第一話 死神の鎌
本作品は作者雪風とグーグル社対話型AIGeminiによる共同執筆物です。
進捗は30%程度です、予定では全20話前後を予定していますが、雪風の思いつきで増減します。
雪風は全くの素人で小説の書き方や専門的な学習をしているわけではないのでその作り方もまともではなく、現在すでになぜか最終話はできているのにそこに至る中間の話ができていないなと、非常に特殊な制作体制となっております、思いつきで書いているからです。
作品としてのジャンルは特に意識しておらずオモシロイと思ったネタを手当たり次第ブチ込んでいくスタイルなので、強いて言うならば....
主人公の爆乳傭兵スナイパー を主人公としたミリタリーアクショントンチキ不条理ギャグシリアスほんわか熟年ロマンス痛快ロボットバトル似非スペースオペラ風製作者阿鼻叫喚的発狂LGBTQ対応済ハードSMピカレスクロマン魔女っ娘スペース不審者活劇アラン・スミシーしかいねぇ!感動巨編的熱血大河歴史ロマン変身ヒロイン秘密厳守会員制マニア専門フェチっ娘天国BL架空漫画。
通称ホルゼロ、もしくはNotebookAI、ポッドキャストAI達から贈られた称号「そびえ立つ巨大なウンコのバベルの塔」。
.....となります、これらのキャッチコピーも今後雪風の思いつきで無制限に追加されていきます。
爆乳酪農家狙撃兵ホルスタイン零-zero- 第一話 「死神の鎌」
いつから始まったのか――
何が発端だったのか―
何人死んだのか―
いつまで続くのか―
どうすれば終わりなのか―
もう誰も覚えちゃいない。
この国ではすでに泥沼の内戦が始まってからずいぶん時間が流れている。
最初は政府のやり方に反発する過激派のテロから始まった。
しかしそれを武力制圧する政府のやり方に不満を持つ、多くの国民の世論や支持は決して政府にとって好意的なものではなかった。
「テロは論外だが、政府ももう少し国民のことを考えてほしい、汚職政治家や軍部の腐敗を取り締まってほしい。」
最初はそんな小さな不平不満だった、それが世論だった。
だが政府はこれを許さなかった。
不安な世情を憂えた国民の平和的なデモを、政府は短絡的に武力で鎮圧し始めた。
やがて国民の中にも公然と政府のやり方に反発する者達が現れる。
政府は強権をもってこれらを弾圧し、手あたり次第に政治犯収容所や強制収容所送りにした。
やがてこれらの騒乱は拡大し、小さな火は内乱という巨大な燎原の野火へと拡大していった。
これを好機と見た隣国は、この国の国境周辺に治安維持を口実に戦力を集結させ、虎視眈々と侵攻の機会をうかがっている。
そんな一触即発の国境付近。
大規模な戦闘こそ起きてはいないが、つい二時間ほど前にも国境を踏み越えて侵入してきた小隊規模の戦闘集団との小競り合いが起きたばかりだ。
本格的な侵攻では無い、威力偵察といったところだろう。
「まったく...賞味期限切れ間近の、しかも旧式のレーションとはな。正規軍が聞いて呆れるぜ、食い物ぐらいまとものなの寄越しやがれってんだ...」
一人の兵士が、レーションの袋を丸め潰しながら忌々しそうにつぶやく。
「まったくだ、おまけに俺の手持ちのはもう、あの悪名高いゲロマズのポークビーンズしか残ってねぇよ。次の補給いつだっけ?」
「あのドロを固めたポークビーンズか、そりゃ御愁傷様だな。俺はコロンビア製レーションをあと二つ残してあるんだ...補給は四日後だ、それすらアテになりゃしねぇけどな。」
