ちゃんと練習しいや。流石に今のビビったで。」
「ちょっと魔力量が異常ね。他のトレーノもここまで魔力があるの?」
「どうだろうな。流石にわからないが、ある国では生活道具とかにも魔道具を使うくらい魔道具が浸透している国があるらしい。トレーノはそこで税の代わりに魔力を収めていると聞いたことがある。」
「仮にこの量が普通ならそれも納得ね。なら尚更訓練しなきゃ危なくて大変だわ。」
「そうだな。身体が起きるまでに何とかしたいが無理か?」
「大丈夫でしょ。全快までざっと68日って所かしらね。この世界では1秒を百倍まで引き延ばせるの。」
「そんなにか!改めて思うが滅茶苦茶だな!」
「褒め言葉として受け取っとくわね。だから年数でいうと」
「365日で計算したら18年と半分って所やな。うるう年は勘定してないで。」
泉川がサラッと答えた。
「えっ?」
「いったいどうやったんだ?」
「・・・フミ、お前算術が出来るのか?」
泉川の意外な特技に皆が驚く。
「算術、まぁ計算の事やな。俺らの国やと割とみんな出来るで?俺は計算は特に得意やったからちょっと自信あるけどな。」
「見た目に騙されたわね。一番出来なさそうなのに。」
「うるさいわ!仕事でも毎日使こてたんや!建築屋をなめるなよ!」
アマンの言葉に泉川が反論する。するとグランが真剣な眼差しで泉川に問う。
「フミ、お前は何の仕事をしてたんだ?さっきの映像?に写ってた時の仕事はもしかして・・・」
「あー、あれだけじゃわからんわな。俺の仕事は施工管理。つまり現場監督って言われる仕事や。家や工場、橋や道路とかも作ったりしとる。主に管理やけどな。・・・こっちで言うとやな」
「Builder」
「ん?なんやって?」
「時に天災、時に人災、時に獣災、幾多の災害に怯む事なく何度でも立ち向かう挑戦者。未知なる素材を資材とし、また魔法と技術の融合をもって目指すは不落。そんな奴等を俺たちは敬意を込めてBuilder、建てる者と呼ぶんだ。」
「建てる者、か。かっこいいやんけ!」
「あぁ、俺が憧れている仕事だ!」
「そうなの?よくわからないわ。」
「女にこのロマンがわかるかい!」
「フン!」
アマンは面白く無さそうにそっぽを向く。
「興じている所に悪いが、未知なる素材と言ったか?」
「あぁ、この世には分からない事が沢山ある。それこそダンジョン深部から未開拓の地までだ。そんな所で採取した素材を資材として利用する。モノによっては画期的な用途にもなるだろう。」
「ダンジョンとやらはよくわからぬが、危険な所なのだろう?お前自身で行くのか?」
「そうだ!と言いたいが大半は冒険者に依頼している。中には己で行く強者もいるらしいが、少数だ。」
「なるほど、ならお前が強くなれば良いのだな?」
「ん?そりゃそうだが、生憎俺は戦った事なんてない。せいぜい喧嘩くらいだよ。」
「なら、稽古すればいい。なに、時間はたっぷりとある。しかも都合の良いことに死ににくいらしいからな。」
先ほどまで無口だった重久が急に饒舌になる。
「事のついでに語ろう、俺は我が流派を極め天下に轟かす事を夢見ていた。志半ばで潰えた夢がまた陽の目を見ることが出来そうだ。これほど嬉しい事は無い。お前には俺の全てを叩きこんでやる!」
「え、いやその・・・はぁ、あって困る事じゃないか。それに今は俺たちの身体だからな。」
グランは思うところがある様だが身体を共有すると言った以上、それぞれの夢の為ならば協力する事は厭わない。辛い内容であろうとも、異世界のBuilderと剣士、それに魔法使いから教わる事など本来はあり得ない事だ。このチャンスをモノにするしかないと判断した。
「それじゃ、よろしくな!」
「うむ、俺は夢の為に剣術を!」
「私は元に戻る為に魔法を!」
「俺は新しい人生の為に知識を!」
「そして俺はBuilderの頂へたどり着く為に!」
こうして四人は各々の夢や目標の為にグランへ全てを託すのだった。




