閑話3 トーマス・クーリエ子爵
本日は2話と登場人物紹介アップします
俺はトーマス・クーリエ子爵だ。年は21歳になる。
去年王都のアカデミーを卒業して、エレナを嫁にもらい、そして父のゴードンから子爵位を譲り受けたのだ。
嫁のエレナはうちの寄り親であるノイヤー伯爵の娘だ。それも正室の娘だ。
年は俺より2年上だ。アカデミーでも3年間は一緒に在籍していたので、何度か顔は合わした事があった。
一応寄り親であるノイヤー伯爵のパーティーには頼子として参加をさせていただく機会があったからだ。
エレナはとても美しく、そして優しい女性だった。
俺は年上の彼女にひそかに好意を持っていたのだが、高嶺の花として遠くから憧れているだけの存在だった。
当然声を交わしたこともない。
当時からピーターのおかげで我がクーリエ領は比較的豊かな子爵家になってはいたが、それでも伯爵家となどつり合いがとれないと思っていた。
ところがピーターが王家の友人として王族に準じる扱いになり、さらには公爵家のご令嬢のエレーヌ様とご婚約をするという状況になった。
おかげで俺の元にも辺境伯家や、有力な他の伯爵家からも婚約の打診がくるようになってしまったのだ。
父のゴードンは勝手に俺の婚約話を進めることはできないと、ノイヤー伯爵様に相談をしたところ、ノイヤー伯爵様は俺とご自身の娘のエレナとの婚約ではどうかと言ってくださったのだった。
俺はあまりの嬉しさに飛び上がってしまったよ。
話を聞いて、本当に物理的に飛んだのだ。
その様子をエレナは別室からこっそり覗いていたそうだ。
俺がすごく嬉しがってくれたのが、エレナも嬉しかったと言っていた。
あとからエレナから教えてもらったのだが、ピーターがアカデミーに入学してきて、クーリエーヌ贈り物事件を起こした際には、ノイヤー伯爵の腹積もりではエレナの妹のカレンがピーターの婚約者候補になっていたそうだ。
エレナの妹のカレンはピーターと同じ年だったので、ノイヤー伯爵はピーターを押さえようとしていたのだ。
しかしあまりにもピーターの動きが早すぎて間に合わなかったそうだ。
ピーターがエレーヌと婚約してしまった後には、ノイヤー伯爵はターゲットを俺に代えて、エレナを俺のお相手にするという方針になったそうだ。
エレナにはその時点でもう婚約者がいたそうなのだが、かなり年上のハゲオヤジで、さらには側室でいう条件だったらしく、婚約者が俺に変わってくれて、すごく嬉しかったのだそうだ。
アカデミーでのピーターと一緒にダンジョンの探索パーティーをしていた際の活躍なども、人づてに聞いていたみたいで、俺の事をすごい火魔法の使い手だと期待の目で見ていてくれたのだそうだ。
今までピーターには迷惑をかけられることの方が多いと思っていたけれど、エレナと結婚できたのはまさしくピーターのおかげだからな。
エレナとの間に息子が生まれた。
俺は子供の世話係としてナンシーを雇うことにした。
ナンシーにはイレーヌという娘がいて、イレーヌは実はピーターの子供だ。
ピーターからはナンシーとイレーヌの世話を頼むと言われているのだが、ナンシーは絶対にクーリエ家からの支援を受けないと言い張るので、なるべく目の届くところで、実入りの良い仕事を頼むようにしているのだ。
ナンシーはエレーヌ様の側使えもしていたので、クーリエ領の中では貴族家の世話係としては重宝する存在でもあった。
エレナも安心して息子の世話を任せられた。
イレーヌも息子とは従妹同士になるので、保育園で息子の遊び相手をしてくれるのがとても嬉しかった。
小さい頃のナンシーとピーターを見ている感じだ。
クーリエ領の発展に関して、今でもピーターは時々手紙で色々な方法を教えてくれている。
我が家の近くに教会を作ったり、そこに孤児院や、保育園を整備したり、さらには新型蒸留器の開発や、ブドウ畑の肥料の世話まで焼いてくれている。
少し前には太陽光発電機をプレゼントしてくれたので、今や我が家には電灯や、冷蔵庫まであるのだ。
クーリエ領はリガリア王国有数のワインとコニャックの産地として、またスパリゾートとして、人とモノが大きく動くリガリア有数の大都市となりつつある。
ピーターが増産した飛空艇が王都-クーリエ領-アルプ王国-プハラ-クフクラ-フルショアというルートで定期飛行をするようになったからだ。
外国の産物が市場に並び、陸路でもたくさんの商人がクーリエ領にやってくるようになっている。
すでに単純に領からの収入だけではノイヤー伯爵家よりも稼いでいるってエレナは言っていた。
税金の率はリガリア一低いのだが、すでに子爵家の領地とは思えない額だそうだ。
昔クーリエ家は貧乏子爵だったというのが、今では誰にも信じてもらえない。
ピーターって本当にすごい奴だよなあ。
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