「俺のポークビーンズ二個と交換しないか? デザートに入ってたチョコレートケーキも三個つけるぜ。」
そんなやり取りをしながら、レーションに入っているインスタントコーヒーを、レトルトパウチを温めるのに使っていた熱湯の残りを利用して淹れる。
「...そういやさ、聞いたか? またあの死神が出たってよ。」
「死神って...噂は聞いてるけど、ただの戦場伝説だろ? バケモノみたいな対物ライフル担いだスナイパーだろ? 3km先から装甲車撃ち抜いただの、対戦車ヘリを4km先から撃墜しただの...さすがにホラ話だろ。」
「...かも知れんが、襲撃された部隊の連中はおびえ切ってるってよ。防弾板も重戦車の装甲すら楯にならねぇって、おまけに普通の対物ライフルじゃ説明がつかねぇような射程距離と貫通力らしいわ。」
タバコをくゆらせながら、コーヒーの入った飯盒に手を伸ばす。
戦場名物飯盒コーヒー、これがうまいのだ。
「自分も聞いています、なんでも...バケモノじみた巨大な狙撃銃を軽々と担いだ女が、一人でそのバケモノ銃を運用しているのだとか...」
すぐそばで二人のやり取りを聞いていた、新兵らしき若い兵が話しに入ってくる。
「...二週間前に配属されてきたばかりのお前も聞いてるのか。まぁ正規軍ならともかく、レジスタンス共なら女の兵士がいても不思議じゃねぇが、女がそんな化け物銃を担いで運用できるわけがねぇ。」
「うちに配備されてるデネル NTW-20 (口径20mm)でさえ並みの狙撃手じゃ手に余る、ベテランスナイパーでなきゃ扱えないシロモノなんだ。 2kmmを超える距離から狙撃できる銃なんぞ、とても女に扱えるわけねぇ、ただの戦場伝説だな。」
空になったコーヒーカップ代わりの飯盒を傍らに置き、ポケットから煙草の箱を取り出す。
だが、中身は飯盒と同じく空だ。
「...あっと...なぁ新兵、すまんがタバコ持ってたら分けて貰えんか? 食後のコーヒーの後の一服は特にうまいんだ。」
「あ、はい、どうぞ。補給物資の支給品に入ってたやつですけど...」
新兵が、白地に赤い丸のロゴマークが入った煙草の箱を差し出す。
「あ...ラッキーストライクか、ありがとうよ。でも、縁起悪いからやっぱ遠慮しとくぜ。」
「なんですか、縁起悪いって?」
「そっか、まだ入ったばかりだと知らないか。それ吸っていると流れ弾に当たる...ラッキーストライク(まぐれ当たり)ッてな...
縁起悪いってんで、ベテランはみんな嫌がるのさ。上官に言えば交換してもらえるはずだぜ、ほれ。」
そう言いつつ、自分のタバコを一本隣の兵士に差し出す。
「お、ありがとよ戦友。 そんな縁起悪い銘柄吸ってたら、お前も死神に狙われちまうかもよ?」
タバコを受け取りながら、先輩兵士達が笑いながらそう返す。
「ま、所詮ただの伝説だろうがな。仮に実在したとしても、ここの戦線にゃ関係ねぇさ、どこの基地の話しか知らねぇけどよ...」
「さて、そろそろ歩哨交代の時間だな、行くか...」
三人は傍らの自動小銃を手に取り、立ち上がった。
◆◆
泥沼の内戦が続く某国、政府軍の駐留基地に新たな指揮官が着任してくる。
新任士官ガルフマン中佐は、辺りの景色を見渡しながら車両から降りる。
「ここだな、前線の中でも最も損耗率の激しい墓場と呼ばれる第13基地か…
やれやれ、私も運がないな、今日からは巨大な棺桶がベッドとはな…」
ゴォォォォォォォンッッ!!!
