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ウォーヘッド  作者: グレゴリー
92/114

座薬

部屋の中に入ってきたのは、


魔法使いマリアンヌ、

弓騎士カールソン、

踊り子マリア、

俳優ハーディスの


4人のウォーヘッドと

クローディス大公だった。


残りの者たちは使徒ダニエルとの

戦いで負傷し、吟遊詩人ジョルジュの

癒しのソングで治癒している


人間たちが、ヴァンパイア.ロードの

第一人者の前に立ちはだかる



「ほう、使徒ダニエルを倒すとはな!

 まあ、所詮はにわか造りの出来損ないよ。

 しかし、すぐにハイエルフの評議会と

 大都市の行政府が新しい使徒を送り込んで

 くるだろう。

 それに、どの道、人間が吾輩に反抗すること

 なぞ出来ぬのだ」



ヴァンパイア.ロードは人心操作魔法を発動した


ふいに、人間たちは成すすべもなく

その場を動けなくなってしまった。


しかし、グランヘルム王が言った



「私は、銀の鎧を纏っているから

 あなたの精神支配は効かない」



ヴァンパイア.ロードは片腕を突き出した。

ちなみに、銀でヴァンパイアの力に

抵抗できるというのは全くの迷信だった


グランヘルム王の纏った銀の甲冑が

身体から剥がされ、バラバラと地面に落ち、

首にぶら下げたニンニクの束も飛んで行った


しかし、ヴァンパイア.ロードは驚愕して言った



「馬鹿な、吾輩の精神支配が利かぬだと!

 人間の王よ、一体、何を致したのだ?」



グランヘルム王は答えなかったが

思い当たる節はあった



(宝物庫にあった献上品の中に

 ハイエルフの甘草飴があって、

 つい、景気付けに一粒ついばんだんだが...

 まさか、それが余に精神支配への

 対抗力を与えておるのか?)



その甘草飴は、地上界のハイエルフの重鎮たる

シャーマンのミトが祈りを込めて作った

特製のもので、大昔にクローディス大公家から

王家に献上されたものだった。

魔法抵抗力が飛躍的に向上するという効果がある



「むむう、ハイエルフ評議会との取り決めで

 貴様らを吸血して、眷属にすることは

 禁止されておる。

 あくまでも、人間の王の同意をとらなければ

 ならぬのだ。

 仕方あるまい、やりたくはなかったが

 この手を使うしかない」



ヴァンパイア.ロードの第一人者は、

天蓋付きのベッドの横の机の上の小瓶に入った

安眠薬を一粒取り出した


物質造形魔法によって、

その薬はみるみると変質していく



「吾輩が作ったこの座薬を、直接、

 そなたの体内に注入する」



そして、座薬を持ったままズカズカと進み出た。


暗闇から現れた彼は、初めて、

人間たちにその姿をはっきりと晒した


長身でがっしりとした体つき、

濃紺のトゲトゲしい趣味の悪いマントを羽織っている


髪は、ヴァンパイア.ロードとしては珍しく

明るい色で、それをオールバックにして

肩の辺りまでまっすぐに伸ばしている。

その顔は、力強く、そして美しかった


クローディス大公が動けないながらも言った



「グランヘルム王よ、ヴァンパイア.ロードの正体は、

 邪神の呪いによって吸血鬼と化した神人なのです。

 本来は、人間を守護するために

 光の神々によって遣わされながら、

 呪いによって、人間の捕食者となってしまった

 悲しき種族よ!

 なんと神々しい姿であろうか」



グランヘルム王は身構えた


ヴァンパイア.ロードの第一人者は、

ズイズイと王に迫ってくる。

そして、その手に座薬をつまんで掲げて

笑ってみせた



「この座薬を、そなたの体内に挿入しよう。

 吾輩の人心操作魔法を注入したこの座薬は、

 体内から直接効果を発揮する。

 どのような防護策を取っていようが、

 それを打ち消すほど強力であろう


 もはや、そなたは我が意のままに動き、

 二度と反抗しようなどと思わぬだろう」



動けないクローディス大公と

ウォーヘッドたちが見たのは、

グランヘルム王とヴァンパイア.ロードの

取っ組み合いだった


抵抗するグランヘルム王をやすやすと丸め込めながら

ヴァンパイア.ロードの第一人者が言った



「吾輩の名は、ハイマン...

