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ウォーヘッド  作者: グレゴリー
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レイデン侵攻作戦2

プラウダール体制軍が出航して4日目の朝、

船団は一直線に西海沿岸の都市レイデンに

突撃していた。


早朝、レイデンの背後の森から、

ドラゴン軍団が総攻撃してきたのだ。


まさにメシアの加護のごとき幸運



「ウォーヘッドたちが、使徒たちに

 気が付いたとしてももはや手遅れです!

 背後からドラゴンたちの攻撃を受け、

 彼らとレイデン防衛軍はそちらの相手で 

 手いっぱいでしょう

 我々は、がら空きになった港にそのまま入り、

 無力な都市をすぐさま占領することでしょう」



グランヘルム王は、使徒ダニエルが

投影する映像に見入っていた


レイデンの内陸部に広がる森の上空を、

巨大なダークドラゴンが飛んでいる。

吐き出されるダークブレスは、森の中に

造営された陣地を焼き尽くしていた


ダークドラゴンに率いられた様々な種類の

ドラゴンたちも、森の中に炎を吐き出していた。

森の中から、黒々とした巨大な煙の柱が

上空に立ち上っている


グランヘルム王は思った



(おかしい、勇者マックスをはじめ、

 選りすぐりのウォーヘッドたちと、

 ドワーフ王国から輸入した最新鋭の

 武器を持つレイデンの防衛軍が

 ドラゴンたちに対抗しているはずなのに

 あまりにもあっけなすぎる...

 それに、西岸沿岸諸国が誇る

 最新鋭の帆船の姿がまったく見当たらない。

 ドラゴンを恐れて逃げているのか?でも、

 なんだか嫌な予感がする)



攻撃の先鋒を担う、聖者たちの乗ったガレー船が

両舷にズラリと並んだオールを精一杯漕いで、

最高速度で港の中に入っていった。


かなり遅れて、占領軍が乗った、鈍足なノル船の

集団が続く



「今のところまったく抵抗はありません!

 上空の使徒ラファエルを下ろしましょう」



使徒ラファエルからの映像がどんどん鮮明に

なっていった


司令部の軍人たちが見たのは、

誰も居ない、櫓や陣地に向けて炎を吐きかける

ドラゴンたちだった。


そして、海上の使徒ポールからの映像に

皆が唖然とした



....ノル船の集団の先頭にいた数隻が、

ふいに座礁したのだ!



喫水の深い、ずんぐりとしたノル船の船底が

何かに乗り上げたのだ


港の入り口付近で立ち往生する船団


軍人の一人が言った



「レイデンの港は水深が深く、大型船すら

 入港できるはず!座礁するはずが....

 も、もしや、船を沈めていたのか!」



まさにその通りだった。


レイデンの港の入り口に、古い船を

数隻沈めていたのだ


そして、沖合にバナナボートが十数隻出現した


単体でいたるところに散らばって隠れていた

武装バナナボートは、

森から立ち上る巨大な煙の柱を合図に、

一斉にレイデンに戻ってきたのだった



「やはり、ドワーフたちが供与してくれた

 鉱物油はよく燃えて

 派手な煙をあげてくれるな、

 暗黒竜セルフトークと連れたちもノリノリだ。

 さて、次は俺たちの番だ」



勇者マックスの目の前には、今、まさに

こちらに向かってくるガレー船がいた


喫水が浅いこの船は、沈めた船のトラップに

引っ掛かることなく、両舷から突き出た

オールを精一杯漕いで突撃してくる


そして、ガレー船の背後では、

立ち往生しているノル船の集団を、

レイデンのバナナボートが素早く包囲していた



「操船と速度に優れたバナナボートは

 あっという間に、あのノロマな船たちを

 包囲するだろう。

 大体、俺たちの都市を攻撃するのに

 こんなちんけな船団でやってくるなんて

 舐め切っていやがるぜ」



グレートソードを背負う戦士ティルクだ


背後で、立ち往生しているずんぐりとした

鈍足なノル船と対照的に、ガレー船は

まっすぐにこちらに向かってきている



「それに、あのバナナボートは、私たちの

 開発した最新の兵器を搭載している。

 これで、あの上陸軍と、アホ貴族どもは

 終わりだね」



バトルアックスを持って舌なめずりする

ドワーフのイルガだ


ガレー船が両舷のオールを精一杯漕いで、

こちらに向かっている



「俺たちの小芝居にまんまと

 引っ掛かってくれて、

 自分たちの内情すらあけっぴろげに

 してくれたな!

 まあ、この隠しカメラ様様だぜ」



両手に隠しカメラを持ちながら、

笑みを浮かべるのは

ハイエルフのディックソン


ガレー船からかすかに、太鼓のリズムが

聞こえてくる。おそらく、漕ぎ手たちが

そのテンポの速いリズムに合わせて、

必死にオールを漕いでいるのだろう



「あのガレー船には、使徒たちに似た

 戦士集団が乗っている。

 見た感じ、使徒ほど強くはないが、

 それでも数はかなり多い」



眉間に一筋の皺を寄せたような

生真面目な表情の聖騎士リックは、

その手にロングソードを持っていた


目の前に迫るガレー船は、細長く、

両舷からズラリと何十本ものオールを

突き出しており、

その最高速度はかなりのものだ。

まっすぐにこちらに向かってくる



「使徒は飽和攻撃に弱いわ、多くの標的を

 同時に捉えることができないらしいわね。

 だから、あの聖者とやらはその対策として

 逆に私たちに対して飽和攻撃を

 仕掛けるつもりでしょう」



先端に、メシア教のシンボルである星をつけた

杖を高く掲げたエリーだ


ガレー船がズンズンとこちらに向かってきている。

その帆装は、背後のノル船と同じく、大きな帆が

数枚だけの前時代的なものだが、短時間ならば、

人力によるオールによって

その最高速度はバナナボートを凌ぐ



「でも、彼らにとって誤算なのは、

 私たちが今や、少人数ではなく、

 かなりの大所帯になってしまったこと」



二本の曲刀を両手に持つエルフのリリーベルだ


もはや、ガレー船は目と鼻の先に迫っているが、

背後では、木偶の棒と化したノル船の集団を、

十数隻もの武装バナナボートが着々と包囲していた



「それも、人間だけではなく、ドラゴンや

 ドワーフなどの多種族による

 頼もしい同盟、レイデン同盟軍なのであります」



タイタン鋼の箒を軽々と持つ魔法使いルーティー


ドラムのリズムが今やはっきりと聞こえてくる。

ガレー船は、両舷から突き出たオールを

必死に漕いでこちらに向かっている



「ハイエルフとエルフも忘れないでね、

 皆が、地上界に住む、小さな者たちよ。」



大剣クレイモアを持つハイエルフのキオミだ


喫水が浅いおかげで、沈めた船のトラップを

乗り越え、ガレー船が、今、まさに

全速力でこちらに向かっている



「そして、今日、このレイデンにおいて

 小さな者たちの力が試されるでしょう」



ショートソードを構えた聖女セリス


ズラリと立ち並んだ10人のウォーヘッドたちの

目前に、聖者たちを乗せたガレー船が両舷から

ズラリと突き出た数十本ものオールを必死に

漕いで、全速力でこちらに迫ってきていたのだった




 





 

 





 



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