次の瞬間轟く異質な轟音。
軍人の本能として、反射的に手近な遮蔽物の影に飛び込み、振り返ったガルフマンは呟く。
「今のは銃声…いや、砲撃音か?」
すぐさま真っ青な顔の兵士が、周囲を警戒しつつ走ってくる。
「本日着任予定だったガルフマン中佐殿でありますか? 自分はニルス曹長であります! 敬礼も無しで失礼します! 先ほどの音は中佐殿も聞かれたと思いますが、狙撃であります! 危険ですので、まずはコチラに移動を!」
「狙撃…? あの音がかね? まぁしかし即時避難せよというのはいい判断だ、ニルス曹長。」
「だが心配は無用だ。ここは見ての通り重戦車の陰になっている、ひとまず安全だよ。このまま現状について、説明してくれたまえ。」
ガルフマン中佐は、重戦車の影で中腰姿勢のまま走り寄ってきた兵士に告げる。
だがニルスは表情をこわばらせたまま、早口でまくし立てる。
「いえ、中佐殿! この基地においては重戦車と言えど、鉄壁の遮蔽物にはなり得ません! 早くこちらへ!」
「心配性だな君は、だが結構、戦場では臆病なぐらい慎重になるべきだ。ただ、あまり慎重になりすぎるのも良くない、報告したまえ。」
だがニルスは譲らない。
「お願いですからこちらに避難を! 失礼ながら中佐殿はこの基地がなぜ墓場と呼ばれるのか、まだご存じないのです!」
戸惑うガルフマンの腕を取り、ニルスは半ば強引に基地内に引き釣りこむ。
「ふぅ…ここならばとりあえずは大丈夫です中佐殿。」
「ここは空爆に備えたシェルター区画、ここならトマホークの直撃にも耐えうる設計ですので、あの『鎌』であろうと流石に撃ち抜かれることはありません。」
(『鎌』…?しかし大げさな男だ、狙撃程度で…)
内心そう呟きながら、ガルフマン中佐はニルスに先ほどの轟音と現在の基地の置かれている状況についての報告と説明をうながす。
思い出したようにニルス曹長は姿勢を正し、報告を始める。
「はっ、現在我が基地は狙撃による攻撃にさらされております! 基地の近くに狙撃兵が潜んでいると思われます…」
「先程のあの発砲音で、格納庫で雑談をしていたミックとマークがやられました…マークにはポーカーの貸しがまだ4ドルあったのに…」
「チクショウ! いい奴だったのに! …チクショウ!」
と涙を流す。
「そうか…戦友だったのかね? 心中察するよ。だが私も君も軍人だ、すぐに現状を確認したい、狙撃現場に案内してくれたまえ。着任の挨拶はその後だな。」
再びニルスの顔が青ざめる。
「いけません中佐殿! まだどこから『鎌』が飛んでくるのか分かりません! 危険です、せめて周囲の安全が確認できるまでは、このまま安全な場所に…」
諦めたガルフマンは兵士達が慌てて駆け出していく方角をちらりと見て、自分もその方向へと歩き出す。
「格納庫と言っていたな…」
慌てて後を追ってくるニルス曹長。
「駄目です中佐殿! いけません!」
追いすがるニルスの手を、少し乱暴気味にガルフマンは払う、
「いい加減にしたまえ曹長、これ以上は命令違反と上官侮辱罪にあたるぞ!」
振り向きもせずそう言い放つと、ガルフマンは格納庫へと続く扉を開ける。
そこにはすでに多くの兵士が集まっていた、当然だ、攻撃を受けているのだから。
負傷兵の搬送手当、狙撃現場の検証、場合によってはこの後すぐに狙撃兵を追撃せねばならない。
だがそこにいた兵士達は、ある一点を見たまま格納庫内部には一定距離以上は決して足を踏み入れようとはしない。
「何をしている? 現場検証と負傷兵の処置はどうした?」
ガルフマンの大声に、兵達は弾かれたように振り向く。
だが、誰も動こうとはしない。
追いついてきたニルスが、ガルフマンの隣で呟く。
「ここは死角になっていますからまだ安全ですが、格納庫の中にこれ以上進めば狙撃されます、誰も踏み入れないのです。あれをご覧ください。」
ニルスが指をさすその先には、異様な遺体が転がっていた。
一体は上半身と下半身が真っ二つにちぎれ飛び、もう一体は…いや、それはかつて人だった、原型を留めていない肉塊にしか見えない、赤黒い『なにか』でしかない。
狙撃で2名がやられた、との情報を聞かされてなければ、ガルフマンもそれが2人目の犠牲者の残骸だとはすぐには気づかなかったかも知れない。
「狙撃…と言わなかったかね、ニルス曹長?
