第6話 焼肉パーティー
今日は俺、トーマス、ジョルジュ、ニコラのいつものパーティーメンバーに、マリウスとハンナを加えた6人でダンジョンに入ってみた。
マリウスとハンナは俺と同じく4回で基礎-中級-上級戦闘訓練を最短クリアしたのであった。
ハンナは剣術の模擬試合でもジョルジュを倒したらしく、すでにアカデミー最強という呼び声が出始めている。
今度ジョゼフと会ったら、ハンナとどっちが強いか、戦わせてやろう。ジョゼフも剣技大好きだしね。
マリウスは光魔法属性で攻撃力は全くないのだけれど、戦闘訓練の後、全員を一気に治癒回復させたみたいで、聖人マリウスと呼ばれ始めている。
「今日は聖人マリウスと最強騎士ハンナを我がパーティーにお招きして、6人でダンジョン探索をしたいと思う。色々と助け合って、やっていきたい。
よろしく頼む」
と俺が声をかけた。
「各自の戦闘パターンの紹介も含めて、今日はダンジョン4階のオークを狩りに行こうと思う。
そして終わったら、オーク肉で焼き肉パーティーだ」
俺の後を受けて、作戦指示担当のニコラが
「オークは弱いので、まずは順番に一対一でそれぞれが得意の形で戦闘して、他は見学するということでいきましょう。
どういう戦い方が好きなのか、各自やってみせてください」
「ほんじゃあ俺からね」
とジョルジュがサクッと風魔法でオーク一匹を縦に切り裂き、一緒に剣で横に切り裂いてステーキ肉風に仕上げてみせた。
「続いては俺で良いかな?」
とトーマスはファイヤーウォールでこんがりとオークの丸焼きを仕上げてみせた。
「ほんじゃあ三番目は俺ね」
と俺は圧縮魔法を薄く使ったスライスでジョルジュよりも薄めの焼肉用スライスと、硬い部位は圧搾で細切れミンチに仕上げてみせた。
「それでは最後はわたくしめが」
とニコラは氷魔法でみんなが倒したオーク肉を氷漬けにして、鮮度の低下を防止した。
「では続いて新入り組で行きます」
ハンナは一瞬姿が見えなくなり、次の瞬間にオークを串刺しにして現れた。
「ハンナのそれってもしかして闇魔法?」
と、ニコラがハンナに尋ねた。
「はい、そうです。闇に溶けて、相手に気取られる事なく動くのが私の戦い方です」
「うわぁ、だから俺が瞬殺された訳か。やられても、どうやってやられたのかが、わからなかったもんな」
ジョルジュは剣術の模擬戦での負けを振り返っていた。
「では最後は私ですが、実は攻撃は全くできないんです。なので」
とマリウスが何かモゴモゴとつぶやいて、しばらくすると
「ぐー」
「ぐぐー」
「キュー」
なんか急にみんなのお腹が音を鳴らした。
慌ててそれぞれが自分のお腹を抑えたが、全員が急に空腹感を覚えている様であった。
「せっかくお肉がいっぱいあるんで、全員の空腹感を高めてみました」
「ひょえー、マリウスって体内に働きかける魔法を使うの?」
「はい、私は光魔法属性で体内に働きかけて、治癒回復をしたり、食欲増進を図ったりするのが得意なんです」
「いやー、凄い力だねえ」
「いえいえ、みなさんの方こそ、凄い実力ですね。
これからご一緒できるのが楽しみです」
「ふむ、これだけの実力者ぞろいであれば、マリウス様に危険が及ぶ事は無かろう。安心して戦える」
「これからゆっくりと連携を確かめていって、慣れてきたら上層階の難敵とかにも少しずつ挑んで行ってみましょうか?」
「賛成!」
「いや、とりあえず、肉を焼こうよ。もう腹が減って、腹が減って」
俺は圧縮膨張魔法で、地面の土をかまどに成形した。
トーマスがオーク肉を火魔法で手早く焼き上げた。
ジョルジュは風魔法で適度に火加減を調整したので、大変良い焼き上がりになった。
ニコラはあらかじめ氷漬けにしてあった焼肉のタレを取り出した。
マリウスとハンナを加えた焼き肉パーティーは大変な盛り上がりであった。
美人のハンナにトーマス、ジョルジュ、ニコラはいきなり争奪戦を始めた感じだった。
俺は何となくハンナからの厳しい視線に気がついていたので、ハンナ争奪戦への参戦は控えた。
マリウスはいつも微笑みを浮かべながら、俺の方を見ている様な気がする。
でも俺には男色の毛はないからね。
まあ確かにマリウスがイケメンなのは認めるが。
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