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第12話 酷行

 エアハルトとエルメンヒルトは、上の階層に登る道を見つけるが2匹のベヒモスが立ちはだかる。エアハルトとエルメンヒルトは目で合図して右側のベヒモスを攻撃することにする。

 2匹のベヒモスは空間に魔法陣を無数に作りだし氷の槍を撃ち出し始める。氷の槍は無数に降り注ぎ逃げ場はない。エアハルトにはアンチマジックの効果で影響がない、

 エルメンヒルトは魔力で前面に防御壁を作って氷の槍を防ぐ。2人はベヒモスに高速で迫り、直前で跳躍して、剣で両目を切り裂く。

 視界を奪われたベヒモスは氷の槍を無差別に打ち出し始める。氷の槍は左側のベヒモスも巻き込む。左側のベヒモスは、右側のベヒモスの首に食らいつく。

 右側のベヒモスは口から血を吐き出して倒れる。エアハルトとエルメンヒルトは、仲間割れの隙をついて左側のベヒモスを攻撃する。

 エアハルトはベヒモスの下に潜り込み跳躍すると心臓に剣を突き入れる。エルメンヒルトは倒れたベヒモスの心臓を貫く。

 2匹のベヒモスは動きを止め、地面に吸い込まれるように消えていく。エアハルトが右手を上げるとエルメンヒルトは右手でタッチする。

 2人は坂道を登り、3階層目に入る。

 「エル、やっと3階層だよ。アロイスたちに間に合うかな。」「間に合わなくても魔物が討伐されているから楽になるはずよ。」

 「でも、僕たちは最小限の保存食しか持っていないよ。」「もって2日かしら。」「あとは空腹に耐えないとね。」

エアハルトとエルメンヒルトは食料やポーションの量から考えてもダンジョンを無事に出るにはアロイスたちとの合流が必須だった。

 2人は上の階層に上がると言葉を失う。見えるだけでも20匹はベヒモスがいる。ベヒモスたちはまだエアハルトとエルメンヒルトに気づいていない。

 エアハルトに絶望感が襲って来る。ここまでなのか。あのベヒモスが20匹もいたら助からない。もうどうしようもないのか。

 「エアハルト、どうしょう。このままだと私たち助からないわ。」「・・・・・」

エアハルトはエルメンヒルトを抱きしめる。エルは震えている。僕が諦めたら本当に終わりだ。でも、一度にベヒモスを相手にできない。瞬殺されるだろう。

 どうすればいい。考えろ・・・考えろ・・・あの大きなベヒモスに何ができる。大きい・・・そうだ、ベヒモスは一度に僕たちを襲うことはできない。

 一度に襲って来るのは・・・3、4匹までか・・・・倒す必要はないんだ。あそこを突破できればいい。僕とエルなら何とかなるぞ。

 「エル、聞いてくれ。」「なに?」

 「僕たちは今からあそこを突破する。」「何を言っているの。あの数を相手にするの。」

 「ベヒモスは一度に僕たちを襲うことが出来ないよ。体が大きいから、相手にするのは、多くても3、4匹だよ。」「4匹・・・倒せないわ。」

 「戦う必要はないよ。ベヒモスの中を逃げるんだ。」「倒す必要はないわね。命がけだけど。」

 「いくよ。」「うん。」

エアハルトはエルメンヒルトは俊足を使って全力で走り出す。ベヒモスに近づくがまだベヒモスは気づかない。2人は気配を消して気づかれないようにしていた。

 一番近いベヒモスが2人に気づく。ベヒモスは口から炎を吐くが、エアハルトとエルメンヒルトの方が早い。2人はベヒモスの下を走る。他のベヒモスも異常に気づく。

 ベヒモスは下を走るエアハルトとエルメンヒルトを足で押しつぶそうとする。2人はぎりぎりでかわしながら走る。

 突然、横から足が振られ、2人ははじき飛ばされる。エアハルトとエルメンヒルトはダンジョンの壁に体を打ち付ける。止まっていては殺される。

 エアハルトは強引に立ち上がるとエルを引き起こして走り始める。2人とも全身が痛む。でも立ち止まることは許されない。こらえて俊足を使う。

 ベヒモスたちはエアハルトとエルメンヒルトが素早く走るので得意の魔法が使えずにいる。できるのは近づいてきたら足で攻撃するだけである。

 エアハルトとエルメンヒルトは再びベヒモスの足にはじき飛ばされる。今度はベヒモスの腹に打ち付けられる。そして、地面に落ちる。エアハルトは地面に落ちた瞬間、エルを抱えたまま地面をける。

 エアハルトたちが落ちた所にはベヒモスの足が地面に押し付けられている。エアハルトとエルメンヒルトは走る。目に血が入って視界が赤くなる。2人とも頭を打って出血している。

 2人はもう限界に来ている。それでも足を止めない。ダンジョンで生き残るのは最後まであがく者だけだ。

 もう、攻撃を避ける力も無くした時、ベヒモスたちを抜け、岩の割れ目を見つけて飛び込む。幸運にも割目の中に魔物はいなかった。

 エアハルトとエルメンヒルトは、電池が切れたように倒れ込む。

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