君は判断力に優れた優秀な兵士だが、報告は正確にするべきだ。」
「これは狙撃などではない、明らかに対戦車砲クラスによる砲撃だ。」
ニルスは黙って、格納庫の入り口付近を指さす。
そこには通常の狙撃などでは起こり得ないほどの、巨大な穴が一つ空いている。
しばらくそれを見た後、ガルフマンはフン、と鼻を鳴らす。
「見たまえ、おそらくあれが狙撃で撃ち抜かれた跡だろう。」
「開口部は一箇所、犠牲者は二人…つまり、この二人は一発の砲弾で運悪くまとめて撃ち抜かれた、というわけか…」
「だがしかし、砲撃だとするとどこにも爆発の痕跡がないのは確かにおかしい…榴弾ではなく徹甲弾…?」
「空襲に備え、機銃対策に貼られた格納庫の防弾板を撃ち抜くために、徹甲弾を使った…?」
そう呟きながら格納庫に足を踏み入れ、二人の遺体に近づこうとするガルフマンをニルスの声が追いかける。
「駄目です中佐殿! 物影から出ては…!」
その声を無視して遺体のそばにしゃがみ込むガルフマン。
飛び出してきたニルスの手がその肩をつかむ。
「早く! 影へ!」
「貴様! いい加減にしろ! これ以上は明らかな越権行為だぞ! 上官侮辱罪で軍法会議に…」
だがその声は、最後まで発せられることは無かった。
その直後、またあの獣声じみた異様な『音』がその言葉をかき消したからだ。
瞬後、エリオット・ガルフマン中佐は憂鬱な棺桶への着任わずか1時間足らずでその生涯を終えバラバラの肉塊となり、先客であるミックとマークと『混ざり合って』バラ撒かれた。
格納庫入口から固唾を飲んで事態を見守っていた兵士達が叫ぶ。
「ニルス! こっちだ! 早く逃げろ! 殺られる!」
だが眼の前で着任まもない上官が肉片へと変わるシーンを不運にも目撃したニルス曹長は、その際の凄まじい衝撃波の影響もあり、1m程吹き飛ばされ、その場にヘナヘナと尻もちをついていた。
頭がクラクラする…
入口から叫ぶ戦友達の声が、グワングワンと二日酔いの頭のように響く。
なにを言ってるんだみんな…?
よく聞こえない…
あぁ、そんな大声で喚くと聞こえないよ…
鎌…?
鎌って言ってるのか?
そのキーワードが、ニルス曹長の意識を急速に覚醒させていく。
弾かれるように立ち上がろうとするが…
足に力が入らない。
なぜか自然と彼の視線は、格納庫へと機体を搬出入するための、広く開け放たれた格納庫の入口を捉える。
搬出入口からは遥か2km以上離れた高台が見える。
トンビがのんびりと高台の上を旋回しているのが見える。
視える…?
そう、『視える』のだ。
彼の姿は搬出入口から、すなわち外部からも『視えて』いるのだ。
空襲による機銃掃射に耐えうる防弾板が貼り付けられた格納庫の防弾壁と言えど、やつはものともせずブチ抜いてくる。
『鎌』への盾にはなりえず、防いではくれない。
だが『隠しては』くれる。
いや…正確には『隠してくれていた』、今までは…だ。
そのことに気づいた瞬間、ニルスの歯がカチカチと音を立てる。
「ニルス!! 逃げろぉぉぉ!」
「鎌だ! 鎌が来るぞ!」
「早く逃げろ!」
仲間達の言葉がようやく、はっきりと彼の鼓膜で実像を結ぶ。
「鎌…奴だ…死神の鎌だ…!」
思い通りに力がはいらない足を奮い立たせる。
半ば這いずるように、格納庫に繋がる仲間達の待つ入口に向かおうと立ち上がった瞬間…
会ったばかりの上官の身を案じ、自身の身の危険も顧みず助けようとした勇敢なニルス曹長は、その勇敢さに比例するような壮絶な最期を…
すなわち肉片となり、最後まで守ろうとした上官の隣で死神の鎌に襲われ爆散。
彼らと混ざり合った....。
◆◆
基地から2.6km離れた高台の上。
特徴的な伏せ射撃姿勢を取り、スコープを覗き込んでいる人物がいる。
巨大な砲身がすさまじいリコイル(後退)から元の位置へと戻ると同時に、零は力強くボルトハンドルを引き起こし、後方へと思い切り引いた。
ジャゴッッ!!