 ヴァンパイア.ロードの始祖であり、

 最後の神人でもあったモスゴル王が亡き今、

 最年長者として、我が種族の第一人者となった。

 

 人間の王よ、そしてウォーヘッドたちよ、

 吾輩がこのようなことを致す理由は

 私利私欲のためではない!

 そなたたちを苦しみから解放し、恒久的な

 平和と繁栄を約束することによって

 救世主メシアの出現を避けるのが目的なのだ

 

 人間はすべての神々から恩恵を授かった

 唯一の種族だ、

 まさに、あらゆる可能性を有する

 祝福されし者たち。

 やがて、その授かった恩恵をすべて発現させた

 メシアなる存在が、

 この世界を滅ぼして作り替えるなど

 あってはならぬことなのだ」



クローディス大公が言った

その表情は、畏れに満ちていた



「そういうことであったのか!

 遠い未来、人間種族の中から出現すると言われる

 全知全能の存在である救世主メシア


 そして、メシアの最後の審判によって

 成されるであろう世界の破壊と再創造

 

 それは、人間にとっては救いであっても

 他の種族にとっては破滅に他ならない

 

 神人の末裔たるハイマンよ、

 あなたは、それを阻止せんがために皮肉にも

 かつて神人が有していた

 人間種族を守護するという役目を

 今、まさに背負おうとしているというのか!」



魔法使いマリアンヌがぼそりと言った



「なにやら壮大で悲壮な感じの会話ですけど、

 目の前で行われていることのギャップが」



そう、ハイマンは、グランヘルム王を無理やり

後ろ向きにさせて、机の上につっぷさせ、

そのズボンを剥ぎ取ろうとしているのだ



弓騎士カールソンが叫んだ



「我が王よ、どうか抵抗なさってください!

 我らウォーヘッドたるもの、精神支配など

 破って見せます!

 どうか、それまでに肛門をお開きになることが

 なきよう、しっかりと外肛門括約筋を

 お締めになるのです!」



クローディス大公も言う



「剣を振るうイメージで体全体に力を入れ、

 特に腹筋に注力なされよ!

 カールソンが申した通り、そのうちに

 ウォーヘッドたちは精神支配を逃れることが

 できるでしょう。

 その時まで、あなた様の肛門が、

 まさに人類の命運を担っておるのです」



ハイマンが言った



「無駄よ、この座薬を固い棒の先端にくっつけて

 無理やり肛門に挿入してやるわ!

 人間の肛門ごときが、我らの存亡に関わる

 大事を妨害することなぞあってはならぬ」



グランヘルム王のブルネットの整えられた髪は

今や汗に濡れて額に張り付いている

髭に覆われた頬を膨らませ、真剣な表情で

息を吐いている


ハイマンの明るい色のオールバックの髪も

少々乱れ、前髪が目の前に掛かっていた。

しかし、余裕の表情だ


ロン毛のカールソンは、固く目を閉じ、

苦悩に満ちたような表情で必死に精神支配から

逃れようとしている


固い棒の先端にくっついた座薬が、ズボンを

剥がされた王の体内に侵入せんとしていた



グランヘルム王が言った



「余は、ウォーヘッドのような武勇も

 持ち合わせておらず、

 クローディス大公のような聡明さもない...

 しかし、人間の頂に立ち

 その命運を担う者として、

 我が肛門に王としての意地を見せてやろうぞ」



踊り子マリアと魔法使いマリアンヌは

どこか冷めたような表情だった




.....念のために言っておくが、あくまで座薬を

肛門に挿入するという医療行為が行われている

場面を描写しているので、BANにはならないと信じている

 

 

 

 

 



 


 


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