その99
この場で必要なのは....
「 スピード 」
「 テクニック 」
そして「 勇気 」
「でりゃ 」... パンッ...
ジュゥゥゥー、
ふう、今回も上手く返せた。
.....
...
屋台名物の「お好み焼き」である。
ホットプレートなら裏返しは容易だが
今はフライパンを使用中。
数cmのズレが悲劇を呼ぶことに。
悪戦苦闘の中、
「あの、彼らなら失敗することなく
上手くやれますよ。 」
そう諭してくれたのはセムジュ。
彼らとは無論、ガーディアンのことだ
「ああ、うん、そうだね。」
いや、分かってはいたよ。
あくまでこれは見本、そう見本ですよ
ハハハ、....。
送別会の催しに選んだのは
「屋台」
村人含め、去りゆく人達にも
色々な食べ物を提供したかったが、
何分人手が足らないので、
先に「焼き鳥」を昼間に持っていき、
夜は取り巻き達の手も借りて
4、5種類の品を出すことにした。
そのきっかけとなったのが
村で採れた「キャベツ?」
先のほうれん草の時期が終わり、
葉物の主流はこれに。
生でかじってみたが、若干の甘みが
あり、日本産と遜色なさそうだった。
ならばと選んだのが「お好み焼き」だ
(焼きそばも後でするんだけど)
生地の素、ソース、かつぶし等は
会社から仕入れ、あとは水と卵を
あわせ、ザク切りキャベツで完成。
(今回はノーマルの野菜焼き)
手順を確認したあと、ガーディアン
2人は上手くことを進めてくれた。
それ以外に提供したのは
「焼きおにぎり」(冷凍既製品)
「チョコバナナ」
「コーンスープ」(既製品)
「オレンジジュース」(既製品)
いきなり提供しては反発の畏れも
あったので、先ずは村人及びここの
人達の嗜好を調査。
その結果が
酸味の強い物が苦手とのこと。
(腐ったものを口にしたと勘違い)
それ以外の味覚は受け入れる感じ。
その為、お好みソースはどうかと
おばちゃんに試したが、
「酸っぱいが甘さや塩気もあり、
複雑な味じゃな。好みではある 」
とお墨付きを頂いた。
画して屋台計画は進めていったが、
現在、屋台の裏手以外は
歓喜と割り込みの悲鳴が往来し、
阿鼻叫喚の事態に。
「こ、これはマズイ 」
取り巻き達では抑えきれず、
負けてからその場に踞っていた
隊長も動かし、整列させることにした
その後も手を動かし、額に汗し、
「ポカリ」で補給しながらも
怒涛の1時間をやり過ごした。
.......
....
控え室にて扇風機にあたり、
身体の火照りを冷ましていると
「コン、コン 」と鳴らされる。
ガーディアンでなくスール氏であった
ただ、余暇を楽しんだ顔付きではなく
営業時の澄ました顔になっていた。
「先程はお疲れ様です。
屋台の感想は後に述べるにして、
私に何か入り用と伺いました。
察するに商談と思われますが
間違いありませんか? 」
着こなしを崩したまま振り返ることは
せず、身なりを正して向き合った。
「ええ、実は買って頂きたいもの
があります。
ですが物ではないので、頷いて
頂けるかはわかりませんが 」
オレの返しに、スール氏はスッと
眼を細めた。