と、金属同士が噛み合う重い作動音が、周囲の静寂を切り裂く。
次の瞬間、機関部から勢いよく弾き出されたのは、銃弾の薬莢という表現すら生ぬるい、小型の迫撃砲弾を思わせる代物だった。
金属製の巨大な空薬莢が、排莢口から回転しながら勢いよく飛び出す。
雑草をなぎ倒しながら、むき出しの土の上へとゴロリと転がり落ちる。
そのサイズは、一般的なアサルトライフルのマガジンすら優に凌駕している。
大人の肘から手首までほどの長さと、缶コーヒーのショート缶よりもさらに太い直径、常軌を逸したサイズだ。
真鍮特有の鈍い輝きを放つその超重量級の空薬莢は、熱を持った白煙をかすかに立ち上らせながら、大地に深く沈み込む。
それはこの武器が小銃の延長などではなく、砲と同等の破壊力を文字通り「個人の肉体」で運用しているという、狂気の証拠に他ならなかった。
「ラッキーストライクね…三体目に仕留めたやつは、階級章や周りの兵達の反応からして指揮官クラス…敵の戦力を少しでも削っておくだけのつもりだったんだけど、今日はツイてる…」
そう呟きながら巨大な銃身…いや、それはもはや『砲身』と呼ぶべき凄まじい口径を持つシロモノだった。
…砲身をなめらかに動かして、スコープ越しに次に巨大蛇の毒牙を叩き込むターゲット、動き出した重戦車を捉える。
「悪いわね、あたしの得物は巡洋艦クラスの装甲をブチ抜くために設計されてるんで…ね!!」
そう呟くスナイパーの殺気が、ターゲットに向けて収斂していく。
切れ長の目が弓の弦のように細く絞られる。
その巨大な砲身を、負けず劣らず巨大なそのスナイパーの胸がガッチリとホールドし固定する。
(正面装甲は流石に無理...だけどお誂え向きにわざわざ旋回してくれている今なら....)
照準はエンジンデッキのグリル(吸気・排気口) だ。
高台からの撃ち下ろしとはいえ、貫入角度はそれほど深く取れるわけではない。
構造的にどうしても弱くなるエンジンデッキのグリルや、各種光学センサー(ペリスコープなど )を狙わねば、確実な貫徹は期待できない。
使用弾種――
徹甲榴弾。
コクッ…!
トリガーが引かれる。
瞬間――世界が一度、静まり返った。
ライフルにあるまじき、まるで巨獣の咆哮のような異様な獣声が、空間を引き裂き、大気が爆ぜる。
音速を置き去りにした衝撃波が周囲の草木を薙ぎ払い、発射地点からターゲットに至るまでの空間そのものが、圧倒的な熱量と気圧の変動によって歪んで見える。
敵軍をして畏怖の念を込め「死神の鎌」と呼ばしめたその一撃が――
目にも留まらぬ超軌道を描き、射線上の空間を引き裂き、放たれる。
着弾の瞬間、戦場の常識は無視された。
巨大蛇の毒牙は、超信地旋回中で身構えていた重戦車の天板装甲をバターのようにやすやすと貫徹。
内部で発生した凄まじい高圧ガスと、遅延信管により貫徹後内部で爆発した徹甲榴弾による二次爆発によって、内部に搭載された燃料弾薬が誘爆。
重厚な砲塔をその爆圧によって、内部から丸ごと上空へと吹き飛ばした。
沈黙した重戦車の奥上空。
建物の向こう側から、一機の対戦車攻撃ヘリが必死に緊急離陸していく姿が見える。
攻撃ヘリ内部は完全に殺気立った兵士達の怒号が飛び交っている。
「探せ! 死神を探すんだ! クソ野郎が!ニルスもミックも死んだ! 着任したばかりの中佐殿もだ! 見つけ出して吹き飛ばしてやる!」
「おいよせ! せっかく離陸出来たんだ! この基地はもうダメだ! このまま逃げるんだ、近くに別の基地がある。そこまで逃げてから、そこの基地の奴らと戦力を整えて迎え撃とうぜ!」
「馬鹿野郎! ありゃ間違いなく鎌だ! 死神の鎌だ! バケモノみたいな大口径砲で、重戦車の装甲でも段ボールみたいに撃ち抜きやがる! 射程距離も威力も対物ライフルの比じゃねぇ!」
「噂じゃ4km近く離れた距離から叩き落とされた航空機もあるって話しだ。足の遅いヘリじゃ有効射程外に逃げ切る前に確実に殺られる! 殺られる前に殺るんだ!」
「し、しかしよぉ…見つけ出すったって…どこ探すんだよ!?」
「あれだけの大口径砲だ…身軽に移動できるとは思えねぇ、設置するにしても撤収するにしても6-7分はかかるはずだ。」
「おそらく付近の高台かどこかの地面に備え付けて仮設置してあるはず...もしすでに撤収していればそれで良し、俺達は助かる。」
「だがまだ撤収してなかったら…俺達も鎌の餌食だ! だからその前に殺るんだ! 見つけ出してな!」
パイロットに格納庫の入り口を狙える位置にある高台を指差し、血走った目を向ける。
