閑話4 ジョルジュ・オフマンの恋
あとで登場人物紹介アップいたします
俺はジョルジュ・オフマン。16歳だ。
王立アカデミーの2年目だ。
俺の兄はジョゼフといい、エギル王太子の侍従として、今はフルショア公国の後継者戦争への派遣騎士団で頑張っている。
ジョゼフは超一流の剣士であり、雷魔法の使い手だ。
何度も剣の練習で相手をしてもらっているが、勝つどころか、本気を出してもらえたことすらない。
ジョゼフは俺の憧れの兄だ。
ジョゼフは在学中にエギル王太子とダンジョン探索パーティーを組んでいた。
そのパーティーにピーターが入り、エギル王太子の卒業でトーマスにメンバーチェンジがされた。
そして俺が入学した時にジョゼフの代わりに俺が入れてもらえた。
今年は夏からハンナとマリウスが加わって6人パーティーになっていたが、フルショア公国後継者戦争にピーターとマリーとハンナが行ってしまった。
残ったのは俺とトーマスとニコラだけだ。
ここに代わりとしてエリーゼ王女が加わる事になった。
うちのパーティーは今でも呼び名が王家パーティーだったりするのだ。
エギル王太子から準王族のピーター、そしてエリーゼ王女がいるパーティーだからね。
エリーゼ王女はピーターと婚約している。
ピーターはエリーゼ王女の教育係兼騎士でもあるのだ。
しかしピーターがフルショア公国に行っている間、ピーターに代わって教育係はニコラが、騎士は俺が務める事になったのだ。
エギル王太子の侍従を務めていたジョゼフのように、俺もしっかりとエリーゼ王女の騎士を務めないと。
エリーゼ王女と顔を合わす機会が増え、その悲しそうなお顔を見る時間が多くなった。
婚約者のピーターはマリーと結婚して、フルショアに行ってしまったのだ。
俺から見てもあの二人は相思相愛だ。前世からの縁で結ばれている。
フルショア公国からもう帰ってこないのではないだろうか?
エリーゼ王女も毎日ため息をついて暮らしている。
ピーターが戦死してしまったらと心配でならないのだ。
一月ほどで飛空挺の無線機を通じてフルショア公国後継者戦争の状況が伝えられた。
奇襲が成功して、敵を壊滅し、アデル新大公が即位して、味方の大勝利に終わったって。
久方ぶりにエリーゼ王女の笑顔を見る事ができた。
その後ジョゼフ達騎士団はすぐに帰ってきたが、ピーターはフルショア公国の復興に手を貸すとの事で帰ってこなかった。
エリーゼ王女は再び嘆き悲しんだ。
俺は彼女を何としても慰めたかった。もう一度微笑んで欲しかった。
そんな時心の中で私を抱いてとエリーゼ王女が囁いた。
俺はその声に素直に従った。
エリーゼ王女は俺を拒まなかった。
俺は彼女を女にした。
彼女の目からは止めどもなく涙が溢れた。
俺はその時初めて我に返った。
主人であり、婚約者のいる女性を押し倒すなど、死罪となる罪だと。
それも婚約者のピーターは俺の友人だ。
許されるはずがない。
しかし一度火がついてしまった恋の炎は消す事が出来なかった。
俺たちは人目を忍んで何度も愛し合うようになった。
背徳感がある方が燃えるという説もあるが、俺はその意見に同意する。
エリーゼとの逢瀬は心と身体を燃やし尽くす激しさがある。
もうエリーゼなしの人生なんて考えられない。
俺はいつ死んでも構わない。
エリーゼは俺を知ってから、急速に女らしさが増していった。
ぺったんこのツルンツルン平原が、柔らかな丘に変わり、さらには突き出た山となったのだ。
その成長を俺だけが直に知る事ができたのだ。
たとえ死罪となっても、俺の人生に一片の悔いもない。
そんな日々が一年近くも続いた。
実は無線機でピーターと話をする機会は何度もあったのだ。
その度に打ち明けたいという気持ちと、隠し通さねばという気持ちが戦い続けた。
そしてついにピーターとマリーが帰国した。
エリーゼは俺たちの事を打ち明けると言った。
もちろん俺も同意した。
エリーゼは王女だから、そのままピーターと結婚すれば良い。
俺は一人で死ぬからと。
エリーゼは絶対にそんな事はさせないと俺なんかのために涙を流した。
でもピーターはやはり俺の思った通りの男だった。
あっさりとエリーゼを要らないと国王に宣言して、エリーゼとの婚約を破棄してしまった。
代わりにリガリア王国から絶対に籍を抜かないと宣誓書を提出することになったそうだ。
エリーゼはピーターから一方的に婚約を破棄されて傷モノ扱いとなってしまった。
アカデミーの寮でピーターと同室で過ごしていたからね。
そのおかげもあって家臣への下げ渡しで俺の嫁になる事ができた。
ピーターはエリーゼ王女の心を操る魔法で、唯一落とせなかった男だったそうだ。
ピーターを落とせなかった事で、エリーゼの心に大きな傷ができていて、その隙間をうまく俺が埋める事ができたのが良かったのだろう。
俺はエリーゼにとっての初めての男で、そして最後の男になる事ができた。
伯爵家の次男坊の俺になど、本来なら王女様が降嫁するなど、ありえない話なのである。
裏でエギル王太子やエドガーが動いてくれたそうだ。
フランソワ王妃の若い頃そっくりで、リガリア一の美女と名高いエリーゼ王女が俺の妻になるなんて。
ピーター、この恩は生涯忘れないからな。
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