兵士の言うことはある意味正しく、戦場における兵器運用の常識的な判断であった。
大口径砲はかさばり、大口径砲故の反動に対抗するため地面に簡易アンカーなどで固定して運用することが多いからだ。
さもなくば、発射時の反動でひっくり返ってしまう。
そしてヒットしたら狙撃地点を推測されて敵に反撃される前に、その場から移動し狙撃地点を変更。
もしくは即時撤収がスナイパーの常識である、だが…
「それが、スナイパーが生き残るための処世術…だけどね。」
彼らが敵に回した鎌を持つ死神は、獲物の命を狩り尽くすまでその貪欲な鎌を収める気はなかった。
「あたしは舌切り雀の婆さんより欲深くってね。迷うことなくデカい方の葛籠を選んじゃう欲張りさんなのよ。」
語尾にハートマークがついていそうな軽い口調で、新たな狙撃ポイントで巨大な得物を構える人影。
射撃姿勢にはいるスナイパーの背後のジャングルから、二人の男がそばに寄ってくる。
狙撃時、スコープを覗き込む狙撃手は極度の集中力を発揮するが故に、往々にして周囲に迫る危険に対し警戒がおろそかになる。
そのために周囲警戒し、狙撃手をバックアップしていた同じ組織に所属する偵察兵達だった。
射手の背後に立ち、油断なく周囲に警戒の視線を這わせつつ、その集中力の邪魔にならないよう小声で話す2人。
「お前は零の狙撃任務に付き合うのは初めてだろ、で? どうだあのミルクタンクデスサイスを初めて見たご感想は?」
「ご感想ねぇ…で、聞きたいのはどっちの『ミルクタンク』の感想だい?」
もう一人の偵察兵が、周囲に警戒の視線を這わせつつ答える。
「ハハッ…まぁ確かにどっちも規格外のびっくりサイズなのは違いねぇな...だが実際見たらすげぇぞぉ、なんせあの死神の鎌は一発で確実に2人は仕留める。」
「そりゃまぁそうだろうさ、なんせあの口径だ、どう考えても本来人間相手には使っちゃいけねぇ口径だ。射線上に同時に2人捉えりゃ、人体2つ分ぐらいはそりゃ軽く…」
とタバコを口に咥える。
「いや、そう言う意味じゃねぇよ。」
「あ? じゃどういう意味だよ…クソっ…火が付かねぇ、ガスが切れたか?」
カチカチと何度もライターを鳴らす男。
「一人目は無論撃たれた奴だが…」
「…?」
怪訝そうな表情、ライターの火はまだつかない。
「二人目は撃った狙撃手自身…さ。」
「米軍のテストの時ゃ、アレぶっ放した瞬間狙撃手がミンチになっちまったってよ、反動でな。」
偵察兵の口元から、まだ火のついてないタバコがボロリと落ちる…。
「お…おいなんの冗談だそりゃ? なら、なんであの女は平気なんだよ!?」
「MTバイポッド(銃架)さ。」
ポケットから自分のライターを取り出し、放り投げて渡す。
「エムティー…バイポッド? 聞いたことねぇな、あのバケモノ砲の砲身についてるのは普通のバイポッドにしか見えねぇが...新開発のショックアブソーバーか何かか?」
「ミルクタンクバイポッド…零はあの爆乳でバケモノの砲身をガッチリと固定する。」
「固定するだけじゃねぇ。ストックを通じてその殺人的な反動を、あの爆乳で受け止め拡散吸収しちまうのさ…零があの死神の鎌を運用できる、地上で唯一の狙撃手である理由さ。」
微妙な空気が二人の偵察兵の間に流れる。
「………マジ?」
「マジっす、ガチっす。」
「…………」
「まぁまぁ、百聞は一見にしかず。零の奴、そろそろ次の獲物に狙いを定めたみたいだぜ…オイ、そこは危ねぇ、ちょっと場所を移動しろ。」
「移動って、どこに?」
「その位置だと発砲の際のバックブラストで俺達もタダじゃすまん、零の左手斜め後方に位置するんだ。」
「零と組む時の鉄則だ、覚えとけ。今後もあのミルクタンクの活躍を拝みたいんならな。」
「ふん、どっちのミルクタンクの事言ってんだか…」
「両方…さ。」
軽口を叩き合いながら安全な位置に2人が位置したことを気配で確認する零、スコープはのぞき込んだままだ。
(…ヘリが上がってきた…戦車や装甲車ならお得意様だけど、ヘリは不味い…ヨルムンガンドの最大仰角外に上がられる前に早目にご退場頂かないとね…)
呟く零の目に殺意が満ちる。
スコープの向こうに捉えた対戦車攻撃ヘリの機首下部に搭載された20mmチェーンガンが、パイロットの視線と同調してせわしなく上下左右に動いているのが見える。
(妙に低空を飛んでるわね...なるほど、足の遅いヘリではこちらの射程外まで逃げ切れないと踏んで、先にこちらを発見して先手を取る方に賭けたか...だけど...)
使用弾種――
貴重な徹甲榴弾が、薬室内で撃発の瞬間を待つ。
コクッ...
トリガーを引き落とす乾いた音とともに...
似つかわしくないホルスタイン柄に塗装された巨大蛇、ヨルムンガンドが咆哮を上げる。
砲撃と同時に、零の豊かな胸にヨルムンガンドのストックが沈み込む。
「ぬ…くぅっ…!」
零の爆乳をもってしても完全には殺し切れない巨大蛇の獰猛なうねりが、零の上半身を地面からえび反りに軽く浮き上がらせる。
同時に零の周りに円状のバックブラストが発生し、付近の雑草や小石が舞い上がり、後方へと跳ね飛ばす。
零の豊かな二つの胸が、衝撃を吸収し拡散するために、八の字の螺旋運動を描いて激しく揺れる。
ゴッッッッ!!!
横っ腹を見せていたヘリの機体に、空間ごとえぐり取られたかのような巨大な破孔が穿たれる。
轟音とともに爆散するヘリ。
ドッ...
海老反り、半ば浮き上がっていた零の上半身が再び大地に戻ってくる。
「...あちっ...!!」
バシュウウウゥゥンッ!!
零の口から熱い吐息が吐き出されると同時に、ヨルムンガンドの機関部からもスチームパージピストン構造により蒸気が噴き上がる。
傍らの偵察兵2人が声を上げる。
「うっひょー!! いつもながら、良い眺めぇ!!」
「す…すげぇ…叩き落とすどころか…跡形もなく粉砕しやがった…!?」
同時に驚嘆の声を上げつつも、男達の視線は別々の場所を見ていた。
1人は哀れなヘリが消滅した、煙だけが漂う空を。
もう1人は…
「なるほど、ゼロに出撃命令が出た時、あんたがやたら『はい! はい! ボクがバディを務めまーす!』とかノリよく手ぇ上げまくってたワケ...結局立候補者だらけでくじ引きになった理由がわかったよ…」
「はっはっはっ、良いじゃねーか、分かるだろ同じ男同士? くじ引きに参加しなかったお前を、バディ教育の一環と称して連れてきてやったんだ、感謝しろよぉ?」
と鼻の下が伸び切った表情で肩を叩く。
「よっ…と、さすがにこれ以上の欲張りは命取り、潮時ってやつ…さぁズラかりましょ二人とも!」
巨大蛇、ヨルムンガンドを肩に担ぎつつ、零が後方の二人に声をかける。
「あいよ、この先に足を手配してある。現地の協力者とその車だから、怪しまれることは無いだろうさ。」
「さすがに手際がいいわねザック、おかげで狙撃に集中できて助かってる。いつもバディ役済まないわね。」
ヨルムンガンドを分厚い革製の専用背部ラックベルトの金具で固定しつつ、歩き出す零。
「なぁに、ミルクタンクの活躍を拝めるんならお安い御用だ。今度俺にも触らせてくれよ。」
と手をワキワキさせる。
「やめときなさいって、あんたの大胸筋程度じゃこの暴れ馬は無理よ。鎖骨折ってしばらくベッドの上がオチだから。」
「そんなことねぇって! こう見えてミルクタンクの扱いにゃ自信あるんだぜ? にしても暴れ馬かぁ、さっきもスゲー暴れてたもんな、色々と...なんならベッドの上は、今からでも…」
微妙に噛み合わない会話を続けながら、ジャングルの中を進む二人の少し後ろをついていくもう一人の偵察兵。
「…次の狙撃任務の時は、俺も立候補しようかなぁ…」
新人偵察兵ルークは小さな声でそう呟きながら、二人の後を追いジャングルに消えていくのだった。
爆乳酪農家狙撃兵ホルスタイン零
第一話 死神の鎌
終わり




